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第44話 想定外の増加

 放課後。


 図書室はいつもより静かだった。


 テスト期間が近いせいか、席はほとんど埋まっている。


 裕翔はノートを開きながら、小さく息を吐いた。


(今日は集中できてるな)


 問題が止まらない。


 理解が早い。


 昨日よりも明らかに調子がいい。


 向かいでは、さつきが黙々とペンを動かしている。


 特に会話はない。


 それでも、不思議と落ち着いていた。



 数分後。


 スマホが震える。


 ちらりと確認する。



 学習活動を検出

 INT +0.02



(……多くない?)


 昨日は +0.01。


 今日はもう二回目。


 首を傾げる。


 同じ勉強量のはずだ。


 特別なことはしていない。



 さらに問題を解く。


 理解が連鎖する。


 止まらない。


 そして――


 再び震動。



 INT +0.03



「え?」


 思わず声が漏れた。


 短時間での連続上昇。


 今までなかった。


(条件変えた覚えないぞ……)


 視線を上げる。


 さつきと目が合った。


「どうしたの」


「いや……なんでもない」


 すぐに視線を戻す。


 けれど、胸の奥がざわつく。



 スマホ画面。


 STATUS。


 INT:D-


 ランクが一段階上がっていた。


 裕翔は息を止める。


(早すぎる)


 努力量と合わない。


 明らかに計算が合わない。



 ふと、思う。


 昨日と今日で違うこと。


 やり方?


 時間?


 環境?


 ……違う。


 視線が、自然と向かいへ行く。


 一ノ瀬さつき。


 何も知らない顔で勉強している。


(……まさか)


 すぐに否定する。


 そんなはずない。


 人が条件になるなんて。


 ゲームじゃあるまいし。



 それでも。


 スマホの数値は、確かに増えていた。



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