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英雄狩り 〜最初の獲物を狩った日、世界は俺を敵にした〜  作者: Toi
第4章 七賢者編

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4-2 選択

第四章


七賢者編


第二話


最初に均衡を破ったのはガイアスだった。


「うおおおおッ!」


両腕の籠手を打ち鳴らし、そのまま選定者へ突っ込む。


豪快。


一直線。


避けるという発想すらない。


選定者は静かに右手を上げた。


「選ぶ。」


その瞬間だった。


ガイアスの拳が止まる。


「……?」


届く。


あと数センチ。


それなのに、身体が前へ出ない。


まるで自分自身が、その一歩を拒絶したようだった。


「未来は無数に存在する。」


選定者は淡々と続ける。


「私は、その中から一つを選ぶ。」


次の瞬間。


ガイアスの足元が崩れた。


轟音と共に地面が陥没し、その巨体が地下深くへ飲み込まれる。


それでも笑い声だけは止まらない。


「面白ぇじゃねぇか!」



白銀の世界。


監察者は微動だにしない。


対するアイリスは細身の剣をゆっくり抜いた。


「見てるだけ?」


「見届ける。」


監察者の返答は短い。


アイリスは肩をすくめる。


「じゃあ。」


その姿が消えた。


一瞬で背後へ回り込み、剣閃が首筋を薙ぐ。


しかし届かない。


監察者は振り返りもせず、半歩だけ身体をずらした。


「見えている。」


「全部?」


「全部だ。」


アイリスは初めて笑みを深くした。


「なら、退屈させないであげる。」


吹雪が二人を包み込む。



上空。


夜空を赤い炎が裂く。


グラムの拳が記録者を捉え、炎が何度も爆ぜる。


普通なら立っていることすらできない。


それでも記録者は避けない。


全てを受け止める。


「終わりか?」


グラムが笑う。


記録者は焼けた腕を静かに見つめた。


「十分だ。」


小さく頷く。


「記録した。」


その瞬間。


焼け焦げた皮膚が、静かに元へ戻り始める。


治癒ではない。


まるで最初から傷など存在しなかったように、炎そのものが消えていく。


グラムの笑みが止まった。


「……何をした?」


記録者は一歩踏み出す。


「まだ始まったばかりだ。」


次の瞬間。


拳がグラムの腹へめり込む。


轟音。


焔帝の身体が夜空を一直線に吹き飛び、山脈を砕きながら地平線の彼方へ消えた。


夜空に静寂が訪れる。


記録者は吹き飛んだ先を見つめ、小さく本を開いた。


そこには、新しい一行だけが刻まれていた。


『六代目焔帝――記録開始。』

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