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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第三章 いろいろと諦めているけれど、
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いろいろと諦めているけれど、 3-21

 「あー、なんだ、今回はそこにいる雨桐弥生の依頼により、部長以外の生徒を部会長にする方法について考えていきたいと思う」

 「は、はい! よろしくお願いします!!」


 何故か必要以上に畏まってしまった雨桐。

 一般生徒には馴染みのない生徒会室で、こんな会議を始めようというのだ。緊張するのも無理はないだろう。俺も緊張していたが、雨桐はおそらくそれ以上に違いない。

 その緊張を解きほぐす意味でも、俺はあえていつもの適当な口調で言った。


 「と思っていたが、そんな必要はない」

 「・・・・・・へ?」


 生徒会のメンバーには既に伝えてあったことなので、驚いたのは雨桐だけだ。

 もちろんそのはず。この話は雨桐の依頼を前提から覆すものだ。


 「雨桐、お前の目的は何だ?」

 「それはもちろん、部会長になることだけど」

 「違うな、お前は今の部会を変えられれば何でもいいんだ。その目標を達成するためには、わざわざお前が部会長ならなきゃならないなんて条件はない」

 「どういうこと?」

 「部会長になれば部会を変えられる。その考え自体は間違いじゃない。実際、今のところ部会を変えられる権限を持っているのは、部会長以外にはいないだろう」


 だからこそ部会を変えたいと強く想っていた雨桐を部会長にしたいと考えた。

 その唯一解こそが、今回生徒会と雨桐を悩ませていた一つの障害物だった。


 「だが、お前では部会長になれる見込みは薄い。なら部会長になるんじゃなくて、お前が部会長を操ればいい」


 結月は愉快そうに笑っていた。九はあまり快い表情ではなかった。東雲先輩は困ったように苦笑を浮かべていた。

 三者のこの反応も頷ける。

 操る。

 こんな言葉を聞かされたら、みんながそれぞれ複雑な心境になるのは当然だろう。

 あくまでアニメやマンガの世界での話にはなるが、表舞台に立っているお偉方というのは大抵裏にいる誰かに操られている、なんてことをよく聞く。

 そう、俺は悪質な政治問題に、悪質な政治手段を用いて対抗しようとしているのである。

 九が納得のいかないような表情をするのも仕方が無いだろう。そして、それと同じような反応をしたのが雨桐だ。


 「えっと、それってどういうことなのかな?」


 ちょっとむすっとした表情で雨桐は言った。


 「私が部会長になれそうにないから、汚い手でも何でも使えってことなのかな?」

 「待て待て、誤解するな。納得できるかどうかはお前次第だが、俺達は非合法な手段を使うつもりなんてない」


 そもそも非合法な手段を使わざるを得ない状況なら、わざわざ生徒会メンバーがいる前で話したりなんかしない。

 あくまで、この話は生徒会メンバー合意のうえでのものだ。もちろん、納得していない者もいるが。


 「いいか、今回の問題は二つ。お前が現在の立場で部会長になるのは難しいってことと、お前以外に部会を変えられそうな人材がいないってことから成り立ってる」

 「うん、だからなんかして一つ目の問題を解決しようと―――」

 「それが大きな落とし穴なんだよ。その問題を解決しようとするから、みんな泥沼にハマった」


 生徒会は全力で雨桐を部会長にする方法を考えたから躓いた。

 そんなことはこの残された時間でどうやってもできないことなのだ。だったら、最初からその方法を切り捨てるべきだった。

 アプローチの仕方などほかにもいろいろある。真正面からダメなら様々な角度から攻めればいい。


 「要するに、お前は就任後の部会長の傍でサポートするとか適当な理由を付けて、そのまま手助けするフリして部会長の仕事をほとんどやってしまえばいい」


 雨桐はきょとんとしていた。

 俺が言っていることがよく理解できなかったのだろうか。


 「つまりだな、部会長の仕事を全部奪え。『部会長補佐』って立場から、部会全てを支配しろ」

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