表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/53

第46話 仮説

 図書室。


 同じ席。


 スマホの画面を、裕翔はもう一度確認した。


 INT:D-


 昨日まで届かなかったランク。


 それが、短期間で上がっている。


(偶然じゃない)


 ノートを閉じる。


 頭の中で整理する。



 条件は三つ。


 ① 勉強内容

 ② 時間帯

 ③ 環境


 昨日、全部同じにした。


 違ったのは一つだけ。


 向かいの席。



 視線を上げる。


 一ノ瀬さつき。


 変わらず問題を解いている。


 こちらなど気にしていない様子。


(……人が条件?)


 あり得ない。


 ゲームじゃないんだ。


 他人の存在で能力が伸びるなんて。


 非現実的すぎる。


 けれど。


 REALITÉ自体が、すでに非現実だった。



 裕翔はスマホを開く。


 STATUS画面。


 スクロール。


 小さな文字。



 環境適応補正:ON



「……は?」


 初めて見る表示だった。


 昨日まではなかった。


 説明文をタップする。


 しかし詳細は表示されない。


 ただ一行。



 最適環境を検出中



(最適環境……)


 教室じゃない。


 家でもない。


 図書室。


 そして。


 向かいの席。



 心臓が少し速くなる。


 理屈は通る。


 集中しやすい環境。


 刺激の少ない空間。


 学習効率の高い条件。


 そう考えれば説明できる。


(……そういうことか)


 納得しようとする。


 それが一番合理的だから。



「消しゴム」


 突然、さつきが手を差し出した。


「あ、悪い」


 机の端に転がっていた消しゴムを渡す。


「ありがとう」


 短い言葉。


 それだけ。


 それだけなのに。


 さっきまでの思考が少し乱れる。



 スマホが震える。



 INT +0.01



 裕翔はゆっくり画面を伏せた。


(……環境、ね)


 そう結論づける。


 それが一番自然だ。


 それ以上の意味なんてない。


 ――ないはずだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ