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【救済プログラム】の秘密

2話投稿の1話目です。

次話は12時に投稿します^^

 今の時間は午前11時だ。


 あれから5匹程の名持ちの蟻と戦闘になったが、デュラハンによって倒されている。


 デュラハンのポンコツが炸裂し、俺のスキルが【テイマー】と【使役者】のスキルが封印されてしまった。


 蟻の1匹に自分が死ぬとスキルを封印するスキルがあり、本来ならデュラハンが封印されるはずが、なんと俺を身代わりにしやがった。


 時間で封印は解除されるが、もし即死の魔法とかだったらと思うとゾッとする。


 普段は温厚のセバスチャンがガチギレして説教をしていたから今のデュラハンは元気がない。


 俺から連絡をすることは出来ないし受け取ることも出来ないが、他の仲間同士での連絡は可能なので何かあれば翔かセバスチャンに連絡があるだろう。


 今は封印解除の時間を待っている。

 残り30分だが最後の女王の部屋の近くまで来れた。


 解除されるまで休憩としよう。


「向こうは大丈夫かね」

「連絡が無いんですし問題はないんじゃないですか? 心配なら連絡します?」

「いや、戦闘中だと危険だから今は良いだろう」


 それから30分後に無事に封印が解除されて女王の部屋に突入した。


 女王の部屋に蟻は1匹。

 ピンク色をした小さな蟻だった。


 驚いたのはほぼ人のような姿だった。

 人の姿をした子供だったのだ。


 小さな女の子は部屋の中央で正座をしていた。


「来ましたか」


 目を開けると蟻と同様の目だった。


「君が女王か?」

「正確には女王の子供です」


 子供?

 どういうことだ。


「その女王はどうした」

「私を逃がすために……死にました」


 涙を浮かべる少女。


「理由を聞いても良いか?」

「【救済プログラム】をご存じですか?」


 質問を質問で返すなよ。

 まぁ答えるけど。


「あぁ。こんな世界になった原因だよな?」


 【救済プログラム】が関係あるのか?


「では救済とは何を指しているかお分かりですか?」

「……考えたことはあったが、知りはしない」


 【救済プログラム】で破壊された日常に救済があるはずもない。

 一体何を救済するモノなのか。


「この【地球】ですよ。【救済プログラム】とは【地球】を救済するプログラムです」

「そんなバカな……」


 信じられない。

 嘘を言っているのか?


 いや、本当かもしれない。

 少なくとも彼女に悪意を感じない。


「この星に危機が迫っています。それを感知したので【救済プログラム】が発動し、世界は変わったのです」


 危機?

 こうなった事が危機ではなく、あえて世界を変えたのか。


「何のためだ」

「地球で種族間の殺し合いを行い、勝ち残った種族に危機を排除してもらう。それが【救済プログラム】の概要です」


 種族間の殺し合い。

 バトルロワイアルが行われているってことか。


「ゴブリンはこの世界の生き物ではないが、そういった生き物はなんなんだ?」

「円滑にプログラムを回す為のモノです。全種族が戦わない場合のトリガーの要素もあります」


 なるほど、一理ある。


「ならお前は何でそれを知っている」

「私の母はランキングに入りましたからアクセス権を得ていたのです。私は母から聞いただけです」

「ランキング?」


 ゲームみたいだな。


「はい。ランキングは()()()でした」

「10位。それは高いのか?」

「最下位です」


 なるほど。


「地球を救済すると何を得られるんだ?」

「種族としても存続です」


 人間には薄い感覚だな。


「今の10位の種族は?」

「蜘蛛です」


 マジかよ。


「何でそこまで情報を教えるんだ?」

「蜘蛛に対する復讐です。母を殺された恨みを晴らさずに死ねません」


 復讐か。


「ふざけるな!」


 話を聞いていた翔がキレたようだ。


「お前が人間にしたことを棚上げして自分の事を正当化する権利などない!」

「弱い種が殺されるのは仕方ないことです」

「お前の種も弱かったから蜘蛛に殺されたんだろ!」

「それは……」


 ポタポタと涙を流す少女。

 目には怒りと悲しみと恨みが見え隠れしている。


「お前の復讐のために俺たちに情報を渡すだと! ふざけるな!」

「う~ん。私も少し理解できませんね」


 蟻に強い怒りを持っている翔は彼女を魔物と見ているのだろう。

 デュラハンはポンコツだからな。


「お二人とも、相手は子供なのですよ?」

「セバスさんはこいつの味方をするんですか!」

「翔、落ち着け」


 握り拳から血が流れるほど力を入れている。


「……分かりました」


 勇者の職業に救われたか。

 怒りに飲まれなかった。


 怒りの状態異常を無効化したのか。


「母親は蜘蛛からお前を逃がし、ここに巣を作ったってことか」

「はい。母に助けられ、私と共に逃げた蟻と共に巣を作りました」


 ここがダンジョンではないと知った時に感じた違和感はこれだったのか。


「お前、蜘蛛に復讐するのならどんなことでもする気はあるか?」

「何でもします。魂さえ悪魔にでも売りましょう」


 面白い。


「なら俺の仲間になれ。お前の望みを叶えると誓う」

「黒井沢さん! 何を言ってるんですか!」

「翔。女王蟻を仲間にするのは当初の予定通りだ」

「そ、そうですけど……」


 まだ怒りの炎は消えないか。


「あなたは正気ですか? 私を仲間にして何の得があるというのですか」

「戦力が増える」

「雑魚が1匹2匹増えても強者はそれを踏みつぶします」

「そうかもな。でも1万や10万なら勝つことが出来る」


 戦力は必要だ。

 人間以外も使えるモノは全て使う。


「ですが……」

「ならお前はここで死ぬ。それで良いのか? 親の仇も取れずにこのまま死ねるのか?」


 やはり子供だな。

 自分の弱点をわざわざ教えるなんて。


「……私は魔物で人間に酷い事をしました」

「気にするな。弱い者がすべて悪いんだ」


 これが真実だ。

 弱いのが悪い。


 翔の怒りもこの子の恨みもすべて自分が悪い。

 それがこの世界だ。


「分かりました。仲間になります」

「よろしく」

「はい」


 握手をして彼女は仲間となった。


 さてと。


「上の蟻どもの進行を止められるか?」

「無理です。私の子供ではありません」

「え? 違うの?」


 卵とかたくさんあったけど?


「私は処女蟻です。上の蟻は母の部下の卵なので指揮権は私ではなく母です」

「経験値配分は?」

「私にはありません」


 道理で弱そうなわけだな。


「緑紅に魔法で潰してもらうか」

「卵があれば私の配下に出来ますので卵は確保してほしいです!」


 卵か。


「これか?」

「そうです! 何個ありますか?」


 えっと……。


「ざっと500個はあるな」

「それなら十分ですね。潰してしまいましょう」


 決断早いな。


「今の蟻に同情は?」

「今までご苦労さまでした。私は新たな道に進みます!」


 あれ?

 デュラハンと同じ匂いがするな。


 とりあえず緑紅にスキルで電話をする。


「緑紅! 今すぐこっちに来れるか?」

『あ、主様……』


 え?

 泣いてない?


 何で泣いてるの!?


「ど、どうしたんだ、緑紅!」

『わ、私は……主様の命を破ってしまいました。そのせいで香奈が……』


 香奈の身に何かあったのか!?


「今すぐそっちに行く!」


 セバスに視線を向けると頷いたので俺は緑紅の元に飛んだ。


 一瞬で自衛隊基地に到着し、緑紅の姿を捉える。

 涙で顔がぐしゃぐしゃになっている。


「今すぐ香奈の場所に案内しろ」

「はい」


 案内されたのは治療中の看板がぶら下がった治療用のテントだった。


 まさかこの中に香奈がいるのか?

 嘘だろ。


 俺はテントを開けて中に入る。


 中には横たわる香奈の姿だった。

 火傷が酷く、両腕が無くなっていた。


「か、香奈」


 数歩近づく。

 足が思うように動かない。


「治療中です! 下がって!」


 近づく俺を数人の男性が抑え込んでテントの外に連れ出した。


 目の前が真っ暗になり、近くのベンチに座った。


「緑紅。一体何があった」


 戦闘の一部始終を聞いた。


 絶対に許さない。

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