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英雄狩り 〜最初の獲物を狩った日、世界は俺を敵にした〜  作者: Toi
第3章 オラクル編

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3-3 英雄会議

第三章


オラクル編


第三話


執行者の後を歩く。


地下神殿の奥。


巨大な回廊が続いていた。


誰もいない。


足音だけが響く。


グラムが前を向いたまま聞く。


「何人呼んだ」


「五人」


執行者は答える。


「五大国の英雄全員だ」


セレスが眉をひそめる。


「全員来たんですか」


「来る」


即答だった。


「来なければならない」


静かな声。


その言葉には妙な確信があった。


やがて。


巨大な扉が見えてくる。


高さ十メートルを超える黒い扉。


装飾はない。


だが。


威圧感だけがあった。


執行者が立ち止まる。


「中だ」


重い音が響く。


扉が開く。


静寂。


最初に聞こえたのは笑い声だった。


豪快な。


会議場全体を揺らすような笑い声。


「来たか!」


男が立ち上がる。


巨大だった。


座っていたはずなのに。


立ち上がった瞬間。


山が動いたように見えた。


「グラム!」


会議場に響く大声。


「まだ生きてたか!」


グラムが笑う。


「お前こそな」


男は豪快に笑う。


鉄王ガイアス。


五大国の英雄。


世界地図には変わらない線がある。


ガイアスが守る国境線だ。


王が変わろうと。


将軍が変わろうと。


戦争が起ころうと。


その線だけは動かない。


人々は彼をこう呼ぶ。


生きた国境。


「何年ぶりだ?」


ガイアスが笑う。


「七年」


グラムが答える。


「懐かしいな!」


「全くだ」


その会話だけで分かる。


二人は長い付き合いだった。


その隣。


銀髪の女性が座っている。


静かだった。


異様なほどに。


彼女の周囲だけ。


空気が違う。


冷たい。


まるで冬そのものが座っているようだった。


氷姫アイリス。


北方連盟の英雄。


戦争が始まると。


各国が最初に確認する。


敵軍の数ではない。


補給でもない。


同盟でもない。


氷姫はどこにいるのか。


それだけで戦略が変わる。


それだけで国家が動く。


アイリスはグラムを見る。


「相変わらず騒がしいわね」


「久しぶりだな」


「嬉しくないわ」


即答だった。


グラムが笑う。


「お前も変わらんな」


「変わる理由がないもの」


静かな声。


その一言だけで。


周囲の空気が冷える。


そして。


共和国席。


一人の男が座っていた。


目立たない。


大柄でもない。


派手でもない。


だが。


誰よりも存在感があった。


天秤王バルド。


共和国の英雄。


国家。


民衆。


王。


英雄。


敵国。


味方。


全てを同じ秤に乗せる男。


だから恐れられる。


だから信頼される。


だから信用されない。


バルドが口を開く。


「久しいな」


「そうだな」


グラムが答える。


短い。


それだけだった。


だが。


互いにそれ以上を必要としていなかった。


その時だった。


ガイアスの視線が動く。


ノアへ。


静寂。


巨大な男がニヤリと笑った。


「お前か」


ノアが見る。


「なんだ?」


ガイアスは腕を組む。


「グラムと戦って生き残ったって奴は」


会議場が静かになる。


アイリスも。


バルドも。


ノアを見る。


ノアは答える。


「運が良かっただけだ」


ガイアスが吹き出した。


そして。


大声で笑う。


「ははは!」


豪快な笑い声。


「運だと?」


笑いながら首を振る。


「違うな」


静寂。


ガイアスの目が細くなる。


初めて。


英雄の目になる。


「グラムと戦って生き残った人間は初めて見た」


会議場が静まる。


誰も否定しない。


英雄狩りの報告は各国へ届いている。


ガイアスは笑う。


「気に入った」


ノアが眉をひそめる。


「何がだ」


「運で済ませるところだ」


再び笑う。


「面白ぇ奴だな」


アイリスが冷たく言う。


「うるさい」


「何だよ」


「会議前よ」


ガイアスは肩を竦めた。


「はいはい」


その時だった。


執行者が中央へ歩く。


英雄達も自然と席に着く。


グラム。


セレス。


ガイアス。


アイリス。


バルド。


五大国の象徴達。


そして。


中央に立つ執行者。


静寂。


ガイアスが腕を組む。


「で?」


豪快な声。


「何が起きてる」


アイリスも言う。


「終焉の件でしょう?」


バルドは黙っている。


だが。


視線は執行者から外れない。


執行者は静かに全員を見渡した。


そして。


口を開く。


「終焉は始まった」


静寂。


誰も驚かない。


全員が知っている。


問題はその先だ。


執行者は続ける。


「だから英雄を集めた」


ガイアスが鼻を鳴らす。


「終焉を止めろって話か?」


「違う」


即答だった。


会議場の空気が変わる。


執行者の声が僅かに重くなる。


「まず知ってもらう。いや、知らなければならない」


静寂。


「何と向き合っているのかを」


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