いろいろと諦めているけれど、 3-20
もはや時間などなかった。
放課後になると、校内放送で雨桐を呼び出してもらって、生徒会室に来てもらった。
静寂に包まれた生徒会室の中、カッチコッチと秒針が進む音を耳にしながら待っていると、いずれ廊下を駆ける音が聞こえて、生徒会室の扉が勢い良く開いた。
「部会長選挙に参加できるって本当!?」
いや、まだ話すらしてないはずなんですけどね。
おおかた勝手に予想したのだろう。大体合ってるところが怖いが、昼休みの結月の予言じみた推理の後ではどうにもインパクトに欠ける。
「雨桐さん、廊下は走っちゃダメですよ」
九が軽く注意する。委員長かお前は。あ、生徒会役員か。
雨桐は「ごめんごめん」とてへぺろして後ろ手にドアを閉めると、東雲先輩に招かれるままに九の横に腰掛ける。
ロの字形に置かれた机には、窓側に結月、その対面である廊下側に東雲先輩、そして角を曲がってその左側に九と雨桐がそれぞれ腰掛けていて、俺は生徒会長の椅子と思われるものの横に新しく用意された椅子に座っていた。
「ちょっと待て、なんで俺がここなんだ?」
生徒会長の横って普通は副生徒会長が座るものだよね。
前から結月の席は窓側だったのであまり気にしていなかったが、それを置いておくにしても俺の位置はおかしい。
抗議の声を上げると、結月が怪訝な顔をした。
「何を言っているんだ、今回はお前がメインだろう」
「なんで」
「お前が言い出したことだ、お前が責任をもって話すのは当然だろう」
九や東雲先輩もうんうんと頷いていた。ちくしょう、俺に味方はいないというのか。
しかし改めて見回してみると、生徒会室には見事に女性ばかりである。そんな中に男である俺は一人。傍から見ればハーレム状態に見えるかもしれないが、実際は孤立無援の戦場に立っている気分である。座ってるけど。
「折無くんが提案したの?」
と、疑問を振ってきたのは雨桐だ。
「そうだけど」
「そっか、てっきり九さんが考えてくれたのかと思ってたけど」
そう思うのも無理はない。なにせこの面子の中で一番やる気のなさそうな役員が俺なのだ。昨日あれだけの熱意を見せた九が動くなら納得はいくだろうが、俺が発案した作戦が採用され、それを実行するなんて話を聞かされたら、驚くのも無理はないだろう。
もっとも、雨桐が驚いている理由はそれだけではなさそうだが。
ともかく俺はさっさと話を進めたかったので、こほんと一つ咳払いをした。
「あー、じゃあ始めるけどいいか?」
「はーい」「お願いします」「頑張ってね~」「いいから早くしろ」
なんとも個性の強いメンバーが集まったものである。
それはともかく、俺は自分の中にあるスイッチを切り替える(大体で可)ために、もう一度咳払いをする。
「ん゛ん゛っ! ん゛っん゛う゛ん゛」
「折無君・・・・・・」
もったいぶりすぎたせいか、九の凍てつく眼光が俺に刺さった。
別にそんなに怒ることないじゃんかよぅ、こっちだって個性の強いメンバー相手に話をするってことで緊張してるんだよぅ。
2016 02/08 サブタイトルを修正




