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蟻塚……上層

6月から土日2話投稿します。

時間は9時と12時です。

 仲間の蟻とは行動を共にして女王蟻を探す。

 彼らが大まかな場所は知っているので案内してもらうのである。


 ダンジョンの中はファンタジーに出てくるような洞窟タイプだが、壁や天井などが狭く蟻の巣に近い構造になっていて攻める難い。


 剣を振るう広さがないので戦闘は接近戦の格闘主体か魔法での遠隔殲滅のどちらかしかない。

 楽なのは魔法なのだが、戦闘がいつまで続くのか分からないので温存は必須。


 ポーションもあるが回復量が知れているので小まめな補給程度には役に立つが、ゼロからの全回復は時間もかかってしまう。

 そんな時間をここで確保できるか不明だが、そうなったら撤退しなければいけないだろう。


「敵です。前方から数は5」


 翔が声を発し全員が戦闘態勢に入る。


 数秒後に蟻が姿を現す。

 外にいるヤツとは違うタイプの蟻だ。


 黒さが深く、強そうだ。


【ブラックアント】

・ハイアントの上位種。すべてのステータスがハイアントを上回る。

・デバフを扱う個体もいる。


 鑑定の結果はこうだ。


「ブラックアントだ。強さは上の連中の上位種だな」

「では私が相手をしましょう」


 そう言ってセバスチャンが前に出た。


 そういえばセバスチャンが戦うところを見たことがない。


「道をお開けなさい」


 そう言葉を発すると姿消えた。


「影移動ですか。やりますね」


 デュラハンの解説が役に立つ。

 バンパイヤのスキルである影移動か。


 消えたから全然分からんかった。


 進んでいた蟻が突如バラバラになってしまった。


「素材に良さそうでしたので解体させていただきました」


 いつ攻撃したのか見えなかった。


「翔、攻撃見えたか?」

「う~ん。影から何かしたのは見えたんですけど、攻撃は見えませんでした」

「そうか」


 お前も十分凄いよ。


「影の中から極小のワイヤーを敵に絡ませてバラバラにしたんです。鋼糸影というスキルですね。練度が高くて勉強になります」

「恐れ入ります」


 優雅にお辞儀をするセバスチャン。

 表情が明るいところを見ると間違ってはいないらしい。


 敵の死体はアイテムボックスに入れておく。

 良い素材になると思うからな。


 敵の襲撃はその後も続くが俺たちはどんどん先に進む。

 ブラックアントを一部隊仲間にして道案内を彼らに任せた。


 移動は彼らに乗って移動。

 体力の温存は必須だからな。


 探索から数時間経ったが先はまだある。


「蟻のおかげで道に迷わないで済んでいるが、案内が無かったらと思おうとぞっとするな」

「そうですね。蟻の巣のように穴だらけですもんね、ここ」


 これで上層だもんな。

 下はどれだけ深いのか。


 良く掘り進めたもんだよ。


「ふ~む」


 セバスが壁を見て何か唸っている。


「どうしたんだ?」

「壁の老朽具合で深さを計算しようと思ったのですが、難しいようです」


 お前、そんなことも出来るの?

 スゲーな、おい。


「無理だったか?」

「いえ、計算は出来たのですが……」


 数年とかいないよな?


「どのぐらいだ?」

「三日かかりますね」


 現実的な数字だな。

 だが、それでも長い。


「何を唸っていたんだ?」

「ひっかっかるモノがあり、それを考えていました」


 勘ってやつか?


「主様~。良いモノ見つけました~」


 静かだったデュラハンが何かを持って来た。


「何だこれ」

「蟻の卵です!」

「返してきなさい」

「えぇ~!?」


 なんでそんなあり得ないって顔してんだよ。


「栄養豊富なんですよ!」

「食べる目的かよ。それならOKだ。どこだ」

「あっちです!」

「黒井沢さん……」


 翔よ。

 人は何も食べる物が無くなったら虫を食べるんだぜ。


 まぁ鬼人となった緑紅に食べさせよう。

 あいつ食いしん坊だし。

 何でも食べるだろ。


 デュラハンに案内された部屋には卵がびっちりあった。

 集合体恐怖症だったら発狂しかねない部屋だな。


 アイテムボックスに全て仕舞う。

 ポツポツと仕舞えなかった卵がある。


 あぁ孵化寸前の卵か。


「食べて良いですか?」

「良いぞ。食えるのか?」

「分かりません!」


 いい度胸だな。

 一個の卵でも50cmぐらいある大きさなんだがな。


 大きな口を開けて一口。


 グチャリグチャリと咀嚼している。


「~~~っ!?」


 デュラハンの顔は真っ青になり涙目になった。


「食えなきゃ吐き出せよ」

「オウェ~~~~」


 慎みを持ちなさいよ。


「不味かったです。不思議です」

「俺はお前の頭が不思議だよ」


 そう言って蟻の卵を潰す。


「殺しちゃうんですか?」

「俺たちの敵だからな」


 全部潰して翔達の元に戻った。


「どうでした?」

「ポンコツがポンコツなことをしてた。いつもと一緒だ」

「そうですね」


 段々とこいつもデュラハンに対して遠慮がなくなって来たな。


 ライトのバッテリーの残量を確認し先に進む。


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