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18.深夜の行軍


 領主邸と街を出る頃にはすっかり日が落ちていた。魔物が活発化する時間帯だ。


 領主には散々引き止められた。そりゃ勇者くんが居れば街は再び襲撃されても安泰だろう……が勇者くんは行かねばならぬのである。


 街は聖職者による神聖魔法で護られていて魔物はほぼ出ないが、一歩外に出ると魔物がうじゃうじゃである。腕がなるわー。


『そいやっさー』

 と勇者くん達へ迫る魔物へ氷の魔術を軽く放って倒す。深夜ですからな……おおまけにまけての俺も攻撃ですよー。


「流石アインザー、ありがとう」

 と勇者くんは撫でてくれる。


『ふひひ……どういたしましてー。深夜だからねー。協力しておかないと疲れられちゃったらロッソ戦が大変だからねー』

 とまた迫り来る魔物をかるーく魔術で蹴散らす。


 そうしているとクラウスくんの視線をすっごく感じた……何?何?


『クラウスくん?どしたの?なーんか熱視線を感じるんですけどぉー。華麗なアインザーさんに見惚れちゃった?』


「何でもない……気持ち悪い事を言うな……」

 とクラウスくんは眉を顰めて離れてしまった。ありゃ?


「どうしたのクラウス?」

 とハンナちゃんは気にかけている様だ。が、何でもないとツンとしている。……さっさとハンナちゃんにデレりゃ良いものを……。


 今度ハンナちゃんとの恋の進み具合をつついてやろうっとー。……あっ、んなことしたら折られちゃうかなぁ?ひえっ。


 でも勇者くんはエミリア姫が好きで、クラウスくんはハンナちゃんが好きなんだから恋バナとかすればいいのになぁ……俺は恋バナに飢えているのだ。


 そうして順調に進んでいると、魔物の遠吠えが聞こえてきた。……あれ?まずっ……これってウルフ系の群れだわ……。か、囲まれたかも。


「……アインザー……これってマズイ?」

 と流石の勇者くんも勘づいた様だ。


『非常にまずーいよ……単体で強い魔物だけ警戒してたから、うっかりしてた……』


「ちっ……しっかりしろよ……」


「……まあまあ、とりあえず今はこれを切り抜ける事を考えましょう?」

 とハンナちゃんはロッドを構える。


「そうだな」

 とクラウスくんも杖を構える。


『とりあえずお二人さんには移動可能な障壁を張るから、詠唱頑張って!……さあ勇者くん、どうしますかな?』

 と二人を護る黒い障壁を張って、勇者くんの指示を仰ぐ。リーダーは勇者くんだからね。


「……突っ込んで数を減らしていくよ!アインザーは魔術で援護を!」

 と勇者くんは自信に満ちた顔だ。むふっ……勇者らしくていいわー。


『いえっさー!魔術ぶんぶんやるぞー!』

 と勇者くんが突っ込み易いように、ウルフの群れに魔術で切り込む。


 群れが崩れたそこへ勇者くんは駆け、切り込んでいく。今の勇者くんの実力ならウルフは大体一撃ぐらいで倒していけるだろう。


 その数はどんどん減っていく。


 後ろ側もクラウスくんとハンナちゃんの魔術で着実に減っていく。……障壁まですっかり囲まれているけど……。


 ウルフ達はもどかしそうに障壁を爪や牙で攻撃する。……そんなもん俺の障壁に効くわけないじゃーん。ふひっ。


『勇者くーん、残りちょっとだけど油断ないようにねー』

 と言いつつも魔物を放つ。


「わかってるよー」

 と、どんどんウルフを斬り捨てていく。……その太刀筋に迷いはない。……ちょっと立派な使い手になったものだ……。嬉しいっ。


 勇者くんがちゃんと自分で防御するから防御術も発動がかなり減ったしね。良い良い。


 そして勇者くんの目の前にはウルフは居なくなった。あとは後衛二人を囲っているウルフだけである。


 それも勇者くんは容易く駆逐していく。ひゅー流石ぁー。


 そして完全にウルフは居なくなった。


『お疲れ様ー。勇者くん大活躍だったね』


「えへへ……アインザーもサポートありがとう」


『クラウスくんもハンナちゃんもお疲れ様ー。障壁大丈夫だったよね?』


「ああ、問題無かった」


「うん、大丈夫だったよー。ありがとうアインザー」


 ……何だか二人の顔は曇っている感じがした……。ちょっと察せたかも……。うん。今度落ち着いたらお二人さんに話しかけねば……。


 それからは特に問題無く進む事が出来た。後ちょっとで街かな?

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