第11話 魔物と最強 前編
毎日17時投稿です。
見てくれるだけで嬉しいです。 by霧島 零夜(作者)
実況「ついに終盤戦!勝ち抜いた猛者たちの熱い試合を見逃すな!」
ここで異変が、
実況「おい!お前たち!盛り上がりが足りてねぇぞォ!」
ラリス「すまない、急用じゃ。少し席を空ける。」
なんだ?
今までの盛り上がりを、一切感じさせない。
ラリスまでいなくなった。
これも、あいつが関係しているのか?
そんな中で、モニターに対戦カードが映る。
実況「準決勝、第一試合は?」
実況「特待生!『本物の最強』、クレナイィィ!!」
俺は、背中に刀を背負った状態で入場する。
観客C「クレナイなら勝てるんじゃないか?」
観客D「ていうか、なんかちょっとだけ冷えた?」
観客たちに段々と熱気が帰ってくるが、一部の観客は体の冷えに気づいた。
観客たち「「「ク レ ナ イ ! ク レ ナ イ !」」」
最初の時が嘘みたいだ。今じゃほとんどの観客がクレナイに惹かれている。
実況「どの試合でも、クレナイの技術は凄かった!とにかく、凄かった!」
実況「対するは、1年生!『竜の勇者』、アルトォォ!!」
観客A「クレナイ負けるなぁ!」
観客たち「「「ク レ ナ イ ! ク レ ナ イ !」」」
アルトの応援をするものは誰もいない。
実況「全試合、完封勝利の実力者!クレナイ相手にどう戦うのか?!」
アルト「なんで中3のお前が特待生で、高1の俺が、雑魚たちと同じクラスなんだよ!」
クレナイ「悪いが、俺に言われてもどうにもできない。」
実況「おいおい、お互いにいつ手を出すかわからないぞォ!早くゴングよ、鳴ってくれェ!」
アルト「俺が勝ったら、特待生の座を俺に譲れ!」
クレナイ「だから、そういうのも俺じゃなくて、先生たちに言えよ。そもそも俺は負けないし、」
アルト「くそが、生意気なんだよ!」
言い争いが激化する中でーー
実況「鳴ったァ!!!」
観客たちは静かに見守る。そこには、身知れた1人の女性。その女性と目が合う。
ピピッ!!
“20%”
ラリスのGOサイン。
ーーと同時に、アルトの魔力が一気に放出される。その魔力は、アルトの後方、上空に溜まり、まるで竜のような形を成す。
いや、実態のある竜だ。
アルト「これは、お前のために温存してた俺の本気だ。」
アルト「俺の固有スキル〔幻想竜〕の100%解放、完全顕現だ!」
竜の雄叫びで観客席が震える。
クレナイ「こいよ。」
俺は〔創造神〕を発動。
スキルとして、
炎、水、雷、岩、風の五大属性の攻撃軽減を創る。
そこで、アルトは魔力の塊に気づく。
アルト「発動させねぇ!」
アルトは、背後の竜の口から生成された、大剣を手に取る。
俺は〔鑑定〕で、大剣の情報を読み取る。
「竜牙の大剣
武器種:大剣
素 材:炎竜の牙
能 力:この大剣でついた傷は、燃え上がる。」
アルト「【炎撃舞陣】!!」
アルトは飛び上がり、クレナイを上から斬り下ろす。
ボン!
爆発するような音が響くなか、上がる煙の中に、人影はなかった。
実況「クレナイが、〔速発瞬転〕を使ったァ!」
アルト「なに!?」
アルトは驚きを隠せない。なぜなら、〔速発瞬転〕は、リピードの固有スキルだからだ。
実況「クレナイの固有スキルが、全くわかりません!他人の固有スキルや技を、次から次へと使っているぞォ!」
俺はすぐに、アルトの背中目掛けて、無詠唱で【氷結火炎】を放つ。
実況「無詠唱で魔法!?もう、なにがあっても驚かなくなってきたァ!」
無詠唱で放つ分、威力は足りない。
だから、今までは火炎放射のような攻撃だったものを、槍状にし、一点集中させる。
ーーがしかし、
クレナイ「そんな簡単にはやられないか、」
実況「消えた!炎の矢が消えたァ?!」
アルト「竜を舐めすぎだ。伝説の生き物だぞ?」
俺の魔法は、アルトの背後にいる竜に、一口で喰われた。
クレナイ「別に舐めてねぇよ。」
クレナイ「これはまだ試しただけだ。その反応速度から、竜自体には、意思無し。そして、魔法を吸収して、自身の魔力にしたり、蓄えたりはできない。そうだろう?」
アルト「それはどうかな?」
アルトの目線が少しズレた。図星だな。
ラリスより表情に出ている。
アルトが構えて突っ込んでくる。
それに合わせて、また〔速発瞬転〕を発動。
アルト「バレバレだ!」
アルトは振り向き、大剣を一振り。攻撃は、
ーー不発。
クレナイ「バレてるのは、そっちじゃないか?」
俺は頭を狙って蹴る。
ドン!
鈍い音が響く。
当たったのは当たったのだが、竜に防がれた。
アルト「(なんでだ?〔速発瞬転〕の使い方が限定的すぎる。)」
バレたな。
アルト「その〔速発瞬転〕、偽物だな。」
そう、俺の創った〔速発瞬転〕は、瞬間移動だが、移動先を、相手の背後に固定している。
ーーただし、
その分コストが浮き、このスキルのデメリットを完全に無くした。
まだ、デメリット無しについては、バレていない。
このまま使い続ける。
クレナイ「【重撃】!!」
アルトは刀で受け止めようとするが、
バキ!!
竜牙の大剣の刃が真っ二つどころか、粉々に砕けた。
すかさず追撃をするが、
アルト「【竜圧】!」
アルトの竜が目の前に現れる。
ドカン!
竜の咆哮に合わせ、また爆発する。
俺は避けきれず、場外まで飛ばされる。
砂埃が追いつかない速さで。




