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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第三章 いろいろと諦めているけれど、
23/75

いろいろと諦めているけれど、 3-5

 「二人は『部会』って知ってるかな?」


 キュッキュと音を立てて、ホワイトボードに「部会」の二文字が並ぶ。

 黒のマーカーの蓋を閉めると、東雲先輩はペンの先でコツコツとその文字を叩いた。

 部会。何度か聞いたことがある言葉である。というか、この学校に通う生徒で知らない者はいないだろう。


 「確か月に一回ある、全部活の代表が集まる集会のことですよね?」

 「そのとおり、さすが沙奈ちゃんだね」

 「このくらいは学園生なら常識です」


 常識なのか・・・。すみません、詳細までは知りませんでした。


「それで、部会がどうかしたんですか?」

 「部会ってね、全部活の代表が集まるでしょ? だからちょっとだけ面倒なシステムになってるの」


 またホワイトボードに黒のマーカーが走る。

 今度は図を書くらしく、なにやらトーナメント表みたいなものを慣れた手つきで描いていく東雲先輩。さすが書記というべきか、線にブレがなく文字も綺麗である。

 およそ三十秒ほどで完成した図は、なにやら上下関係を表すものらしい。


 「まず、部会は私達生徒会承認の下に成り立ちます」


 カツン、と東雲先輩は図の一番上にある「生徒会」の文字をペンで指す。


 「生徒会は実質部会のトップに位置する組織ですが、実質許可だけする場所みたいなもので、部会そのものに参加することは稀なんだけどね」


 それは当然だろう、部活の取り決めは基本的に部活が決めることだ。いちいち生徒会が横から口出しなんてすれば、反感を買うに違いない。

 とはいえ、部活がやりたいことをやりたい放題していては、風紀の乱れにも繋がる。その抑止力として生徒会が置かれている。このくらいのシステムを設定しておくのは当たり前だろう。


 「そもそも部会っていうのは、部活同士で運動場のスペースとか、体育館の利用日スケジュールとかを決めたりする会議なの」

 「それってやばいんじゃないんですか?」


 いくら抑止力があるとはいえ、運動場のスペースの取り合いとか、体育館を利用をどの部活がするかで揉めるという話はよく聞く話である。

 そうならないよう生徒会や風紀委員が抑止力として動くのだが、さっき部会には基本生徒会の関与がないと東雲先輩は言っていた。

 つまり、客観的な立場から提案できる者がいないのだ。そんな中で話し合いをさせれば、血気盛んな運動部連中は、状況によっては殴りあいの喧嘩に発展してもおかしくはない。まぁ、あくまでたとえばの話だが。

 そんな意味も込めて言ったのが伝わったのか、東雲先輩はにこりと笑った。


 「その点は大丈夫、ちゃんと監督の先生も数名出席してくれてるから」


 なるほど、生徒会は参加しないが教師は参加する制度なのか。

 確かに教師なら生徒同士の話し合いには口を挟みにくいだろうし、そもそもこの学校は生徒の意志をなるべく尊重するという取り決めがある。それを教師が簡単に破ることはできないので、下手に生徒から反感を買うことはない。また、教師という立場の人間がいることで生徒は荒事を起こしにくくなるし、いざ起きても仲裁役として動いてもらえる。これ以上の適任はいないだろう。

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