第19話 周極星
復帰しました。
これからもよろしくお願いします! by霧島 零夜
クレナイ「何者だ。」
山の奥にポツンと置かれた宿、そこで泊まろうとしていた俺たちは、何者かの襲撃を受ける。
2人は疲れていて寝たきり。俺が1人でこいつを倒す。
???「ギルド狩りのギルド“落星”第2部隊...といえば分かるかな?」
俺はハッとなる。
クレナイ「ギルド狩り...第2部隊って事は、お前...」
???「おっと、待ってくれよ。名前ぐらい名乗らせろよ。」
???「お気づきの通り、『影将』“シャウザー”だ。」
シャウザーは、バカにしたような声で話す。
完全に俺のこと舐めてるな。
暗くてよく見えないがシャウザーは、真っ黒でボロボロな穴の空いたローブに身を隠し、フードからあふれるボサボサなダークグリーンの髪。猫背で陰気な雰囲気だ。
だが、目つきだけには死神のような狂気を感じた。
その後方にいる多くの気配は、影のように息を潜めている。見た目は人型、黒っぽい煙の身体だ。
俺の脳裏をノウンが横断する。
シャウザー「見た感じ、初心者冒険者っぽいな...」
クレナイ「だったら何だ?」
シャウザー「ギルド狩りには掟があるんだ。初心者冒険者には、固有スキルを教えるというね。」
クレナイ「いらない。」
シャウザー「君、面白いね。うちに誘いたいぐらいだよ。」
シャウザーのおどけた声に俺は決める。
クレナイ「お前は今日、星に落とされる...【光線】。」
ピューン!!
シャウザーにヒットしたーー
いや、避けられたか?
【光線】が当たると同時、シャウザーが溶けたように消えた。
シャウザー「不意打ちとは、心外だなぁ。」
シャウザーの位置が少しずれている。
〔影の支配者〕、また厄介なやつだな。
俺は、シャウザーとの会話中に〔鑑定〕を済ませていた。
クレナイ「逃げてないで来いよ。」
ほぼ来ないだろう。来るのはーー
シャウザー「ゆけ、影たちよ!奴を行動不能にせよ!」
シャウザーの少し後方で待機していた影たちが、一斉に俺を襲う。
ーーやっぱりだ。
クレナイ「...当たる直前に溶けてるのか。」
シャウザー「その通りだよ、クレナイ!俺は影を媒体に、自分の分身を作り出せる!」
シャウザー「当然、分身本体は俺の命令で動き、好きなタイミングで召喚、消滅させることができる!」
30体ほどの影は、俺を完全に包囲した。
シャウザーの指示で、一斉に俺に飛びかかる。
クレナイ「影の操り方がなってないぞ。単純すぎる。」
俺は〔即発瞬転〕により、攻撃を避ける。 俺を逃した影たちは、その場で重なり合い、
クレナイ「【送撃】!」
攻撃が当たり、影たちが溶ける。
シャウザー「背後がガラ空きだぜ!」
油断、一瞬の思考停止は俺を窮地へと立たせる。
シャウザーが短剣を持ち、俺の背後へ奇襲する。
俺は咄嗟の判断で体を捻り、腰に装備していたナイフで応戦。
クレナイ「!?」
その場にいたのはシャウザーではなく、武器を持った影。
クレナイ「いや、切り替わったな。」
俺の考察にすぎないが、シャウザー本体も影となり、攻撃を避けれる可能性がある。
難なくその影は処理するが、周りの影が静かになりながらも波打っている、不気味な状況に囚われた。
影の分身たちが、一斉に溶け出し陰に戻る。
シャウザーが地面に手をつくと、そこを中心に影が沸騰する。
シャウザー「いでよ!【影月の皇帝】!!」
ヒュウゥゥゥ!!
影の召喚と同時に、大地が悲鳴を上げるように強風が吹き荒れる。
ベアの比じゃない。10mの巨体、漆黒の鎧に鋭く禍々しい大剣。あふれる影の煙。
クレナイ「それぐらいしてもらわないとこっちも、楽しめないんだ。」
シャウザー「こいつを舐めたら痛い目見るぞ?【影月の皇帝】はランクにして、S-4だ!」
俺は腕輪を見る。
”30%“
ラリスは知っていたのか。
でも、これなら余裕で勝てる。
俺は先程創ったナイフを〔創造神〕で複製。
クレナイ「『月燐』の試し切りにはちょうどいいな。」
カキン!
シャウザー「少しはやるようだな。」
クレナイ「そっちこそ、音立てないとかめんどいな。」
俺は構えもせずに、ナイフで相手の振り下ろした大剣を止め、弾き返す。
クレナイ「この性能で十分そうだな。」
『月燐』
能 力:夜限定だが、このナイフに触れたものを弾くこと ができる。
魔力倍率×10
魔力倍率は、さっきの魔物を倒した時に〔創造神〕に追加されたものだ。
少ない魔力で、より大きい力を得ることができる反面、何かしらのデメリットをつける必要がある。
クレナイ「案外大したことないな。その、皇帝...」
俺は、ガラ空きになった影の胴体を刺す。
今回は溶けていない。
シャウザー「バカな...その鎧は、S-2の実力を持っても貫けないはずだ!」
月燐の能力が発動する。
音もなく影が爆散。消滅する。
クレナイ「答えは簡単。俺は...」
シャウザーの笑みが溢れる。
不気味な笑み、まるで勝った気だ。
シャウザー「S-8か...」
シャウザー「やめだ、俺は帰る。星は落ちても、光は消えない...」
俺は、シャウザーを逃すまいと距離を詰める。
しかし、全く間に合わない。
シャウザーは溶け、地面に消えた。
クレナイ「S-8っていっても、100%の時の話なんだけどなぁ。」
あの時、まだみんなが倉庫で寝ていた時に、俺はラリスに今の実力を聞いた。
100%の力だけでいえば、S-8に匹敵する。しかし、実力を考慮すれば、S-5。20%ならさらに下がり、S-2あたりだ。
クレナイ「さてと...寝るか。」
俺は宿に戻ろうとすると、
ラリス「急用じゃ。今すぐ来い。」
クレナイ「じゃあ今からあいつら起こすか?」
ラリス「違う、あの2人が“落星”に攫われたんじゃ。」




