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英雄狩り 〜最初の獲物を狩った日、世界は俺を敵にした〜  作者: Toi
第4章 七賢者編

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4-4 絶望感

第四章


七賢者編


第四話


夜空に轟音が響く。


グラムは何度倒されても立ち上がると、炎を纏ったまま再び記録者へ突っ込んだ。拳、蹴り、炎――攻撃の種類も角度も変え、間合いも変えながら畳み掛ける。


だが。


結果だけは変わらない。


拳は届く。


炎も命中する。


それでも記録者は微動だにしない。


「……ッ!」


今度は炎を一点へ圧縮した。


爆発ではなく、貫くための炎。


焔帝が初めて見せる一撃だった。


轟音。


夜空が白く染まる。


しかし、煙の向こうに立っていた記録者は、小さく腕を払っただけだった。


「終わりか。」


その拳がグラムの腹へ沈む。


鈍い衝撃とともに身体が吹き飛び、山脈を貫いて地面へ叩きつけられた。


グラムはすぐに立ち上がる。


肩で息をしながらも、炎は消えない。


「まだだ。」


再び踏み込む。


今度は距離を詰めず、炎だけを放つ。


巨大な火球。


無数の炎槍。


空一面を覆う火炎。


夜空そのものが燃え始める。


それでも。


記録者は歩き続けた。


炎の中を。


散歩でもするように。


「……効いてねぇ。」


グラムの笑みが、初めて消えた。



地下神殿。


ガイアスも押されていた。


選定者へ拳を振るうたび、未来がずれる。


当たるはずの拳が届かない。


「チッ……!」


力で押し切れない。


そんな相手は初めてだった。



吹雪の中では、アイリスの剣が何十度も空を切る。


監察者は剣を抜かない。


ただ見ているだけで、すべてを避けていた。


「全部見えてるって?」


アイリスは笑おうとした。


だが。


その笑顔は少しだけ引きつっていた。



夜空。


グラムは息を整えながら、静かに記録者を見つめる。


何をしても届かない。


何を変えても効かない。


歴代最強。


そう呼ばれてきた自分の力が、初めて完全に否定されていた。


記録者は本を閉じる。


「六代目。」


静かな声だった。


「お前は強い。」


その一言に、グラムは笑う。


「知ってる。」


「だが。」


記録者は続ける。


「強いだけでは、歴史は越えられない。」


夜風が止まる。


グラムは何も答えなかった。


ただ、拳を握る。


強さだけでは勝てない。


その事実だけが、胸の奥へ静かに突き刺さった。

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