22.至らない俺達
勇者くんが眠ったまま、七日が経った。
今、クラウスくんとハンナちゃんは勇者くんのそばに居る。俺がそろそろ起きるかも?と言ったからだ。
「レオン……」
とハンナちゃんは勇者くんの手を握る。
「……レオン……さっさと起きろよ……」
とクラウスくんは勇者くんを見つめる。
『勇者くーん?勇者くーん……そろそろ起きてくれないと俺寂しいよー……うわーん』
「……ん……アインザー……うるさい……」
と勇者くんの声がしたっ!
『勇者くん?……目が覚めたの?』
「……ん?……ここは?ってロッソは!?」
とガバリと勇者くんは起き上がる。
「ここは領主邸だ……ロッソは討伐した……」
「領主邸……討伐した……?」
「……レオン痛いところとかない?身体は大丈夫?」
「身体?……全然大丈夫だけど……って俺……ロッソにバッサリとやられた筈だよね?」
と勇者くんは自分の身体をぺたぺた探る。
『勇者くん……覚えてないの?』
「覚えてない?……何を?」
『……俺……勇者くんがロッソにやられて気を失った後……勇者くんの身体を無理矢理乗っ取って……ロッソを倒したんだ……それで勇者くんは魔力が乱れてしまって……七日も眠ってたんだ……』
「……アインザーが俺の身体を使って……」
と勇者くんは考え込んでしまった。
……あー……軽蔑されたかな……所詮は魔剣だって……。うわん。
「でも……アインザーがそうしてくれなかったら……私達……全滅していたわ……」
「ああ……そうなっていただろう……」
と、二人は庇ってくれる……ありがとう……。
「…………」
勇者くんは考え込んだままだ。
『勇者くん?やっぱり怒ってるよね……ごめんなさい……』
「………………そうかっ!思い出したよ……助かったよアインザー!ありがとう!!」
と俺を抜いて頬擦りをしてくる。ちょっとどうしたの勇者くん!?危ないよ!
『えっ?えっ?勇者くん?どういう事?』
と俺は混乱してしまっている。
「だからー思い出したんだよ!……アインザーに乗っ取られていた時の事を!」
『えっ?意識の無かったのに覚えてるの?』
「うん。……本当にありがとう……アインザー……俺が至らないばっかりに……」
それは違う!と俺とクラウスくん、ハンナちゃんの声が重なった。
どうやら俺達はそれぞれが至らなかったせいだと思っている様だ……。
それぞれ自分が弱いせいだと述べた。
「うーん……皆同じ思いなんだね……」
「ああ……」
「ええ……」
『うん……』
としんみりとした雰囲気が漂う。
「んじゃあ今回は皆おあいこってことで……ね?」
と勇者くんは包み込む様に微笑む。男だけど聖女の様だ。ま、眩しい。
「レオンお前がそう言うなら……」
「私も……」
『うん……勇者くんありがとう……』
「……とりあえずじゃあこれで第五配下のロッソは討伐完了なんだよね?」
「ああ……一応な……」
『んじゃあ王様に報告に行かないとねー。勇者くん動ける?』
「ん……まあ大丈夫そうだよ」
と苦笑する。ちょっと身体が動かしづらそうだ。
それから領主さんに出発の挨拶に行くと、お礼がしたいと引き止められました。
俺の好意は受け取っておきなよー。との声で勇者くん達は素直に接待を受けた。
豪華な食事でしたなぁ。……美味しいってどんな感覚なんだろう。
そして色々贈り物も勇者くん達はありがたく受け取った。俺が受け取っちゃえーと悪魔よろしく囁いたからだ。ふひひ。
まあ、旅の資金は多い方が良いでしょ?
そして夕方に俺の移動術で領主邸から王都へと向かった。




