↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/127

天狗と誘拐と女性と 19

龍富視点

「ふう……焦って戦えとは言っていないけどね?」


 焦った様子の龍富に白河は感想を漏らす。

 見透かされたと反論ができなくなり、龍富はその言葉の意味を聞こうと口を開く。

 龍富だけが戦力のこの状況、確かに焦りはあった。


「それは一体?」


「これを見た方が早いわ」


 疑問を龍富が出したあと、行動で示すと白河の言葉。

 その後白河は腰を落とす体制に入る。

 瞬時の間、その間ですでに白河は高く跳んでいた。

 その高さは氷の精の顔に位置する部分までで、龍富よりも高い。


「おい! あそこまで飛べるのか?」


「そうよ、天狗って化者はあそこまで飛べるの」


 跳躍を見た大空の驚きの声に八雲は解説に入る。

 三日月のように白河は上体を逸らしたまま宙に位置し、蹴りの力をその場で貯めていた。

 ここまで動いた氷の精だが機敏な体ではなく、この蹴りはかわせないと龍富は判断する。


「何せ、風を生み出して、それの扱いにも長けているから。人間の姿でも」


 八雲はここまでの跳躍を可能にする理由を話す。

 同時に力が貯まった足を解放した。


「そおれ!!」


 白河の言葉と共に下に向けての蹴りと氷がぶつかる音が響く。

 氷の精は大きく体勢を崩し、倒れる寸前で足を使って踏ん張りを見せる。


「おおー!」


「こんなことまで……」


 愛川の驚きと賞賛の声の後に大越からも驚きの声が出る。

 白河は片足だけ一旦の着地をする直前に、衝撃を緩めるためか周囲に風が起こる。


「私も戦えるわ、って事よ」


「ありがとうございます! この状況、大きな戦力です!」


 龍富の横で白河は戦闘ができると伝えて、龍富が感謝を伝える。


「で、あいつを倒すって目標でいいわけね?」


「そうですね、鍵だけ取って移動なんて許してくれないでしょうから」


 横目で見ていた白河は目標の確認をして、龍富は同意の意思を伝える。


「移動した先のあの女将も……ね」


「そう言うわけで、倒して全員で移動しましょう」


 先のドアを見つつ八雲は女将も許さないと話して、龍富は八雲の話への同意も含めて改めて倒すことを目標と話した。


「他は下がっていてくれ! 銃の攻撃も効かないから手出しはしなくていい!」


 指示として龍富は他の人は下がるようにと話した。

 この大きさで銃弾を受けても小石をぶつけられたダメージ程度だろう。


「きっとアタシ達も下がった方がいいだろうな」


「だな。俺が行ってもリスクの方がでかすぎる」


 大空も下がった方がいいと呟き、古賀松もまたリスクを理由に下がることに同意をした。

 龍富、白河以外の6人は部屋の隅へと集まって避難をする。

 今の氷の精の狙いは、龍富、白河の組。


「まずは腕一本でも封じれば……」


「じゃあ、左肩狙ってみる? うまくいけば落とせるかも、よ?」


 龍富はまず腕を封じればと願望を呟く。

 その意見に左肩をと意見が白河から出てきた傍、拳が振り下ろされようとしていた。

 二人ですぐ様移動して氷の精の上からの拳を避けた。

 実際、腕を封じれば攻撃もしやすくなる上、この場の全員への危険度も下がるためだ。


「では、そこを集中して」


「私は出来るだけあなたが狙いやすくなるように、肩の上からの攻撃をしてみるから。それで体勢を崩せば狙いやすくなるでしょ?」


 左の方を狙うと移動しつつ龍富は話し、白河は補助も兼ねると同じく移動して話した。

 白河も言葉と共に別個に移動を始める。


 今氷の精が狙うは龍富。

 氷の精は片腕を後ろに下げて、龍富に向け拳を振り下ろそうとする。

 拳を氷の精は放つが、その動きは機敏ではない。

 動きを注視していれば龍富はかわせた。


(先鋭体でもないんだ、結局動きは土の精と同じで、かわし方も似たようにやれば……)


 心の中で龍富は小さい土の精と同じようにかわせばと確認の言葉を呟く。

 あくまででかく一撃がより重くなった土の精、かわし方は注視すれば同じで問題ないのだ。

 白河を見ると氷の精の後方にいて、飛び上がった。


「じゃあ、左肩狙うわよ!」


 左肩から白河の攻撃宣言。

 氷の精の後ろに回り込み、白河は飛び蹴りを放ち、左肩部に受けた氷の精は前のめりになる。

 狙うは今。


「だあぁ!」


 龍富は声と共に刀に退魔力を込めて飛ぶ。

 更に退魔力で刃の長さを延長させて左肩を狙って振り下ろす。

 体勢がかわすのに困難、であればこの攻撃も当たるは必然。

 左肩と胴体の接続部に斬撃が当たる。

 まだ、切り離すには至らなかった、が、手応えは悪くない。


「まだだが、後一発入れればもしかすると……」


「いけるかもね! もう一度引きつけて同じようにやって見ましょう!」


 手応えについて龍富が話すと、白河は同じ意見と話しつつもう一度同じ手段で行くと話した。

 龍富は頷いて同意の意思を伝えてから走る。

 氷の精は右往左往と白河、龍富を交互に見ていた。

 その中で龍富は氷の精の左肩の動きが先ほどよりも鈍いと感じることになる。


(さっきのは憶測だったが、この状態は後一発でいけると見ていいか!)


 その鈍さを証拠として龍富は内心の言葉で憶測を確信へと引き上げた。

 氷の精は右往左往しているうちに白河は隙ありと、今度は右の脇へと向けて飛び上がる。


「こっちの方が狙いやすかったから、こっちでごめんなさい!」


 右脇に狙いを定めて宙に位置し、白河は龍富に謝る。

 右往左往と中途半端に見ていれば、隙も両方に出てくるとも言える。

 氷の精は白河に気付く様子もなかった。


「さっきよりも狙いやすくするからね!」


 白河の言葉と共に放った蹴りは命中した。

 現に氷の精は左をかばう様子を先ほどから見せていて右肩は隙が大きかったため、龍富も狙う理由は理解できた。

 右脇を蹴られて氷の精は左へ傾く。

 左は当然無防備、ならば。


「充分です、これで……」


 これでいいとの龍富の言葉、共に退魔力を刀に込めての跳躍。


「左も落とせます!」


 いけると龍富は言い放つと同時に刀が振り下ろされる。

 左肩と胴体の接触部に退魔力の刃がめり込み。

 龍富は一気に振り下ろした。

 刀の稼働はほぼ360度。

 振った刀は氷の精の肩を分離させた。

 肩から分離した腕はただの氷の塊として落ちて、破砕の轟音を周りに響かせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。