勇者志と剣聖志
あらすじ・題名を変更しました。
旧題「数こそ力なり!! おかしくなった世界の魔物使い」
鑑定を使うにしても相手がその職でなければ鑑定が出来ない。
「自分で選べ」
「ですが……」
不安なのか?
いや、自分がこんな職に就くことに違和感があるって感じなのかな?
「翔。今、この世界では何よりも力が必要になる。それが無ければ何も守れないんだ。もしもの時に後悔しない選択をしろよ」
「……はい」
真剣に話を聞いてくれたようだ。
目に覚悟のようなものがあった。
翔はスマホを取り出して職を選んだようだ。
これで鑑定が出来る。
【勇者志】
・勇者を志す者が険しい勇者の道に足を踏み入れた証。
・レベルアップに必要な経験値の減少。
・獲得経験値の増加。
・レベルアップによるステータス上昇の増加。
・以上の恩恵をパーティーメンバーにも与える事が出来る。
す、素晴らしい職業だ。
流石は勇者の名を冠する職。
正直、羨ましい。
そして彼の存在は希望になりえる。
「翔。後で話がある。終わったら俺の部屋に来てくれ」
「分かりました」
そう言って彼は仲間の元に去った。
鑑定で職を得た者たちを見ているが、翔のような者はいないようだ。
いや、一人いた。
「香奈。お前も俺の部屋に来い」
「襲われる?」
「バカか、お前は?」
こんな状況でそんなことするかよ。
「冗談。分かった」
眠たそうな目をしていたが、いつものことか。
その後、蟻の大群が次々とここに進軍していることを伝えると共に部隊を3つに分け、ローテーションを組んで蟻と戦ってもらうことを伝えた。
事は長期戦を視野に入れているが、まずはレベルを上げることを優先させることで意思統一をした。
その際に経験値の配分に待機組を含むことを伝えた。
これには反発者もいた。
それもそうだろう。
先頭で戦っている者は命がけで戦っているのに、待機組は何もせずに恩恵を受けるのは納得いかないだろう。
それでも必要なことだと説明をする。
職業に就けるのはレベルが1以上の者だけである。
職業に就いた者とそうでない者の差は大きい。
戦闘する者の多くは若い。
10代も多く、年長者でも35歳だ。
それに引き換え待機組は60歳を超えている者も少なくない。
その者たちは戦うことはできない。
だが、職に就ければ利用できる可能性がある。
可能なら生産職系の職に就いてもらおうと思っている。
武器や防具、回復アイテムなども生産できれば戦いが大分楽になる。
生産職系の職業は戦闘組の者にその存在を教えてもらえた。
貴重な戦闘組を生産職に移すのは避けたいので待機組にその役を回すことにした。
彼らに利用できる可能性があれば彼らにも居場所ができ、お荷物ではなく頼れる仲間となる。
戦闘組と生産組のグループが生まれれば生活が楽になるだろう。
適性が無くても手伝いなども可能だ。
そういった利点を話し、納得してもらえた。
最初にレベル1にしてから職を決め、働ける者は働いてもらう。
「3時間後に1班が外に出る。それまでは待機だ。2班は1班が出陣してから8時間後だ。これは予定が早まる可能性もあるからそのつもりで待機していてくれ」
こうして解散となった。
俺は翔と香奈を連れて自室に戻る。
部屋の前でセバスチャンに待機してもらい盗み聞きを防止してもらう。
「それで話ってなに?」
香奈が席に着くなり話して来た。
「お前らの職業について話をしようと思ってな」
「私、まだ話してないよね?」
「魔物使いの職には仲間になったモノのステータスが分かるんだ」
「そうなんだ」
発見できたのは鑑定だが魔物使いのスキルにそういったことが出来るのは本当だから別に良いだろう。
「まずは翔」
「はい」
翔は少し背筋を伸ばした。
おそらく言われるであろうことが薄々分かっているのだろう。
「皆を率いる為のリーダーになってくれ」
「……分かりました」
少し苦しそうな表情を浮かべたが受け入れてくれた。
「香奈はその補佐だ」
「何をすれば良いの?」
「翔は皆の精神的支柱に、お前は戦闘での支柱になってほしい。お前の職業である《剣聖志》ならそれができる」
【剣聖志】
・剣聖を志す者が険しい剣聖の道に足を踏み入れた証。
・剣を使う場合、戦闘力が上昇する。
・スキル『剣技』『剣術』『抜刀』『居合』『斬撃』『魔法剣』を獲得する。
まさに剣聖の名を冠するにふさわしい職だ。
ただ残念なことは剣が存在しなことだ。
それがあれば人間で一番戦闘力があるのは彼女になる。
「私はあなたのそばにいたい。あなたを守りたい」
「っ!?」
ここまで言われて彼女の気持ちに気付かない程鈍感ではない。
素直に嬉しいとは思う。
「守られる資格は俺にはない。俺は自分勝手なヤツだ。お前には別の……」
「なら私も勝手にあなたを守る」
え?
いや、それは違うんじゃないか?
「……好きにしろ」
口では勝てんな。
「好きでいる」
「真剣に考える。少し待っててくれ」
「うん」
「うわぁ~。リア充爆発しろ」
翔がそんなことを口走る。
「お前はモテそうだから良いじゃん」
「俺は高校生デビューってヤツです。中学では地味な陰キャでしたよ!」
「そんな感じする」
「そうかな~?」
香奈には見透かされているようだ。
「これからはお前はモテまくるとは思うけど節度は持てよ」
「ハーレムってありですか?」
食い気味に聞くなよ。
「止める気はない」
「やったー!」
「ただし、刺されないように気を付けろよ?」
「女の恨みは恐ろしい」
「……はい」
香奈の言葉が突き刺さったようだ。
「翔は1班だろ。早く仮眠しろよ」
「はい。お先に失礼します」
そう言って翔は俺の部屋を出た。
「襲われる?」
「襲わん。分かって聞いてるだろ」
「うん」
それから他愛のない話をして香奈も帰った。
俺が考えるのは今の日本がどの程度動けているかだった。
最悪を想定するとここが唯一、反撃の狼煙を上げている場所となる。
可能性の話だが、俺のように危機を打開している人はゼロではないはずだ。
だが、その存在がどれほどいるのかが心配だ。
だが、俺の方針は変わらない。
今を生き抜く、それだけだ。
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