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第22話 見えない条件

放課後。


チャイムが鳴ると同時に、教室の空気がほどけた。


椅子の音、笑い声、部活の話。


いつもの光景。


裕翔は鞄に教科書を入れながら、ちらりと前方を見る。


一ノ瀬さつきは、すでに立ち上がっていた。


無駄のない動き。


誰とも話さず、そのまま教室を出ていく。


昨日と同じ。


いや――今までずっとそうだった光景。


なのに。


今日は、少し違って見えた。


ポケットの中でスマホが震える。


REALITÉ。


新しい記録が追加されていた。


行動機会発生

選択待機状態


「……選択?」


思わず小さく呟く。


画面にはそれ以上の説明はない。


ただ文字だけが表示されている。


選択待機状態。


意味が分からない。


だが。


なぜか視線は、教室の出口へ向いていた。


さつきは、もう廊下を歩いているはずだ。


追いかける理由はない。


用事もない。


話すことも特にない。


――なのに。


画面が、もう一度更新された。


経過時間計測開始


裕翔の喉がわずかに乾く。


これ。


もしかして。


「……今のが、条件?」


クエストも指示もない。


けれど。


“何かを選ぶ時間”だけが与えられている。


心臓が少し速くなる。


行くか。


行かないか。


ただそれだけ。


なのに妙に重い。


裕翔は立ち上がった。


椅子がわずかに音を立てる。


その瞬間。


画面が変わる。


選択実行を確認


「……まだ何もしてないだろ」


思わず苦笑する。


でも分かってしまった。


もう選んでいる。


立ち上がった時点で。


裕翔は鞄を肩にかけ、教室を出た。


廊下の先。


階段へ向かう後ろ姿が見える。


一ノ瀬さつき。


追いつく理由なんてない。


それでも足は止まらなかった。


背中に近づく。


声をかける距離。


一瞬、迷う。


そして――


「一ノ瀬」


名前を呼んだ。


彼女が振り向く。


少しだけ驚いた顔。


その瞬間、スマホが震えた。


接触行動を確認

変化率:上昇


裕翔は思わず空を見上げた。


なるほど。


REALITÉは何も命令しない。


ただ。


選んだ瞬間だけを、記録している。


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