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第41話 視線の理由

 図書室。


 同じ席。


 同じ時間。


 裕翔は参考書を開きながら、ちらりと視線を上げた。


 一ノ瀬さつき。


 今日も同じ場所に座っている。


 姿勢が崩れない。


 ページをめくる間隔も一定。


(……やっぱり違う)


 昨日から、少しだけ気になっていた。


 REALITÉの条件。


 努力の量じゃないなら。


 何が違うのか。


 それを知るには――観察するしかない。



 さつきは鉛筆を止めない。


 迷う時間が短い。


 分からない問題に固執しない。


 一度戻り、別の問題を解いてから再挑戦している。


(効率……?)


 いや、違う。


 もっと自然だ。


 “無理をしていない”ように見える。



 裕翔は自分のノートを見る。


 さっきから同じ問題で止まっている。


 気づいて、苦笑した。


(俺、固まりすぎか)


 一度ページを閉じる。


 深呼吸。


 別の問題へ移る。


 数分後。


 さっき解けなかった問題が、あっさり理解できた。


「……あ」


 思わず声が出る。


 その瞬間。


 スマホが小さく震えた。



 学習効率の改善を検出

 INT +0.01



 裕翔は固まった。


(今……?)


 画面を見る。


 確かに数値が増えている。


 久しぶりの変化。


 心臓が少し速くなる。



 顔を上げる。


 さつきは何も知らないまま、問題を解いている。


 いつも通り。


 ただそこにいるだけ。


 なのに。


(……ヒント、もらってるよな)


 裕翔は小さく笑った。


 攻略のため。


 条件を知るため。


 そう思っているはずなのに。


 気づけばまた、視線が向いていた。




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