23.逗留とお誘い
夕刻、勇者くん達は王城の玉座の間にて王様に討伐の報告をしている。
「おお、そうか。倒してくれたのだな……礼を言う勇者よ……」
と王様は嬉しそうだ。
「いえ、当然の事をした迄ですので……」
と謙虚な勇者くん。
「勇者よ、こちらが褒美じゃ……」
と王様はパンパンと手を鳴らす。
すると、臣下が勇者くんに色々な袋を差し出した。
「えっ……いや……まだ魔王を倒していないのにこんなに受け取れません……」
と勇者くんはアワアワしている。欲が無いなぁ……。
「勇者よ……その軍資金だと思って受け取ってはくれぬか?……最初の旅立ちにも、ヴァイス討伐にもろくに渡せんかったしのぉ……おぬしらが強くなった今ならこれだけ持っていても賊に襲われる事はあるまいて……」
『そうだよー勇者くーん。ありがたく受け取りなってー』
「魔剣の言う通りじゃぞ」
「……分かりました……陛下……ありがとうございます」
と勇者くんは褒美を受け取った。やれやれ欲が無いのも困ったものだ。……だから勇者くんなのか……。
ちなみに勇者くん達にはそれぞれ俺が拡張の魔術を掛けたポーチとかを持たせているので、どんな荷物もスルスルとそこへ収納可能なのだ!魔道具の一種にしているのである。俺凄いっしょ?
勇者くんはウエストポーチへ褒美を大切にしまった。
「……陛下……それで、次の配下の情報とかあったりはしないでしょうか?」
とクラウスくんが口を挟む。
「うむ……それが……さっぱりなのじゃ……すまぬな……」
「そうですか……」
「というわけで勇者よ……しばらくこの王城へ逗留せぬか?臣下に情報を集めさせるゆえ……」
『勇者くーん、居させてもらおうよー』
「魔剣もこう言っておるのじゃ……勇者よ」
「は、はい……ではしばらくお世話になります」
と王城への逗留が決まった。
それから勇者くん達はメイドさんに案内されてそれぞれ部屋を宛てがわれた。
今は勇者くんに宛てがわれた部屋に集まり勇者くんが眠っていた間の話をしている。
クラウスくんが暗黒魔法剣士になったことを話した。もちろん俺の分体の事も。
「へー……クラウスが再び剣を!今度見せてよ!」
と勇者くんは嬉しそうだ。
「あ、ああ……」
とクラウスくんは頬を掻いて照れくさそうにしている。
「……皆先へ行っちゃうのね……」
とハンナちゃんが寂しそうに小さく呟いたが勇者くんとクラウスくんには聞こえていなかった様だ。
……ハンナちゃん大丈夫かな……。
そうしてワイワイと話していると。コンコンとドアがノックされた。
「勇者様……よろしいでしょうか?」
「は、はいどうぞ……」
一人のメイドさんが入ってきた。そして勇者くんへメッセージカードを差し出す。
「姫様からのメッセージでございます……」
「えっ……エミリア姫からの……!」
と勇者くんは慌ててメッセージカードを読む。
内容を要約すると明日のお茶会への招待だった。勇者くん一行の……。勇者くん単体じゃないな惜しいっ!
「お返事はいかがでしょう?」
「も、もちろん参加させていただきますっ!皆もいいよね?」
「ああ」
「ええ」
……ニヤニヤしてるなお二人さん……。俺もだけど。
「それではそう姫様へお返事をさせていただきますね。失礼致します」
とメイドさんは下がっていった。
「……え、エミリア姫とお茶会……」
と勇者くんはぽおっとしている様だ。……好きな子からのお誘いだもんねー。仕方ない。
「良かったわねーレオンー」
とハンナちゃんはニヤニヤ。
「良かったな」
とクラウスくんもニヤニヤ。
『だよねー』
と俺も表情無いけどニヤニヤ。
「……う、うん……で、ニヤニヤするの止めてくれる?」
だってねーとクラウスくんとハンナちゃんは向かい合ってニヤニヤ。
『姫様とお近づきになるチャンスだからねーむふふっ。そりゃニヤニヤもしますわー』
「なっ!ばっ!チャンスとか……そんなんじゃ……」
『あるよね?』
「……はい……」
と勇者くんは全身真っ赤になった。
『というわけで今日は明日に備えてさっさと寝ましょう!お茶会も戦場だぜー』
「う、うん」
『あっ、その前にお手入れしてね……ロッソ戦からされてないから……』
「……うん……」
と勇者くんは脱力した。
そしてお手入れ中にクラウスくんとハンナちゃんはそれぞれに宛てがわれた部屋に戻った。おやすみー二人共ー。
『あふん……そ、そこは……らめぇ……っん』
と研がれて喘ぐ。気持ちいいんっ!
「相変わらずだね……」
と勇者くんはため息をつきながらも丁寧にお手入れしてくれた。
ありがとうねん勇者くん。おやすみー。良い夢を。




