第46話 仮説
図書室。
同じ席。
スマホの画面を、裕翔はもう一度確認した。
INT:D-
昨日まで届かなかったランク。
それが、短期間で上がっている。
(偶然じゃない)
ノートを閉じる。
頭の中で整理する。
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条件は三つ。
① 勉強内容
② 時間帯
③ 環境
昨日、全部同じにした。
違ったのは一つだけ。
向かいの席。
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視線を上げる。
一ノ瀬さつき。
変わらず問題を解いている。
こちらなど気にしていない様子。
(……人が条件?)
あり得ない。
ゲームじゃないんだ。
他人の存在で能力が伸びるなんて。
非現実的すぎる。
けれど。
REALITÉ自体が、すでに非現実だった。
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裕翔はスマホを開く。
STATUS画面。
スクロール。
小さな文字。
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環境適応補正:ON
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「……は?」
初めて見る表示だった。
昨日まではなかった。
説明文をタップする。
しかし詳細は表示されない。
ただ一行。
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最適環境を検出中
⸻
(最適環境……)
教室じゃない。
家でもない。
図書室。
そして。
向かいの席。
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心臓が少し速くなる。
理屈は通る。
集中しやすい環境。
刺激の少ない空間。
学習効率の高い条件。
そう考えれば説明できる。
(……そういうことか)
納得しようとする。
それが一番合理的だから。
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「消しゴム」
突然、さつきが手を差し出した。
「あ、悪い」
机の端に転がっていた消しゴムを渡す。
「ありがとう」
短い言葉。
それだけ。
それだけなのに。
さっきまでの思考が少し乱れる。
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スマホが震える。
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INT +0.01
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裕翔はゆっくり画面を伏せた。
(……環境、ね)
そう結論づける。
それが一番自然だ。
それ以上の意味なんてない。
――ないはずだった。
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