どうしようもなく世話焼きで、 4-2
「生徒会が提示する条件は、まず一つ目に部会の改善。二つ目に部会長としての大半の業務を相浦先輩に負担させないということっすね。正直相浦先輩が部会長になった場合、やることはほぼ判子捺してもらうくらいです」
「え、なにそれ? じゃあ部会長の業務は誰がやるの?」
「こちら側から選出した適任者を『副部会長』として任命し、その人にやってもらいます」
「副部会長?」
「今まで存在しなかった制度です。もちろん生徒会が勝手にそんな役職を作るわけにはいきませんが、相浦先輩が部会長になってから副部会長という新しい制度を作ってしまえば問題ありません」
ぶっちゃけると副会長という制度を成立させるまでは多少の苦労を相浦先輩に強いることになるのだが、生徒会側としてはそれも最小限に留める算段はついている。
なので、相浦先輩にはこの場で出馬表明してもらうだけである。さぁ、あとは判子を貸すだけ! なんか詐欺師の気分になってくるな。
「ちょっと待って、生徒会が選出した副部会長って、一体誰なの?」
予想の範囲内の質問だ。というより、この質問を待っていた。
もし相浦先輩から問われなくても、必ず言うつもりではあった。でないと、部会長になることを了承してもらえた後に問題が生じる可能性があったからだ。
というのも、これはこの先俺の作戦を決行する上で直面するであろういくつかある賭けの一つだ。
「雨桐弥生さんです」
俺は相浦先輩と雨桐の関係性を知らない。故に、相浦先輩がどんな反応を取るのかまったく予想がついていなかった。
無論、時間がなかったので雨桐にいろいろ聞くことすらできなかった。なので、相浦先輩が雨桐に負担をかけることを申し訳なく考えて辞退する可能性は十分にある。
「弥生ちゃんかぁ」
案の定、気色の良い顔はされなかった。むしろ、相浦先輩は困ったように苦笑している。
「なんか納得だけど、いいのかな。弥生ちゃんまだ一年生だよ?」
「この件について雨桐の了承は取れています。というより、雨桐から俺達補助委員に依頼してきたくらいです」
「あー、弥生ちゃんこの件にかなり執着してたもんね」
どうやら、軽音部の方でも雨桐は部会に関していろいろと動いていたらしい。相浦先輩の苦笑がそれを物語っている。
「で、どうっすかね。雨桐の方は問題ないですし、部会長になってもらえませんか?」
「うーん、なってもいいけど、こっちからも一つ条件を提示していいかな?」
はて、これに関しては予想外だ。
生徒会側としては破格の条件を用意したつもりではあったのだが、これ以上何を要求するというのだろうか。
九も同じことを思ったのか、怪訝な表情を浮かべていた。
「なんでしょう、私達にできる範囲のことであれば構いませんが」
「違う違う、むしろさせてもらうのはこっち側」
「どういうことでしょう?」
九が問うと、相浦先輩は愉しそうに少し間を置いてから、まるで秘密の計画をバラすかのような調子で答えた。
「後輩に全部任せきりっていうのも何だから、私にできる限りのことはさせてもらえないかな」




