第28話 本気のぶつかり
毎日20時投稿だ。
俺がこの星を落とす! byヴァギャスト
クレナイ「【凝結業火】!!」
両手を相手に向け、半分水色半分赤色の魔法陣を作り出す。
そこから放たれた氷の矢は、空気との摩擦で爆発し、炎を上げながらヴァギャストを襲う。
ヴァギャスト「『盾』、【反発剣】。」
ボオオン!!
ヴァギャストの大剣に攻撃を防がれる。
氷の矢の軌道は逸れ、天井に当たり爆発する。
天井のコンクリートが削れ、砂埃がヴァギャストを覆う。
俺の本当の狙いはこれだった。
今、ヴァギャストの視界は何も映っていないはずだ。
俺は〔即発瞬転〕で相手の背後を取る。
スキルの発動と同時、俺は空中で逆さまになる。
クレナイ「【彗星裂別】!!」
【彗星裂別】
その斬撃には一閃の光が見える。
光は相手の傷に深みを、自身の体に癒しを与える。
右手に持った彗星の翼刀を力一杯握り締め、ヴァギャストの首を背後から切り落とす。
しかしーー
カキン!!
クレナイ「な...」
ヴァギャスト「【反震剣】!」
ズドオオン!!
ヴァギャスト「避けたか...」
俺の攻撃はヴァギャストの大剣にまたもや防がれる。
でも、これも想定済み。
【反震剣】を使われることを読み、わざと逆さまの状態で技を撃った。
空中で頭を下にすれば自然と体は落ちる。
おかげでスムーズに刀を大剣から離し、【反震剣】から身を守ることに成功する。
これで相手には隙ができる。
ここで一撃決めなければあとがきつい。
クレナイ「【瞬翼の羽撃】!」
【瞬翼の羽撃】
彗星の翼刀の先から、鋭く加工した彗星の羽を
相手に向けて放つ遠距離魔法。
その羽は、鉄を貫くほどの鋭さを誇る。
ヴァギャスト「甘い!」
羽が鎧に触れた瞬間ーー
ヴァギャスト「【反発装】!」
羽の向きが変わり、俺の目に一直線に飛ぶ。
俺は羽に息を吹きかけ羽を燃やした。
【炎の吐息】
自身の息の温度を上げ、炎として吐き出す魔法。
なお、射程は息が届く範囲まで。
一安心した矢先、背後に忍び寄る気配があった。
ヴァギャストだ。
ヴァギャスト「『大剣』、【超断撃】!!」
間一髪のところで反応が間に合う。
【魔力運搬】で、20m先にあったドラム缶を操り、俺と大剣の間に移動させるが、大剣はそれをものともせず、簡単に切り裂く。
その間に俺は、足に魔力を込め床を蹴る。
ヴァギャスト「小賢しい...」
相手の対応力の高さに少し焦った。
その少しの焦りによる対応の遅れは、俺の背中に浅い切り傷をつける。
ヴァギャストとの距離は5m。
0.001秒という誤差のような時間のミスでも命取りになると肌で感じる。
俺は傷を回復させていた。
ヴァギャストを視界から外すことなく。
ヴァギャスト「クレナイに見せてやろう、スキルの裏効果をな!」
クレナイ「裏効果...だと?」
ヴァギャスト「知っているだろう?ごく少数の固有スキルにのみある効果だ。」
クレナイ「裏効果の解放は死に直結するんだぞ!」
ヴァギャスト「それがどうかしたか?」
クレナイ「なんでだ、なんで生きていられる!?」
ヴァギャストは、少しだけ口角が上がる。
ヴァギャスト「“悪魔の鍵開け”だ。」
俺の表情は一気に曇る。
悪魔の鍵開けは、書物にしか載っていないような幻の秘薬。
作り方なんてもってのほか、材料すら判明していない。
クレナイ「そんなもの、存在するわけが...」
ヴァギャスト「お前が殺した奴にリーセルという奴がいただろう?」
俺はリーセルのことを思い出す。
そこで、あることに気づいた。
暗めの肌に、耳が少し“尖っていた”。
クレナイ「あいつ、黒精霊種か...!」
ヴァギャスト「そうだ、黒精霊は薬に詳しい、悪魔の鍵開けぐらい20年分の寿命で作れんだよ!」
黒精霊種
この果てしなく広い世界でも、ごくわずかしか生息していない絶滅危惧種である。
黒精霊達は薬の生成を得意としている。
自身の寿命を素材に、ありとあらゆる薬を生成する。
クレナイ「でも、あいつらは他の種族とは関わらないはずだ!特に、人間とは...」
黒精霊種は、他の種族のことを極めて嫌っている。
特に、人間種のことを嫌っている。
過去に何かあったと書物に記されていたが、詳しいことは何も載っていなかった。
ヴァギャスト「リーセルは、3年前に俺がこの近くの森をパトロールしていた時に助けた。それから俺のことを慕い、やがてこのギルドに加入した。」
クレナイ「それで20年分の寿命を使わせたっていうのか!?」
ヴァギャストは、首を横に振って否定する。
ヴァギャスト「使わせたんじゃない。あいつが使ってくれたんだ...俺のためにな!」
ヴァギャストの魔力がさらに強まる。




