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天狗と誘拐と女性と 18

龍富視点

 傍で龍富達の方。

 こちらでは硬いドアに道を塞がれていた。


「もう一度やってみるぞ」


「おうよ」


 横を見つつ龍富は古賀松に声をかける。

 古賀松も了承して二人同時に走って行く。

 この前のドアはまだ開かない状況だ。


「どりゃ!」


 衝突前の龍富、古賀松の同時の掛け声。

 二人同時の衝突。

 それでもドアは二人を押し戻す。

 ドアはヒビどころか変わった様子も見せることはない。


(ダメか……あと何回やれば……)


 龍富は無理というよりも何回やる必要があるかと心の中で気にし始めた。


「私も手伝う……って言っても変わりはなさそうね」


「気持ちはありがたいですが、そうっすね」


 苦い顔で白河も手伝いの提案を出すも、古賀松は気持ちはありがたいと言いつつ白河の言葉も肯定していた。

 正直、白河の助力も数の足しにもならない、この点は古賀松と同意見であった。


「でも、ここしか入り口は無いなら、何度もやるしか……」


「そうやって何回ぶつかれるの? この方法は何度でもできるわけでないのに……」


 開かないなら何度もやってと考えていた龍富は言葉でも開けると話すが、八雲は何度この方法ができると疑問を出す。


「……! そうだけど……この方法しか……」


 だが、この方法しかない以上と、その心持ちを龍富は言葉に出す。

 そこで離れたところから、御堂の声を聞くことになる。


「いや、ちょっと待ってほしい」


 御堂の待ったの声。

 白河が御堂の方を向いて、他の皆も順に御堂へ視線を向ける。


「これがあってだな……」


 壁に手を触れて御堂は声を出すと、壁がめくれる。

 御堂の目の前の壁は壁と同じ模様の布を被せていたようだ。


「もしかして、もう一つの道……?」


 大越はもしかしての可能性を呟く。


「ああ、今確認したらドアがあってだな。まだ、開けようともしてないが」


 頷いて御堂は現状を呟く。

 たった今確認出来ての報告だろう。


「隠し通路……かい?」


「そう。ただ、これは罠かもしれないから、どうする? 女将さんはこの道を使わなかったわけだし」


「罠でなくても、この道は危ないかも……」


 大空の疑問に御堂は肯定したあと、大越は危険の可能性を呟く。

 御堂の言うように罠の可能性は十分あった。

 それでも、龍富の答えは決まっていた。


「関係ないさ、あそこで体を痛めつける代わりにドアをこじ開けるよりかは、ずっと可能性がある」


 現状、この道なら可能性があると龍富は言葉に出した。


「じゃあ、いくと言うことで」


「ああ、ガットが待っているんだ。俺が先頭を行く」


 御堂が出す確認の一言にすぐ様龍富は答えた。

 龍富は布を掻き分けてドアに手をかける。

 そしてすぐさまドアを開けて、中へと入った。

 開けて入った先には大きく暗い部屋が待つ。


「今のところは、大丈夫だ。暗いけど罠も無い」


 龍富の声を皮切りに、古賀松、愛川、大空、白河の順にすぐさま入って行く。

 その後に御堂、八雲、大越の順に部屋へ慎重に入り、全員が入ったことになる。


「大丈夫……なのね」


「でも、明かりが欲しいな……どこか、無いのか?」


 周りを見ながらの大越の確認の声。

 それに加えて御堂は明かりがあればと声を出す。

 確かに全く見えない暗さではないが、明かりがないと困る状況だ。


「動くなら気をつけたほうがいいぞ、ある程度分かるって言っても、何が飛び出すか……」


「なんとか明かりが欲しいけど、明かりになりそうなものでも誰か持ってないか……」


 龍富の注意の言葉に、誰か明かりを持ってないかと大空の疑問の声を響かせる。

 少しして明かりがついて、部屋の暗黒が払われる。

 龍富の周りは特に障害物はなく、他の7人がいるだけだ。


「お、無事明かり点灯というところ?」


「誰かつけてくれたの? 私はやってないけど」


 周りを見渡し明かりがついたと確認の声を古賀松は出して、白河から誰がやったのかと疑問の言葉が出た。

 声が次々と出てくる。


「つけてないよ」


「私も違う」


「動いても無いわ」


「俺もスイッチは押してない」


「私も何もしてないけど」


「俺は言わずもがな」


 愛川、大空、八雲、御堂、大越、古賀松の順に声が出てくる。

 龍富も明かりをつけた覚えはない上、白河も口振りからつけてないだろう。


「勝手についたのか……そういう事は」


「あれ……気がついたんだけど、目の前に氷の塊が……」


 となれば誰も明かりをつけなかったことになると龍富は言葉にすると、白河は目の前の氷について話し始める。

 暗かった時は分からなかったが、今では確かに氷の塊が健在していた。

 その確認後、突如氷の塊が動き出す。


「ん……敵か……だったら、アタシも戦え」


 敵の存在を認知したと大空は言葉と共に戦闘態勢に入る。

 確かにこれは土の精の氷版、氷の精だ。

 大空の言葉の途中に大空は視線を上に上げる。

 それもそのはず、その敵の大きさは


「あー……ごめん、アタシには無理だ……」


 成人男性四人か、五人ほどの大きさで、大空は諦めの言葉を出していた。

 その氷の精は一歩を鈍く踏み出した。


「でかい氷の精だな!」


「龍富! 行けるのか?」


 龍富も刀を抜いて言葉と共に戦闘態勢に入ったが、大空からは戦えるのかと疑問が飛び出す。


「こんなのと戦うのは初めてだ。でも、やるしかない!」


 こんなのと戦闘経験はない、それでも自分がやるしかないと龍富の意思を言葉に出した。


「ここが戦わずに済めばいいのだけど……」


「それがいいけど、無理だろうな」


 八雲から戦わなければと別の手段の提案が出てくるも、苦い顔で御堂はその手段を否定した。


「それはどういうこと……?」


「あいつの胸を見れば、倒せって言ってることが分かるよ」


 八雲からすぐに疑問の眼差しと共に言葉が出て、御堂は言葉と共に氷の精の胸の部分に視線を向けていた。

 その胸の部分には何かしら小さいものが埋め込まれている。


「きっと、この部屋の鍵が入っているんだろうね」


 憶測の言葉で御堂は鍵があると御堂は話す。

 御堂の憶測の言葉であったが、龍富自身もその憶測には同意であった。

 少なくとも戦闘は避けられない。


「ダメ、奥の部屋は鍵開けないとダメみたい」


「あそこにいても埒が開かなかったけど、この道も茨だったということね……」


 先に別方向のドアへ向かっていた大越は言葉で鍵の必要性を話し、八雲はこの道は茨の道だったかと話す。


「危ない! 危ない!」


「うおわぁ!!」


 愛川は危険を察知した声を出して氷の精から遠ざかり、大空も声と共に氷の精から遠ざかる。

 それも当然か、氷の精はこちらへと向かって足を前に踏んでいたのだからだ。

 その姿を前に龍富は退魔力を刀に込める。


「これ、あなた一人で挑む気!?」


「挑むなって話には持って行けないじゃないですか! こんなの戦えるのなんて、俺だけだし」


 疑問と驚きの声を白河は出すと、龍富は挑むしか無いと言葉を返した。

 それと同時に、龍富は氷の精に向けて一飛びをして、突きを放つ。

 受けた氷の精は後ろによろけるも、大きなダメージとは言えない状態だ。

 その様子を見て、頬に指を当てて白河は口を開く。


「ふう……焦って戦えとは言っていないけどね?」

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