ポンコツデュラハン
あらすじ・題名を変更しました。
旧題「数こそ力なり!! おかしくなった世界の魔物使い」
感謝と記念で本日2話投稿です。
この話が2話目になります。
一班が起き出し、体育館に集合し始めた。
「え? ここまで進んでるんですか?」
寝ぐせを直しもしない翔がそんな声を上げていた。
「本格的なモノではなくて簡易的なモノだ」
「いやいやいや。それでも防具の製作に取り掛かってるだけでもすごいじゃないですか!」
「まだ全員に行き渡らないのが悔しい限りだ」
武器や防具があれば戦闘がかなり楽になるというのに。
「流石に無理ですよ。これだけ出来れば十分じゃないですか」
「……だな」
俺は翔の言葉を楽観的だと思ってしまうが、否定はせずに同意した。
たしかに時間的にこれがベストだった。
だが、他に方法があった可能性もある。
思考を止めることは出来ない。
「武器と防具は各パーティーに1つもらえるはずだ。もらってこい。調整してもらうのを忘れるなよ」
「はい!」
嬉しそうに武器を作っている部屋に入って行った。
しばらくして全員が揃った。
皆、武器や防具にテンションを上げていたが、全員に配る事が出来ないことを話し、専用ではなく流用することで回していくことを伝えた。
武器や防具は消耗品なので壊れたりしても責めはしない。
すぐに壊れるのは製作した側の責任だ。
突貫で作ったのですぐに壊れる可能性があるので信じすぎないように言っておく。
武器が壊れて蟻に殺されたらたまったもんじゃない。
今回は一番モンスターと接近し攻撃を受けるアタッカーに防具と武器を渡す。
壊れたら取りに戻るように伝えてあるが、状況を見てそのまま戦う必要もあるだろう。
こうして1班が外に出て行った。
辺りはもう暗くなっていたが、スキルで暗視を取っているらしく問題はない。
暗視だけでは心配なのでライトを渡してある。
サバイバル専用なのでそこそこ明るい。
1班が出て行ってすぐにゴブリン部隊も外に出た。
交代するようにしてアンデッド部隊が帰って来た。
やはり長時間の戦闘は厳しいらしい。
強い彼でさえ傷が多い。
主に溶かされているようだ。
蟻の酸は強いらしい。
彼らにポーションの効果を見る実験体になってもらおう。
「これを飲めるか?」
「飲めません。ダメージを負ってしまいます」
ダメか。
アンデッドに回復ポーションは毒になるってのは良くある話だが、致し方ない。
「毒のポーションは毒のままか?」
「毒は効きませんが回復する訳でもないです」
「何で回復するんだ?」
「休めば回復します」
「そうか。ならしっかり休め。回復次第前線の部隊と交代だ」
「はい」
彼らにも専用の建物を作ってあげるべきだったな。
野ざらしは少し申し訳ない。
「お前ら、蟻は様々な毒を使う! 各パーティーで対応できない場合は近くのパーティーに助けを求めろ。ポーションもガンガン使え、遠慮は要らん。生きて帰ってこい!」
『『『はい!』』』
やる気があって何よりだ。
「セバスチャン。どうだ?」
『蟻の進行は止まりませんね。しかも今の蟻よりも強い蟻が出てきています』
「予想はしていたが……。そいつらの強さは?」
『今の人間部隊でも勝てるとは思いますが油断をすれば殺されますね』
今の班が終盤になってからぶつかる相手ではあるが、レベルが上がっているから戦闘では問題はないだろう。
心配なのは疲労や集中力の低下での事故が怖いか。
2班は最初から戦うことになる相手となる。
防具や武器を充実させれば問題はないだろう。
問題は3班だ。
このまま蟻が強くなれば3班では対応が出来ない可能性がある。
武器や防具を充実させ、アンデッド部隊やゴブリン部隊も付けるべきか。
「セバスチャン。適当に蟻を倒して持って来られるか?」
『素材にするのですね。なら私は夜の間に往復して強い蟻を運びましょう』
「よろしく頼む」
すぐさま体育館に向かい、セバスチャンが強い蟻を持ってくるから慣れたらそれで防具や武器を作るように伝えた。
伝えてすぐにセバスが5匹ほど縛って持って来た。
蟻の色が少し赤くなっている。
大きさも一回り大きくなって大あごも鋭利になっている。
セバスチャンはそれから5分毎に蟻を持ってきた。
優秀なヤツだ。
これで指示は終わった。
「俺たちも動くぞ。蟻を仲間する」
「やっと出番ですね!」
「腕がなります!」
俺の両隣にはゴブリンメイジとデュラハンがいる。
俺は暗視のスキルを持っていないのでライトを片手に持っている。
何で俺には暗視のスキルが出ないのか。
俺が向かう場所は最前線のアンデッド隊がいる位置より少し先だ。
少し離れているので約1時間で到着。
主に戦闘で時間を使ってしまった。
「デュラハン。魔物をここに集中させられるか?」
「無論です!」
デュラハンが大きく息を吸い込む。
俺とゴブリンメイジは耳を塞ぐ。
「ギャーーーーーーーーー!!」
黒板を引っ掻いたような甲高く不快な音が周囲に響く。
夜風が頬を撫ぜる。
風が気持ちいいと思う間もなく、蟻の足音が俺たちに近づいてくる。
「足音多くね?」
「気のせいでしょうか? 後ろからも足音がします」
デュラハンは鎧を身にまとっているので表情は見れないが、オロオロしているのは分かる。
「出力を間違えましたー!」
なるほど、こいつはポンコツデュラハンだな。
「ゴブリンメイジ。囲まれるのなら広い方がいい。周囲の建物を退かせ」
「分かりました!」
地面が波打ち、周囲の建物が俺たちから離れる。
良いな、魔法。
「ポーションを飲むのを忘れるなよ」
「不味いんですよね。コレ」
何で知ってるんだよ。
「地面を沼化して蟻を捕縛、デュラハンは俺の元に運べ」
「はい!」
「わ、分かりました!」
正直、全部倒してしまった方が良いと思うほどの蟻が押し寄せたが、何とか仲間にした。
その数なんと850匹。
ポンコツデュラハンに説教することになったのは言うまでもない。
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