どうしようもなく世話焼きで、 4-1
雨桐を部会の影のトップに仕立て上げるという作戦が決まって、俺達はさっそく行動を開始した。
金曜の放課後になって、まず最初に向かったのは軽音部だ。
以前、部会長になることに難色を示していた軽音部部長だったが、その理由は部会長になった後の雑務とか責任とかそういうしがらみが面倒くさいからだと俺は分析していた。
ならば、そういう理由を全部取っ払ってやれば、あるいは部会長として出馬してもらえるのではないか。
「すみません、軽音部部長の相浦聖奈さんはいらっしゃいますか?」
そんな希望的観測から軽音部部室を訪れ、九が入り口から声をかけると、あっさりと軽音部部長こと相浦聖奈は出てきてくれた。
先日、俺と九が部会長推薦者候補を探して軽音部を訪問した時に、少しだけ話をした人だ。
「あれ、生徒会のお二人さんじゃん。どしたの?」
「先日はどうも。今日は部会長選挙の件について、改めて交渉するために伺いました」
「また? その件は断ったはずだよね」
口調こそ柔らかいものであったものの、相浦先輩は困ったような苦笑を浮かべていた。
二日前に断った件に関して、なおしつこく食い下がってきたと解釈したのだろう。まぁ、九の言い方だとそういう意味に受け取られるのも仕方ない。
助け舟を出すために、俺が一歩前に出る。
「今回は新しいカードを用意してきたんすよ。多分そっちにとっても悪い条件じゃないと思いますけど」
それで興味を持ってもらえたのか、とりあえず愉快そうに聞き耳を立てていた軽音部部員達に話を聞かれないよう、部室棟一階のロビーに移動して話をすることになった。
部室棟一階ロビーには休憩スペースが存在していて、ソファやテーブルも何セットかある。その一角に腰かけると、さっそく九が話を切り出した。
「部会長についてですけど、最近の部会長の横暴ぶりには生徒会も困り果てています。そこで何とか手を打ちたいと考えまして、こうして相浦先輩に話を持ちかけたのですが」
「なるほどね。一応私達軽音部も文化部の一部だし、確かに運動部の部会長が取り仕切る部会には困り果てていたところだけど」
「その部会の現状、変えたいとは思いませんか?」
九がそう問うと、相浦先輩は困ったように笑った。
「変えれるものなら変えたいとは思うよ。でも、私達文化部の誰にそんなことができるのかな。私が部会長になったところで多分粗末な運営しかできないだろうし、他のみんなもそうだと思うよ」
なるほど、文化部から部会長候補が現れない理由は、どの部長も自信が持てないということもあったらしい。
文化部は運動部と比べて非アクティブな人間が集いやすい。そこに追い討ちをかけるように、文化部から部会長を選出してはならないという暗黙のルールが存在していたのだ。腰が引けるのも無理のないことだ。
「それに、私の場合は本当に忙しいっていうのもあるから、部会長になって業務を行うのは不可能だよ」
「はい、それは重々承知しています。ですので、部会長になっていただくために生徒会から破格の条件を用意しました」
「破格の条件?」
食いついた、といわんばかりに俺達は顔を見合わせる。
ここからは俺の出番である。




