第22話 影からいでし鬼
20時投稿に変更しました。
これからも頑張ります! by霧島 零夜
女性「アタシは“ウェイ”。」
俯いたままボソボソと話す。
鬼の魔物「俺は鬼神“ミガニオ”、ウェイ様によって作られた魔物だ。」
ミガニオの体はシャウザーの影と同じ。
ほぼ同じようなスキルだと思うが油断は禁物、〔解析〕はすでに開始している。
ウェイ「アタシはリーダーに従い、ミガニオはアタシに従う。そして、アタシたちは君を殺す。」
圧倒的強者の余裕というのか、感情や気分の変化を一切感じない。ミガニオもそうだ。
しかし、一つだけ感じるのはただならぬ“殺意”。
それだけだった。
クレナイ「こっちはあんまり人を殺したくないんだが、そんなに殺意を向けられたら...」
月燐を取り出し、座り込むウェイの首を狙って攻撃する。
カキン!
ウェイと俺の間にミガニオが割り込み、巨大な金棒で俺の攻撃を受け止める。
ミガニオが俺を先に倒すことではなく、身を挺してウェイを守る選択をとった。
これは俺の考察に確信を与える。
ウェイはシャウザーのような影の使いを使えるが、明らかな違いは、
ーーシャウザーのように攻撃を避けることはできない。
ミガニオが少し金棒を後ろに下げ魔力を込める。
ミガニオ「ハァァ!!!!」
巨大な金棒でのフルスイング。
しかし、それは空を切る。
この時点で俺の勝ちは確定する。
俺は〔即発瞬転〕でウェイの背後へ移動。ウェイは丸腰でこちらには気づかず、ミガニオは攻撃の後隙ですぐには動けない。
つまり、
ーーウェイの防御手段は無い。
月燐を投げつけ、右手をウェイの頭に近づける。
月燐は惜しくもウェイから逸れるが、
クレナイ「【塵風太刀】!!」
【塵風太刀】
手から放たれる3本の風の刃。
空気に魔力を流し、風の刃として操っているため、肉眼での
視認は不可能。
ヒュゥゥン!!
鋭い風の音がフロア内で響いた。
その音の中に微かに紛れていたのは、ウェイの頭がバラバラになって落ちる音。
死ぬ間際にウェイの影が乱れ、俺の足を取っていたが攻撃が止まることがなかった。
クレナイ「ここは案外あっけなかったな。まあいい、先に進むとするか。」
アルトの魔力によって下へ続く階段を見つけ、先に進もうとする。
しかし、考えてもいなかった不測の事態に、心臓の鼓動が早くなっていく。
グシャ、
グシャグシャグシャ!!
クレナイ「なんだ、まだいるのか?」
柔らかいものと固いものを同時にすりつぶすような音。
俺の耳に直接その音が届く。聞いたこともないような音だ。ウェイが死んでも消えない
ーーひとつの気配。
それは俺の背後にあった。
振り向くと、そこにはミガニオが立っていた。
さっきまで20mあったはずなのに。
ミガニオ「小僧!第二ラウンドだ。」
クレナイ「お前、召喚された魔物じゃないのか!?」
ミガニオから、影のような黒いモヤは消えて、緑色を主体としたツノの赤い鬼と化していた。
召喚された魔物は使用者が死ぬと消える。
シャウザーは間違いなく召喚系、でもウェイは違った。
調教系。
〔解析〕を待たずに決着をつけるのが判断ミスとなるとは思ってもいなかった。
背後から聞こえた恐ろしい声。終わりを告げにきているような哀れみを感じる。
ミガニオの気配はより強く、さっきよりも力を増している。
クレナイ「でも運が悪かったな、そこは...俺の武器の射線上だ。」
俺はすぐさまミガニオの腹部に右手を向けた。
瞬きする間もなく、
グサッ!!
先ほどウェイに投げつけた月燐がミガニオの背中に突き刺さる。
【武の逆進】
自身が最後に魔力を込めた武器を、利き手側に向かって引き寄
せる。効果範囲はこの魔法に込めた魔力量と、武器に残ってい
る自身の魔力量の合計値に比例する。
しかし、ミガニオは一切怯んでいない。
ミガニオ「【一閃撃】!」
俺はすぐさま右側に避ける。
ミガニオが振り下ろした金棒を完全に避けることはできず、金棒に棘が頬を掠める。
その瞬間、出血よりも先に頬には激痛が走った。
クレナイ「かすっただけでこれかよ。てか速...」
振り下ろされた金棒は地面スレスレで止まっていて、当たっていないはずの地面はへこんでいた。
ズドオオン!!
衝撃波で空間が歪む。
ミガニオは、避けられたのを確認した瞬間に次の動作へ移動、片手で金棒を持ち俺の頭部めがけて薙ぎ払う。
まさに鬼神、見えているものがまるで違うようだ。
ミガニオ「少しはできるようだな。でも、あと1時間30分、間に合うかな?」
壁に吹き飛ばされた俺に向かって、ミガニオが言い放った。
クレナイ「〔幻創龍〕が間に合わなかったら死んでたな。」
攻撃を受ける直前に〔幻創龍〕を発動。
俺と金棒の間に、クッションとして使った。
しかし、〔幻創龍〕は破壊され、俺の肋骨が1本折れる。
ミガニオが、ゆっくりと俺に近づいている間に身体を治し戦闘体制をとる。
さっき咄嗟に〔幻創龍〕の性能を上げたせいでリキャストタイムが追加されている。このようなデバフをつけることで、限られたコストで強い技を作る。
これが〔創造神〕ならではの戦い方でもある。
ミガニオは俺が回復したのに気づき、足に魔力を込める。
クレナイ「来る...」
ミガニオ「【神鬼鬼没】!」
ミガニオの速度に反応できず、俺は攻撃をくらう。
ミガニオは、左手で俺の首を掴み地面に叩きつける。
強い衝撃が背中に直に伝わり、身体の力が抜ける。
叩きつけられた衝撃で地面は大きくへこみ、ヒビが入る。
その後、禍々しい炎が現れ俺の首を中心とした円を作る。
瞬く間に、俺は完全に炎で囲われた。
俺の頭の中には、みんなへの申し訳なさがあふれはじめていた。




