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英雄狩り 〜最初の獲物を狩った日、世界は俺を敵にした〜  作者: Toi
第4章 七賢者編

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4-14 選べない未来

第四章


七賢者編


第十四話


神殿を揺らす轟音とともに、ガイアスの拳が選定者へ迫る。


一直線。


迷いのない一撃。


だが拳は届く寸前で軌道を外れ、そのまま壁を砕いた。


「……またか。」


瓦礫を払いながら笑う。


選定者は静かに本を閉じた。


「未来は無数に存在する。その中から最善だけを選ぶ。それが私の役目だ。」


「便利な能力だな。」


「能力ではない。」


選定者は首を横へ振る。


「選択だ。」


その言葉と同時に踏み込む。


轟音。


ガイアスの肩へ拳がめり込み、巨体が数十メートル吹き飛ぶ。床を削りながら止まると、すぐに立ち上がった。


「やっぱり面白ぇ。」


血を吐きながら笑う。


「笑う理由が分からない。」


「簡単だ。」


ガイアスは拳を握る。


「殴り合いが強い奴ほど燃える。」


再び激突。


右拳。


左拳。


膝。


肩。


攻撃の数だけ床が砕ける。


しかし結果は同じだった。


未来を選ばれるたび、拳は僅かに逸れ、選定者の反撃だけが確実に命中する。


何十回目かの衝突の末、ガイアスは片膝をついた。


普通なら立てない傷。


それでも笑っている。


「終わりだ。」


選定者が静かに告げる。


「いや。」


ガイアスは首を振る。


「ようやく分かった。」


選定者の眉が僅かに動く。


「お前。」


ゆっくり立ち上がる。


「未来を選んでるんじゃねぇ。」


「……。」


「選べる未来しか選べねぇ。」


長い沈黙が流れる。


初めてだった。


選定者が答えなかったのは。


ガイアスはニヤリと笑う。


「図星か。」


「人間は選択する生き物だ。」


選定者が静かに口を開く。


「選択肢が存在する限り、私は最善へ導ける。」


「だったら。」


ガイアスは肩を鳴らす。


「選択肢そのものを潰せばいい。」


神殿が揺れた。


選定者は初めて構えを変える。


「不可能だ。」


「そうか?」


ガイアスは一歩踏み出す。


「だったら試してみる。」


その瞬間。


神殿全体へ凄まじい重圧が走った。


床が軋む。


壁が悲鳴を上げる。


天井から瓦礫が降り始める。


選定者はゆっくりと足元を見る。


床が沈んでいる。


違う。


神殿そのものが重くなっていた。


ガイアスは拳を握り直し、静かに笑う。


「未来を超える。」

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