第20話 未確認項目
夜。
部屋の明かりは机のスタンドだけだった。
裕翔は問題集を閉じ、軽く肩を回す。
今日のノルマは終わり。
以前より集中が続くようになった気がする。
理由は分かっている。
REALITÉ。
スマホを手に取り、アプリを開いた。
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黒い画面。
白い文字。
STATUS。
数値は昨日とほとんど変わらない。
体力、集中力、理解力。
小さな上昇。
順調だった。
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画面を閉じようとした瞬間。
小さな振動。
見慣れない通知が表示された。
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▶ NEW LOG DETECTED
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「……ログ?」
初めて見る表示だった。
タップする。
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画面が一瞬だけ暗転する。
読み込みのようなノイズ。
そして。
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LOG ANALYSIS START
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数秒。
何も起きない。
戻ろうとした瞬間、文字が追加された。
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外部要因を検出しました。
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「外部……?」
裕翔は眉をひそめる。
心当たりがない。
トレーニングも勉強も、いつも通りだった。
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表示がゆっくり更新される。
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同期対象:未確定
適合率:測定中
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意味が分からない。
「バグ……?」
そう呟く。
だがアプリは正常に動いている。
数値も変わらない。
ただ、新しい項目だけが存在していた。
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画面下に、見覚えのないタブが増えている。
LINK(β)
灰色表示。
まだ押せない。
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裕翔は少し迷い、スマホを机に置いた。
「……まあいいか」
急ぐ理由はない。
REALITÉはこれまでも突然変化してきた。
今回もその一つだろう。
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部屋は静かだった。
窓の外を車の音が通り過ぎる。
何気ない夜。
いつも通りの時間。
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机の上のスマホが、もう一度小さく震えた。
画面が自動で点灯する。
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LOG UPDATE COMPLETE
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一瞬だけ、文字列が流れる。
高速で。
読めない速度で。
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――感情変動を検知
――相互認識開始
――候補リンク生成中
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そして画面は元に戻った。
何事もなかったように。
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裕翔はその変化に気づかない。
すでに参考書を開き直していた。
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REALITÉの画面だけが、静かに新しい状態へ移行している。
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LINK(β)
表示色が、わずかに白へ変わった。
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