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蟻塚と自衛隊基地

6月から土日2話投稿します。

時間は9時と18時です。

 危機一髪だった。


 アイテムボックスの物を出す速度がもう少し遅かったら数匹は爆風でこっちに飛んで来てもおかしくはなかった。


「前衛はそのまま戦闘を続行! 後続の心配は不要!」

「「はっ!」」


 ボムアントが爆発する瞬間にアイテムボックスからジャイアントキングアントを出して蟻との間に置いたのだ。


 ジャイアントキングアントの高い物理防御力と魔法防御で爆発を防ぐことが出来た。

 通路をその巨体で完全に塞いでいるので爆風や追撃などはこちらに届いていない。


 良い素材になると思ったが、命には代えられないからな。


 依然としてポイズンアントの突撃は止まらず、前衛の二人が対応している。


 何か手はないか。


 いろいろと考えていると小さな揺れを感じた。


「地震か? いや、これは……」


 もの凄いイヤな予感がする!?


「全員ここから……」


 俺の言葉が遮られるように俺たちの足場が崩落した。


「クッソ!」


 足場を失い内臓が浮く感覚に陥る。


 俺たちと同じように落下する石や岩などを回収。

 俺達より先に魔物の死体をありったけばら撒く。


「上から来る敵を排除しろ!!」


 崩落は俺達だけでなく、蟻も巻き添えである。


 しかも獰猛なポイズンアントは自分が死にそうにあったとしても攻撃の機会があれば俺たちに近寄ってくる。


 10秒か20秒か。

 はたまた5分ぐらいか。


 俺たちは奈落に落とされた。


―――――――――【香奈・自衛隊基地】―――――――――


 あの人が蟻塚に向かってもう10時間が経つ。

 さっき話したけど元気そうだった。


 良かった。


 蟻塚は迷路のように入り組んでいるようで蟻の案内が無いとまともに進むこともままならないとか言っていた。

 あの人の職業のおかげでスムーズに進めるなんてやっぱりあの人は凄い。


 こっちは鬼人となって綺麗になった緑紅さんが地下から這い出る魔物の穴を魔法で埋めて数を調整している。

 これはあの人が言っていた作戦で夜は戦闘を減らして休む人を増やし、昼間の明るい時間に力を注ぐようにしている。


 あの人に『だったら全部埋めちゃえば?』と言ったら反対された。

 理由は全部塞いだらもっと多くの魔物が穴から出て来たり、強い敵が出てくる可能背があると言われた。


 よっぽどのことがない限りは穴は全て塞ぐなと付け加えられた。


 可能性の話だが、案外間違いではないと思えたので反論はせずに納得した。


 私も今は休憩しているんだけど、あまり寝れそうにない。


「寝ないのですか?」


 一緒のテントで寝ている鬼人の緑紅さんに話をかけられた。


「はい。緑紅さんも?」

「えぇ。主様が今も戦っていると思うと寝ていられないのです」


 私と同じだと思った。


 私はあの人の隣にいたい。

 あの人はすぐにどこかに行ってしまいそうだがら。


「そういえば香奈さんは主様を好いていましたよね?」

「うん」


 あの人が好きだ。


「やはり助けられたのが大きかったのですか?」

「助けられたことは純粋に感謝しているけど、好きになったところは違う」

「ではでは主様のどこを好きになったので?」


 少し恥ずかしい。


「あの人は自分の弱さを知ってるし人類の弱さも知ってる。けど自分の可能性とか人類の可能性も信じてる部分がある」

「確かにそうですね。囚われていた人達を最初は見捨てようと話してましたしね」

「知ってる。セバスさんに謝れた」

「律儀な人ですね。言わなければバレないのに」

「いつかはバレるし、バレたら主様に申し訳ないとか言ってた。あの人、本当に忠誠心高い」

「我々も負けてはいませんよ! 我々も主様の為なら命すら捨てる覚悟です!」


 明るく言ってるけど本気で言ってることは分かる。

 揺らがない意思を感じる。


「あ、話の腰を折ってしまいましたね。それでそれで?」

「あの人はこんな世界にならなかったら普通に生きてた人でこんな世界になったから人の上に立たなくちゃいけなくて、その背中が今にも壊れそうで悲しかった」


 不相応と思って感じていても今の自分に力があるならやらなければいけない。

 そんな義務もないのに理性で行動している。


「そんな彼を支えたいと思った。そしたら好きになってた」

「逆ではないのですか?」

「え?」


 どういうことだろう?


「いえ、単純に助けられて好きになって、好きだから支えたいと思ったのでは? と思ったのですが」

「……そうかも?」

「何で疑問形何ですか」

「アハハハ」

「フフフフ」


 恋愛なんて初めて経験したけど、こんなにも複雑な感情が渦巻くモノだなんて初めて知った。

 こんな世界になっても友達と話して笑い合うことが出来るなんてまだこの世は捨てたモノじゃないかな。

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