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第45話 条件確認

 放課後。


 図書室の前で、裕翔は立ち止まっていた。


 扉の向こうは静かだ。


 いつも通りの時間。


 いつも通りなら――さつきがいる。


(……いや)


 首を振る。


 今日は確認だ。


 REALITÉの条件。


 偶然じゃないなら、証明できるはず。



 裕翔は踵を返した。


 階段を下り、空き教室へ向かう。


 誰もいない教室。


 机を一つ選び、参考書を開く。


(環境は同じ)


 時間も同じ。


 勉強内容も同じ。


 違うのは――


 向かいに誰もいないこと。



 問題を解く。


 数分。


 手が止まる。


(……あれ)


 集中できないわけじゃない。


 でも昨日ほど頭が回らない。


 理解に少し時間がかかる。


 もう一問。


 さらに一問。


 スマホは沈黙したままだ。



 十分後。


 ようやく震えた。



 学習活動を検出

 INT +0.01



(やっぱり低い)


 昨日の半分以下。


 勉強量は変わらない。


 むしろ集中しようとしている。


 なのに伸びない。



 裕翔はペンを止めた。


 静かな教室。


 時計の音だけが響く。


 妙に落ち着かない。


(……なんだこれ)


 違和感。


 集中しているはずなのに、物足りない。


 理由は分かっている気がするのに、認めたくない。



 気づけば立ち上がっていた。


 参考書を閉じる。


 足が自然に廊下へ向かう。


(確認だけだ)


 条件確認。


 それだけ。



 図書室の扉を開ける。


 いつもの席。


 そして。


 そこに、さつきがいた。


 静かにページをめくっている。


 いつもと同じ光景。


 胸の奥のざわつきが、少しだけ収まった。


(……なんだよ)


 苦笑する。


 ただの検証だ。


 そう思いながら席に座る。



 数分後。


 スマホが震えた。



 INT +0.02



 裕翔は画面を見つめたまま、息を止めた。


 数値は、はっきりと答えを示していた。



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