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第77話 同じだけ変わる

 夜。


 朝倉裕翔はベッドに寝転びながらスマホを見ていた。


 REALITÉ。


 何度も開いた画面。


 もう見慣れているはずなのに、今日は少し違って見えた。



STATUS


STR:D

AGI:D

INT:B

SOC:C


同期状態:安定

接続対象:1



「……接続対象」


 小さく呟く。


 最初は意味を考えなかった。


 ただの表示だと思っていた。


 でも今は違う。



 今日の帰り道。


 同じタイミングで届いた通知。


 さつきもスマホを見ていた。


 偶然とは思えなかった。



(相互同期補正……)


 頭の中で言葉を並べる。


 ゲームっぽい単語。


 でも起きているのは現実。



 裕翔は体を起こした。


 机に向かう。


 ノートを開く。


 珍しく、考えを整理しようとしていた。



「もし」


 ペンを走らせる。



・自分の行動 → 数値上昇

・同期状態 → 安定

・相互補正 → 発生



 少し考える。


 そして、次の言葉を書く。



「二人で変化している?」



 ペンが止まった。


 自分で書いたのに、妙にしっくりくる。



 さつきは最近、明らかに変わった。


 理解が早い。

 表情が柔らかい。

 会話が自然。


 でも――


 それは自分にも起きている。



(俺も、前より話せてる)


 気づいてしまう。


 前なら、あんな風に自然に並んで帰れなかった。


 沈黙が怖かった。


 今は違う。



 スマホが小さく震えた。



REALITÉ


同期ログ更新



 画面が切り替わる。



相互影響:継続中

変化差分:均衡



「……均衡?」


 意味は説明されない。


 けれど直感が働く。



(片方だけじゃない)


 どちらかが成長しているんじゃない。


 どちらかが支えているんでもない。



 二人とも。


 同じだけ変わっている。



 裕翔はスマホを伏せた。


 天井を見る。


 少し考えて、苦笑する。


「……なんだよ、それ」


 ゲームみたいなのに。


 やっていることは、ただ――


 一緒にいるだけだった。



 部屋の明かりを消す。


 暗闇。


 静かな呼吸。



 眠りに落ちる直前。


 ふと思う。


(もしこれがなくなっても……)


 そこで考えるのをやめた。


 答えは、もう少し先にある気がした。

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