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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第四章 どうしようもなく世話焼きで、
48/75

どうしようもなく世話焼きで、 4-8

 「で、みんな何かいい案はあるかな?」


 結月の問いかけに、一番最初に手を挙げたのは雨桐だ。


 「『部活動の平等化』というのはどうでしょう!?」

 「却下だな」

 「えぇ!?」


 俺が即答してやると、雨桐は思ったよりも驚いた声を出した。


 「なんで? 私達の目指す部会の理念としては正しいはずだよ」

 「いやよく考えろ、平等ってのは全ての部活を贔屓しないってことだ。つまりどんだけ頑張って成果を上げても、『平等』って文句がある限りどうやっても優遇措置を取りづらくなる。たとえば俺達の評価基準で、その部活が出した成果に見合った評価―――たとえば部費の向上とかだな―――をしようとしても、他の部活がいろいろいちゃもんをつけてくるだろうな。『俺達の視点から見たらその部活は部費を上げるに見合った成果を出していない』とか言って」

 「評価基準を明確に定めて予め公表しておけば、そんなことも起きないんじゃないかな」

 「それはなおさらダメだな。評価基準を明確に定めてしまえば、融通が利きづらくなる。たとえば地区大会ベストエイトに進出すれば優遇措置を取るという基準を定めたとする。それでサッカー部が実際ベストエイトに進出したが、その過程でかなりの強豪チームをいくつも倒していたとする。一方野球部が同じくベストエイト進出を果たしたが、倒したチームは弱小ばかり。これで同じ評価をするのは平等じゃないよな」


 雨桐は言葉に詰まる。どうやらこれ以上の反論はないようだ。


 「ふむ、他にないかな?」


 再び結月が問うと、今度は相浦先輩が手を挙げた。


 「はい! 『一つ一つの部活をきちんと見つめる部会』っていうのはどうかな!?」

 「却下っすね」

 「えぇ!?」


 またも即答してやると、相浦先輩は雨桐と同じリアクションを取った。


 「なんで? これなら全ての部活に対して公正な部会にできると思うんだけど」

 「いや、まず曖昧すぎます。多分『各部活動の成果をきちんと見て、それに見合った評価をする』みたいなことを言いたかったんだと思うんすけど、その評価基準をどうするかが問題になってきます。まさか一つの部の活動成果に対して部費の増減をどうするかなんて各部長を集めて話し合ってたら、日が暮れても部会が終わらないっすよ。部会では他にも議題はたくさんあるわけですし、いっそ部会長がその評価基準を決めるってのも一つの手ですけど、評価基準があるなら部会で集まってみんなで話をする意味なんてなくなりますよね」


 部会というのは各部の代表が集まって意見を出し合う場だ。それらの意見を聞いた後に「こういう評価基準があるんで」で物事を決定していたら、最初から意見を出し合う意味がない。

 相浦先輩は納得したのかしょぼんとした顔で黙りこんでしまった。


 「それじゃあ次、意見のある人は?」


 三度目の結月の問いかけに、東雲先輩が名乗りを挙げる。


 「は~い、もういっそ『喧嘩のない部会』ってするのはどうかな?」

 「それもはや大前提ですよね。活動方針としてハードル低すぎるんでちょっと・・・・・・」


 そっかぁ、と大して落ち込んだ様子もなく席に着く東雲先輩。

 多分思いついたことをそのまま言ったのだろう。何も言わないよりはマシだが、残念ながら意見がふわぽわしすぎである。


 「武月、さっきから人の意見に対してあれやこれやと文句をつけているが、お前の意見はどうなんだ?」


 と、三人を撃沈させたところで、結月の矛先が俺へと向けられた。

 あまりにも酷い意見が多かったためについツッコんでしまったが、今更になって目立ちすぎたと後悔する。

 しかし意見ねぇ。

 通常であればマニフェストなんて適当に決めてしまって選挙に乗り出し、当選さえしてしまえばあとはこっちのものというやり方を取ってしまえばいい。余裕さえあれば、最初の雨桐の意見でも採用してしまったも構わなかった。

 だが、今は状況が状況である。ただでさえ目立つ文化部からの出馬者が下手なマニフェストを公表してしまえば、確実に脆い部分を突かれてあっさり崩壊してしまう。

 そういった意味で俺はさっきから突っ込んでいたわけだが。


 「ら、『楽な部会』とか・・・・・・」

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