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第37話 少しだけ違う日

翌日。


教室はいつも通りの朝だった。


ざわめき。


椅子の音。


誰かの笑い声。


さつきは席につき、ノートを開いた。


昨日と同じページ。


同じ問題。


ペンを走らせる。


……止まる。


「……?」


小さく眉を寄せる。


解けない問題ではない。


むしろ簡単なはずだった。


なのに、考えが途中で散る。


集中できていないわけでもない。


体調も悪くない。


それでも、どこか噛み合わない。


一度ペンを置く。


窓の外を見る。


理由は思い当たらない。


ただ。


昨日までより、教室の音が少しうるさく感じた。


その時。


前の席の椅子が引かれる音。


裕翔が座った。


特別なことはない。


いつもの朝。


けれど。


さつきは無意識に視線を向けていた。


裕翔は気づかず、鞄から教科書を取り出している。


それだけ。


それだけなのに。


胸の奥の違和感が、少しだけ薄れた。


「……」


自分でも理由が分からない。


再び問題を見る。


今度は式が自然に続いた。


ペンが止まらない。


さつきは一瞬だけ手を止める。


そして、小さく首を傾げた。


――さっきまで、何が違った?


答えは出ない。


ただ。


教室の音が、さっきより遠くなっていた。


前の席。


裕翔がノートを開く音。


そのリズムが、妙に落ち着いた。


さつきは何も言わず、問題を解き続けた。


理由を考えるほどのことでもない。


そう思いながら。


ほんの少しだけ、安心していた。

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