第16話 始動“新 星”
毎日17時投稿。
私も、クレナイ君も、がんばってるよ。 byミスラニト
俺は...? byアルト
〜翌日〜
薄暗い部屋の中で、ラリスの目が光る。
その眼光は、昨日よりも鋭かった。
ラリス「お主らは今日から、特設ギルド“新星”じゃ!」
間髪入れずに、 ミスラニトの甘い声が耳元で響く。
ミスラニト「コソコソ...(ラリス先生ってさ、ネーミングセンスないよね。)」
クレナイ「コソコソ...(そうだな。)」
そういえば、俺の二つ名を考えたのもラリスだった。
ラリス「なんじゃ、ノリが悪いな。もっとシャキっとせい!」
アルトが頭を押さえながら体を起こす。
アルト「え?ここどこだよ!」
今日も俺らは普段通り、夢幻の社に来ていた。いざ修行を始めようとしたら、ラリスが、「旧校舎に忘れ物をとりに行ってくる」と言い、いなくなった。
ラリス「どうじゃ、嬉しいじゃろ?我からの些細なサプライズじゃ!」
クレナイ「だとしても、こいつらを気絶させる必要なんて、なかったんじゃないか?」
〜時は少し前に遡る〜
アルト「遅えな、ラリス。」
ラリスは、自分が戻るまで待つように指示を出していた。
少ししてーー
ミスラニト「来たよ。」
ベンチを創り、仮眠していた俺は、甘い声によって目が覚める。
クレナイ「なんだその服?」
ラリスは、薄茶色のポンチョに身を包み、不審な笑みを浮かべていた。
俺が声を出したのとほぼ同時ーー
パチンッ!
ラリスが指を鳴らす。
俺の横では、2人が倒れていた。
ラリス「...効かぬか。」
ミスラニトや、アルトが倒れるなか、俺は普通に立っていた。
クレナイ「〔創造神〕で、気絶しにくいようにしているからか?」
俺の腕輪は、20%と表示されている。
ラリス「そうじゃった、万が一に備えて、制限を20%にしておるんじゃったな。」
ラリスは、木の杖を取り出し、俺らの目の前の地面に向ける。
クレナイ「転送魔法か、どこ行くんだ?」
ラリスを含む全員の足元に、水色の魔法陣が現れていた。
ラリス「秘密、じゃ。」
〜そして今に至る〜
ラリス「その服をやる。それは、このギルドの制服となる。今すぐ着るのじゃ。」
俺らの目の前に、いつの間にか、ラリスと同じポンチョが置かれていた。
ミスラニト「ここで着替えるの...?」
ラリスを除くと唯一の女子の、ミスラニトは困惑する。
ラリス「とにかく、もう時間がない。学校の制服の上から羽織れ。今日からギルドとして、任務をこなしてもらうからな。」
ミスラニト「じゃあこの倉庫?に最初の任務が?」
ラリス「勘がいいのじゃな。」
クレナイ「てか、この倉庫って...」
俺の話を、焦るようにラリスが遮る。
ラリス「我は外で待つ、頑張るのじゃ。」
行ってしまった。
アルト「クレナイ、分かることがあるなら共有してくれ。」
倉庫の空気は淀んでいる。
壁や地面には、所々焼き焦げた跡があり、それも、とても細い跡だった。たまたまついたものではない、誰かがここで戦ったのだろう。
クレナイ「この倉庫は多分...」
???「今日もいい収穫ですね...」
クレナイ「物陰に隠れろ、くるぞ。」
ガラガラ!
勢いよくシャッターが開く。
入ってきたのは、4人の黒服の男たち。
1人だけ格が違う。ボスだろうか?
ボスと思わしき人物の手には、大きな麻袋がーー
ボス「今日の娘も、生きがいいなぁ。」
やっぱりだ。ここ最近、続発しているという、少女を狙った誘拐犯だ。
3人のしたっぱが、倉庫の奥の部屋を開け、ボスが麻袋を、その中へ投げ込んだ。
同時に、俺はここでの任務を確信する。
そう、そこで目にしたのはーー
ガサガサ、
ボス「ん?おい、お前たち、部屋の扉と倉庫のシャッターを閉めろ!」
したっぱたち「「「はい、ボス!」」」
物音が鳴ったのは、ミスラニトのほう。影でよく見えないが、ミスラニトの目は、恐怖だけに染まっていた。
ミスラニトも見てしまったのだろう、こいつらがやっていることーー
ボス「みっけ...」
俺の背後に恐ろしく重い気配があった。
アルト「(なにやってるんだあいつは...)」
俺はやむを得ず、両手を上げて立ち上がる。
クレナイ「悪い。先ほどシャッターが開いていて、雨宿りに使わせてもらった。今から出ていくからシャッターを開けてくれないか?」
したっぱ「どうしますか、ボス?」
ボス「ダメだ。お前がここに入ってきてしまった以上、タダでは返さない。」
クレナイ「何万だ。何十万でもいいぞ。」
ボスの悪意ある笑みが、俺に降り注ぐ。
ボス「当然、お前の命だ。【咆吼拳】!」
ドン!!
俺の目の前に、ボスの腕が映り込む。
腕輪?やっぱこいつ、“*偽魔犯”だな。
*偽魔犯・・・魔力を取り扱う資格の、偽物を持ち、魔力を不正利用する犯罪者。
クレナイ「俺も、タダではやられないさ。」
ボス「なに!?」
俺は、片手で受け止める。
アルト「よし!制圧完了!」
俺とボスが一悶着しているうちに、したっぱたちは、アルトによって、ロープで縛り上げられていた。
ボス「お前ら、何者だ!」
クレナイ「ギルド“新星”、お前らの悪行を終わらせにきた。」
ボス「だが、お前らはここで死ぬんだ。なにも守れずに...」
ボスが口笛を吹く。
それに合わせて、倉庫の2階から、鈍い物音とーー
アルト「本命お出ましか...」
天井が崩れ落ちる音と共に、黒い脚が降りてきた。
長く黒い8本の足、赤く輝く4つの目。
大型の蜘蛛系魔物は威嚇するように叫ぶ。
ボス「こいつは、闇市場で手に入れた魔物だ!ランクにして、“S-2”!」




