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第36話 範囲外

翌日。


図書室には行かなかった。


部活の用事で、裕翔は放課後すぐ校舎を出ていた。


特別な理由はない。


ただ予定が違っただけ。


夕方、自室の机。


参考書を開く。


昨日と同じ問題集。


ペンを走らせる。


……止まる。


「あれ?」


簡単な式なのに、思考が引っかかる。


理解はできる。


でも繋がらない。


集中できていないわけでもない。


なのに、妙に頭が散る。


裕翔は眉を寄せた。


昨日までは、もっと自然だったはずだ。


ポケットが震える。


REALITÉ。


画面を開く。


LINK同期率:41%


その下に新しい表示。


共鳴安定範囲外


補正値:低下中


裕翔は画面を見つめた。


意味は分からない。


ただ。


昨日の図書室。


静かな空気。


ページをめくる音。


それが頭に浮かぶ。


スマホを伏せる。


もう一度問題を見る。


やはり少しだけ、思考が噛み合わない。


能力が落ちたわけじゃない。


ただ。


何かが足りない感覚。


裕翔は椅子にもたれた。


天井を見上げる。


理由は説明できない。


けれど。


昨日の時間が、思ったより大きかったことだけは分かった。


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