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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第四章 どうしようもなく世話焼きで、
56/75

どうしようもなく世話焼きで、 4-16

 毎週月曜日になると、新聞部から新刊が発行されてそれが学内に配られる。

 この新聞というものがなかなかに完成度が高く、学内でも人気が高い(当然無料で配布されている)。

 これから部会長選挙が行われようという今週は、いつもよりボリュームが増しており、まるで飛び交うようにあちこちで新聞が配られていて、俺のクラスでも2~3グループくらいがそれに目を通してきゃっきゃと騒いでいた。

 それもそのはず。今回の部会長選挙では数年ぶりに文化部からの出馬があったのである。部活動に所属している者としては、こんなビッグニュースを見逃せるはずもないだろう。

 部活動に所属していない者達も、人づてに聞いたのか珍しい出来事に興奮を隠し切れない様子である。今や『相浦(あいうら)聖奈(みな)』の名前はこの鳳城学園中で知らない者はいないレベルだ。

 そして注目を集めたのはその記事だけではない。


 『アメフト部 軽音部員恐喝により全部員から選挙権剥奪』


 なにより注目を集めているのはこの記事である。

 雨桐とコンビニに昼飯を買いに行く途中で起きた出来事は、当然全て生徒会に報告した。

 音声程度では証拠として弱いかと考えていたが、結月は俺から話を聞くやいなや、すぐさまアメフト部の部室に直行。選挙のためか日曜にも活動を行っていた彼らに問い詰めると、一部の部員が簡あっさりと白状した。

 曰く、ある運動部部長から恐喝を行うように命令は受けていたが、アメフト部の中にもそれを良しとしない者達がいたらしい。

 しかしアメフト部部長がそれを是とする強硬派だったため、作戦は決行されてしまった。そう一部の部員が白状すると、部長であるコワモテ男も少しは罪の意識があったのか(あるいは結月の剣幕に耐え切れなくなってか)、あっさりとそれを認めた。

 部員全員が悪いというわけではないが、ルールはルールだ。アメフト部には選挙権全剥奪に加え、一週間の活動停止、さらに部長を含む一部部員には一週間の停学が言い渡された。

 この出来事についての話は新聞部の謎の情報網にひっかかり、瞬く間に学園中に広まった。

 ここまで話が広がるということに関しては予想していない出来事ではあったが、これで生徒達は運動部側に疑念を持った。そうなると、再び同じような強行手段を行使してそれが失敗してしまえば、運動部はお終いだ。そのリスクを考えれば、あちらさんも迂闊には動けないだろう。そういう意味で、俺の思惑は大成功ということになるだろう。

 だが一方で、あまり喜ばしくない予想外も発生した。

 いつも通り学園に登校して、周囲がアメフト部恐喝事件のことで騒いでいることに目もくれず、俺は朝のHR前に雨桐のいる一年一組を訪問した。

 教室の入り口から中を覗きこむと、雨桐は友達と談笑していた。さすがにここから大声を出して呼び出すと目立つので、ちょうど教室に入ろうとしていた男子生徒に声をかける。


 「悪い、生徒会のモンなんだが、雨桐呼んでもらっていいか?」

 「ん、ああ、別にいいけど」


 その男子生徒はそのまますたすたと歩いて行くと、雨桐に近づいて声をかけていた。

 雨桐は話を聞いて俺のいる方を見ると、一瞬曇ったような顔をした後、友人達に声をかけてからこちらに来る。


 「おはよう、折無くん。選挙の件かな?」

 「あー、まぁそんなところだ。ここじゃちょっとあれだし、移動していいか?」


 そんなわけで俺達は教室の扉から離れて廊下の隅あたりに移動した。


 「それで、何かな?」

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