↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄狩り 〜最初の獲物を狩った日、世界は俺を敵にした〜  作者: Toi
第4章 七賢者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
87/141

4-18 監察者

第四章


七賢者編


第十八話


吹雪が舞う。


白銀の世界に足跡は二つだけ。


アイリスは剣を肩へ担ぎ、目の前の女を見つめていた。


「ずいぶん静かね。」


監察者は答えない。


その瞳だけが、アイリスを映している。


「喋らないタイプ?」


「必要がない。」


初めて返事が返る。


「私は見る者。」


「戦う前に終わっている。」


アイリスは肩をすくめた。


「嫌いじゃないわ。」


剣を抜く。


細身の刀身が月明かりを反射する。


「でも。」


笑う。


「それって面白くない。」


轟音。


雪を裂き、一瞬で距離を詰める。


速い。


だが。


監察者は半歩だけ身体をずらした。


斬撃が空を切る。


二撃目。


三撃目。


四撃目。


全て避けられる。


「へぇ。」


アイリスは一度距離を取った。


「全部見えてるのね。」


監察者は静かに頷く。


「剣筋。」


「呼吸。」


「重心。」


「視線。」


「次の一歩。」


「全て。」


「見えている。」


風が止む。


アイリスは笑った。


「つまり。」


剣を構える。


「見えなきゃいいのか。」


轟音。


吹雪が爆ぜる。


雪煙が一気に視界を覆った。


監察者は動かない。


「無意味。」


静かな声。


「目を閉じても見える。」


その瞬間。


背後から剣が迫る。


監察者は振り返らない。


後ろへ一歩。


剣先が鼻先を掠める。


さらに左。


さらに前。


全て最適。


アイリスの攻撃は一つも届かない。


「嘘でしょ。」


初めて笑みが消えた。


監察者は静かに言う。


「景色を見るのではない。」


「可能性を見る。」


アイリスは小さく息を吐く。


「なるほど。」


剣を下ろす。


「なら。」


笑う。


「面白くなってきた。」


監察者は僅かに眉を動かした。


「何が。」


アイリスは剣を肩へ担ぐ。


「私ね。」


夜空を見上げる。


「昔から。」


「正面から勝ったことないの。」


吹雪が強くなる。


雪が視界を埋め尽くす。


「騙すのは。」


静かに笑う。


「得意なのよ。」


監察者の瞳が初めて細くなった。


「……警戒対象を変更。」


吹雪の中。


アイリスの姿が消える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。