第二十七話
彬との通話が終わると、
真二は静かにスマートフォンを置いた。
隣では、美香がベッドに横になったまま真二を見つめている。
「未来ちゃん、大丈夫そうだった?」
その問いに、真二は小さく頷いた。
「ああ。彬が面倒見てくれてる。」
「そう……。」
美香は笑顔を作る。
けれど胸の奥は、少しだけ苦しかった。
未来の記憶が戻れば。
真二はきっと未来のもとへ戻る。
それは最初から分かっていたことだ。
だからこそ。
戻るその日までに。
少しでも真二の心を、自分に向けさせたかった。
一方、真二は美香の肩にもたれながら、
ぼんやり天井を見つめる。
彬が未来と同じ家で過ごしている。
それが妙に引っ掛かっていた。
(彬だから大丈夫。)
そう自分に言い聞かせる。
あいつは昔から未来に興味なんてなかった。
だから安心して任せられる。
そう思っているはずなのに。
未来が「ご飯を作ってもらった」と嬉しそうに話していた声が、耳から離れない。
「真二?」
美香がそっと腕を絡める。
「今は私だけを見て。」
その言葉に真二は我に返り、美香を抱き寄せた。
「ああ。」
「今は、お前との時間だから。」
そう答えながらも、
胸の奥に残る小さな違和感だけは、
消えることはなかった。
4人のそれぞれの思惑が、何とも複雑になってきています。
この先も、少しづつ関係が変わってくるので。
楽しみ
待っていて貰えると嬉しいです!




