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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第四章 どうしようもなく世話焼きで、
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どうしようもなく世話焼きで、 4-5

 「つか、なんで俺は今日学校に行かなきゃならないんだ?」


 だいぶ話は逸れてしまったが、とりあえず本題に戻ることにする。

 俺の大事な休日を返上してまで学校に行かなければならない理由なのだ。さぞかし大層な事件が待ち受けているに違いない。そうだとするならめんどさくさそうだし今すぐ帰りたい。


 「折無くん、メール確認してないんですか?」

 「誰かさんのせいで急いでたからな」


 怨嗟のこもった眼差しでその誰かさんを見てやると、元凶はわざとらしく目を逸らした。コノヤロウ。


 「私達が今日学校に行くのは、部会長選挙の準備をするためですよ」

 「え、部会長選挙の準備って昨日で終わったはずだろ。あとは来週になってから本格的に選挙運動が開始されるんじゃねぇの?」

 「生徒会の方で準備することじゃないですよ。ほら、選挙活動をするってことは、演説の原稿とかプラカードみたいな活動に必要な道具作りとか、いろいろなものを準備しなければいけないじゃないですか。そのお手伝いをするんです」


 確かに、相浦先輩には部会長選挙に出馬してもらえたが、今のところ選挙の準備は全くできていない。それに、相浦先輩がどんな目的で部会長になるのか、それすら決まっていない。

 あの人が選挙に参加する理由は雨桐のためではあるが、それを正式な出馬理由として公表するわけにもいくまい。となれば、嘘でもでっち上げでもいいから、何かしらそれっぽい相浦先輩専用のマニフェストを用意する必要がある。


 「それを今日から始めようということで、今回の件に関わっている人達に召集がかかっているんです」


 誰の指示でだよ・・・・・・と聞くまでもなくあの副会長の顔が浮かんだ。

 しかし、やっていることは妥当である。

 選挙期間は既に明後日の月曜には始まってしまうのだ。そして、候補者達が選挙活動をできるのはたったの一週間。その一週間が過ぎ去ってしまえば、あとは選挙を残すのみである。

 無論、期間外の選挙活動も認められてはいるが、それは選挙期間前の話である。しかし相浦先輩は昨日出馬表明したため、他の七人の候補者達より出遅れてしまっている。

 そうなってくると出遅れた分を取り戻すために、できるだけ選挙期間を最大限有効活用したい。そうするためには、この週末に選挙の準備をしておく必要がある。


 「あー、なるほどな。じゃあ今日中には演説の原稿とか活動方針とか決めとかなきゃいけないな」

 「あれ、私達が今回の選挙に参加する理由って、部会の現状を変えるためだよね。それが活動方針なんじゃないのかな?」


 駅に辿り着いて改札を抜けたところで、先頭を歩いていた雨桐は振り向きざまに言う。

 それに続けて疑問を抱いた九が顎に手を当てて思案する。


 「確かにそうですね。結月先輩はまずはマニフェストを決めるところからだ、と仰ってましたけど、よくよく考えてみればそんなことをする必要はないのでは?」

 「いや、部会を変えるってことを前面に出すのは完全にアウトだ」


 なんだか二人が納得しかけてしまっていたので、横から口を出す。


 「部会を変えるって理由は、今の部会はダメだって言ってるようなもんだ。そんなこと言ったら、今の部会で満足してる運動部連中を敵に回すことになる」

 「確かにそうかも。でも、文化部は味方に付くよね?」

 「鳳城学園の運動部と文化部の所属生徒数の差って知ってるか?」

 

 そう問うと、九が深刻な顔をする。


 「部活に所属している生徒の内、運動部が大体七割・・・・・・文化部の勢力は圧倒的に少ないですね」

 「そういうことだ。で、相浦先輩は元々現状に不満を感じている文化部にとっては期待の星なわけだし、文化部の票は最初から集まると考えていていいだろうな」


 エスカレーターに乗って上に上がると、駅のホームに出る。するとちょうど電車がやってくるところだった。


 「文化部の票が最初から集まるなら、わざわざ運動部連中の対抗心を煽るようなマニフェストを掲げる必要はない。それより、運動部の票も集まるようなマニフェストにするべきだろうな」


 ちょうどきりがいいところだったので、俺はそう言って会話を締め括る。

 そこで何故か沈黙がやってきたので気になって二人を見てみると、なんか驚いたような、関心したような顔でこちらを見ていた。


 「なんだよ」


 怪訝な顔をしてそう問うと、二人は内緒話をするように身を寄せ合った。


 「折無くんって意外と頭いいですよね」

 「うん、何も考えてないようで考えてるっていうかね」


 褒めるのか貶すのかどっちかにしろよ。

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