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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第四章 どうしようもなく世話焼きで、
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どうしようもなく世話焼きで、 4-7

 「さて、一服もできたところだし、そろそろ始めようか」


 結月がそう言って、ようやく会議が始まる。

 時刻は午後一時。そういえば昼飯食べてないなーなんて思いつつも、クッキーをぱりぱりつまむ。

 会議なのだからクッキーつまんでいたら怒られそうとか思うかもしれないが、生徒会はその辺はとても軽い。副会長の結月もサクサク齧ってるしな。


 「今日の議題は他でもない、相浦の選挙活動についてだ」


 今までクッキーを食べていた俺だが、ここにきて周りが急に畏まってきた。

 やはり生徒会役員というだけのことはある。モードの切り替えくらいはさっとできるのだろう。気まずくなって口の中にあったものを飲み込むと、右隣の雨桐が少しこちらに身を寄せてきた。


 「な、なんか結月先輩いつもと雰囲気違くない?」


 はて、そうだろうか。

 結月は学校にいる時は常にあんな感じで振舞っているような気もする。むしろさっきクッキーをつまんでいた時に素が出ていたので、驚くとしたらそっちの時だと思うのだが。

 といっても俺は生徒会に入るまで学校にいる時の結月をあまり見なかったので、普段どういう振る舞いをしているのかよく知らない。おおよそ今みたいな感じだと思っていたんだけどなぁ。


 「まぁ、アイツ猫被るのうまいしな」


 とりあえず適当に事実のみを述べておく。

 すると、何かがカツーン! と俺の額に命中した。超痛い。

 カラカラと音を立てて机に落ちた飛来物を見ると、ただの白のチョークだった。


 「そこ、私語は慎みたまえ」


 お前は教師か。

 というかこの生徒会室には黒板はないので、チョークも当然ない。なのにどこから取り出したというのだろうか。

 気になるところではあったが、会議が先に進もうとしていたので疑問はその辺に捨てることにした。


 「先日相浦の部会長選挙出馬が決定したわけだが、なにぶん急な話だ。さらに異例な出馬ということもあって、いろいろと選挙活動に必要なものがほぼ全て整っていない」


 学生規模といえど、選挙にはいろいろと入用なものが多い。演説文であったり、支援してくれる団体であったり、また先程話に出たマニフェストであったり。それは様々である。

 今のところ相浦先輩には生徒会という後ろ盾はあるし、軽音部の部員達も声をかければ手伝ってくれるに違いない。いざとなれば文化部の連中に助っ人を要請すれば、現状に不満を抱いている者が何人かは手伝ってくれることだろう。

 そう考えると人手はある程度整っているといえるが、逆に言ってしまえば俺達が今持っているものはそれだけしかない。


 「もう明後日には本格的に選挙活動が始まるし、今の段階でここまで準備が整っていないっていうのはあんまりよろしくない状況だねぇ」


 東雲先輩の言う通りである。

 ほかの候補者達は、既に準備万端の状態だと考えられる。そうなれば、この土日にさらに何かしらの秘策を考案してくる可能性だってあるのだ。

 しかし、この土日で俺達にできることは、せいぜい下地を整える程度のこと。普通に準備すれば戦いに参戦できる状態にはできるが、普通の演説文やらマニフェストやらといった装備を担いで戦いに臨んだところで、票を集めることは到底できないだろう。


 「故に、この土日で我々はほかの候補者の倍以上動くか、それとも誰も考え付かないような妙案を考えてそれを実行に移せる状態にする必要がある」

 「なんだその具体性の欠片もない目標」

 「とにかく何をするにしても、相浦がどんな目的を掲げて選挙に参加するか。それについて考える必要がある」


 他者の倍以上働くにしても、妙案を実行するにしても、まずはベースが必要である。

 何を芯に置いて行動するのか。それが定まらない限りは、俺達が動くことはできない。マニフェストは即ち俺達の行動方針となるものなのだ。

 

 「で、みんな何かいい案はあるかな?」

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