第12話 魔物と最強 後編
毎日17時投稿だ。
絶対に読めよ。 byアルト
実況「おっと!危ない、8秒でした!後2秒でアルトの勝利となるところでしたァ!」
フィールドで舞った砂埃は、空高くまで昇る。
俺はアルトの攻撃を避けきれず、高速で場外の壁に激突した。幸いにも防御が間に合い、ダメージはない。
クレナイ「いい魔法だな。」
アルト「うるさい!お前に褒められる俺の気持ちを、考えろ!」
アルトが取り乱す。
そういえば、アルトは、俺が特待生なことに不満があるんだったな。
アルト「次はぶった斬ってやるよ。」
声は多少落ち着いていたが、まだ感情が出ている。
アルトはまた、竜の口から武器を取り出す。
クレナイ「何本在庫あるんだ...」
アルト「俺の魔力が尽きるまでだ。」
アルトが突っ込む。
アルト「【双炎竜撃斬】!!」
一瞬のうちに二度の斬撃。その瞬間の速さは、俺に匹敵するだろう。
クレナイ「だから当たらないって。」
俺はアルトの背後へ移動。しかし、攻撃はせず、そのまま距離を取る。
アルト「もうそれ5回目だろ?じゃ次は止められねえ!」
確かに〔速発瞬転〕はさっき3回、戻る時に1回、今が5回目となる。
リピードならばもう、使用制限に達している。
アルトは大きく一歩を踏み込む。その勢いで地面が割れ、隙間から炎が吹き上がる。自らにその炎を纏い、一直線に突っ込む。
アルト「【炎竜の太刀】」
大剣での居合斬り。
ーー当然
アルト「なに!?」
俺はアルトの背後に、
クレナイ「俺の〔速発瞬転〕に使用制限は存在しない。」
俺は無詠唱で魔法を放つ。
魔力を波うたせ、その衝撃を、空気に伝わらせて相手に届かせる。遠距離版の【重撃】だ。
名付けて、
クレナイ「【送撃】」
カキン!
遠距離な分、ダメージが落ちているのか、アルトは大剣で軽々と防ぐ。
アルト「もう、その技使えないんじゃないか?」
この技は、空気の振動を相手に伝えて、初めてダメージが出る。相手との距離が遠いほど、腕への負担は大きくなる。
ただでさえ負担が大きいこの技は、使い所に気をつける必要があるようだ。
クレナイ「お前こそ、近距離攻撃だけじゃ当たらないんじゃないか?」
次は止めさせない。
俺は、アルトに手の向けて出力2倍の、
クレナイ「【氷結火炎】!!!」
アルト「【竜鱗】!」
竜が真っ向からぶつかりにくる。
パキパキ!
実況「燃えてるのに、凍ってる!?まさに、規格外!」
みるみるうちに竜は、
クレナイ「いい氷像だな。」
アルト「でも、俺に対して氷は無駄だぞ。」
アルトは、一切の迷いもなく、竜の尻尾に切り傷をつける。
ボオオォォォ!!
竜は燃え上がり、氷は全て溶ける。
竜についた傷は、治っている上に、炎で焼けた後もない。
クレナイ「回復も、魔力が尽きるまでか?」
俺の頬に、一滴の汗が流れ落ちる。
アルトはまた突っ込む。
俺は背後に移動する。
ーーが、
アルト「【暴炎爆破】!!」
大剣を振るうのではなく、地面に突き立てる。
地面に刺さった大剣は、白く輝きながら煙を上げていた。
次の瞬間ーー
ドカァァァァン!!!
アルトを巻き込み大爆発を起こした。
俺の防御は間に合わず、空高く吹き飛ばされた。
傷自体はすぐ治したが、すぐに地面に倒れ込み、呼吸がままならなくなる。
クレナイ「呼吸が...毒か...?」
俺は今の爆発で、一酸化炭素を吸い込んでしまった。
アルト「傷の回復はできても、毒の解毒はできないようだな。」
毒で体が弱る中、俺は笑う。
その笑みは、勝利を捉えていた。
クレナイ「何言って...るんだ...今から見せてやるよ。」
ピコン!
俺の目の前に、橙色の電子版が現れる。
「新規項目 “毒” 追加」
俺は、即座に〔創造神〕を発動。
スキル 毒耐性、解毒の二つを創り、さっきまでのは嘘のように、立ち上がる。
実況も黙り込むこの出来事に、アルトは驚かないわけがなく、
アルト「化け物め...」
俺とアルトの目が合う。
俺の目には、楽しさ。アルトの目には、焦り。
クレナイ「そろそろ戦わせようか、俺の龍と...」
俺の真上に魔力が集中、その魔力は唸る。
俺は、激しい戦闘の裏で、〔幻創龍〕の創造を終えていた。
龍の雄叫びに、アルトの竜が怯む。
クレナイ「いけ...【襲焔】!!」
アルトの視界いっぱいに広がる、真っ赤な炎。
アルト「【竜...」
ボオオオォォォォン!!!
アルトの防御は間に合わず、炎でできた竜巻に飲まれる。
その、赤色の炎の中から、緑色の光が漏れる。
実況「勝者!クレナイィィ!!見事決勝進出を決めたァ!」
アルトは膝をつき、一切動かない。
クレナイ「特待生になれなくても、強さは追える。」
アルト「どうだろうな...」
本気でぶつかり合える奴らに悪い奴はいない。
アルトとクレナイ。その激闘から、2人を讃える歓声が、観客席だけでなく、学校中に響いた。いや、そらまで響いただろう。
〜観客席〜
???「はぁ、ヒヤヒヤさせおって。」
観客席のどこかで、聞きなれた声がした。
ラリスだ。
そんなラリスと、黒いローブに身を包ませた男がすれ違う。まるで、影だ。
謎の男「いい弟子を持ったな...」
声が、震えているのか、楽しんでいるのか、分からない。
男は、不気味な笑い声と共に、観客席から姿を消した。
ラリス「貴様の寿命は、あと3年だ。」
ラリスは、笑い混じりにつぶやく。
だが、その声は謎の男に伝わっていない。
〜???〜
???「...いいな、コイツラ...」
ノイズ混じりな声。俺らのさらに上。
でも俺らは、まだ知らなかった。この世界に、
神がいることをーー




