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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第三章 いろいろと諦めているけれど、
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いろいろと諦めているけれど、 3-6

 「で、その部会のまとめ役っていうのが、毎年一人選出されるんだけどね、これがなかなか厄介で、下手をすればかなり大きな揉め事になるんだよね」

 「部会のまとめ役というと、部会長のことですか?」

 「さすが沙奈ちゃん、よく知ってるね」


 九は知っているようだが、俺はそんな単語を耳にしたことがない。

 まぁ大体の予想は付くが、詳細を知るためにも俺は東雲先輩の説明に耳を傾けた。


 「部会長っていうのは、言ってみれば各部のトップに立つ存在なの。役割としては、主に部会の進行、部全体を代表して部会で決まったことを生徒会へ報告ってところかな」

 「なんか大したことなさそうっすね」

 「役割としてはそこまでね。でも、役職としての地位はかなり高いの。それこそ、生徒会長の次にこの学校で偉い生徒ってレベルだったりするし」


 と言われたところで生徒会長の偉さを知らないので、イマイチ実感は湧かないが。

 しかし生徒会長の次点ということは、副生徒会長とどちらが偉いのだろうか。そういうパワーバランスを曖昧にされてしまうとついどっちが強いのかとか考えちゃう元週刊少年ジャンプ愛読家です。

 

 「で、なんでそれで揉め事になるかというと、その部会長が各部の部長の中から選出されるからなの」

 「そりゃ部活同士の決め事なんですし、部に所属してるヤツから部会長が選出されることは当然なんじゃないんすか?」

 「弟くんの言う通り、部会は部活同士の会合だから、そのトップも部活に所属している人が行うのは至極当然のことなの。でも、厄介なのはどの部活の部長が一番上に立つかということなんだよね」

 「権力争い、ですか」


 九がぽつりと呟くと、東雲先輩はこくりと頷く。

 考えてみれば当然である。部会長とはつまり全部活のトップだ。言ってみれば、一番力のある部活の部長がその席に着くことになるのだろう。

 しかし、そうとなれば話は「どの部活が一番強いのか」ということになる。

 部会のトップに立った部長が所属している部活は、真偽はともかく体裁上では必然的に学内で一番勢力のある部活という認識になる。

 学内一の部活ともなれば、生徒会とてその部活に対して優遇措置を取ることもあるだろう。部費の向上、優秀顧問の優先配置。

 さらには、部会の進行役ということもあって、話を有利に進められることもあるだろう。運動場の場所取りや、体育館の利用スケジュールだって、「学内で一番勢力のある部活」という言葉を振りかざせば、若干有利に出られる可能性だってある。

 つまり、各部活にとって部会長の座とは、喉から手が出るほど欲しいポストなのだ。


 「部会長になった人が所属する部活は、優遇措置が取られるケースが多いの。そういう意味で、沙奈ちゃんが言った権力争いっていうのは的を射てるんだけどね」


 コツコツと再度東雲先輩はホワイトボードを叩く。


 「部会長というのは、各部を指揮する人でもあるの。言ってみれば、各部は部会長のいる部活の傘下に入るような仕組みになっているんだよね」


 ホワイトボードにある「部会長」の文字は生徒会の下に存在していて、そこからさらに下に線が延び、そこで分裂するように複数の「部活」という文字に線が繋がっていた。

 なるほど、図の通りなら部会長は生徒会の管理下という扱いになり、各部活は部会長の管轄化に置かれることになるわけだ。


 「部活のトップに立つということは、ある程度は部会長の権限で部活の環境を変えられるということ。たとえば、サッカー部のゴール位置をずらしたりとか、各部に与えられている部室の変更とかね」

 「なんつーか、ほぼ支配みたいなもんっすね、それ」

 「もちろんできることは限られているし、生徒会の承認は必要だけどね。だけど、部会で取り決められたことは、基本的に受理されやすいようになってるの。一応は『全部活の総意』で成り立った案件として処理されるからね」

 「そんなので今までよく成り立ってきましたね」

 「システムに問題はないし、部活の間では実力主義が暗黙の了解として成り立ってるからね。悔しかったら次の部会長の座を取れるよう努力しろって感じなの」


 なんともまぁ、恐ろしい制度である。

 高野の所属する新聞部なんかを見ていると、部活というものは自由気ままにやっているものだと思っていたが、裏でそんな黒いやり取りが行われていたとは。実力主義ってこわい。


 「でも、歴代の部会長さんもそこまで思い切ったことをしていた人はいないの。たまに部室の問題とかで揉めることはあったけど、権力を振りかざすことをする部会長は、まぁたまにしかいなかったかな?」


 たまにって何だたまにって。

言い方から察するに、東雲先輩が学校にいる間にそんな部会長がいたということだろう。そして、東雲先輩は今二年生だ。ということは昨年度の部会長こそが、権力を振りかざして暴れまわっていた人間ということになるだろう。

 となると、今年度は前代部会長を倣った人が部会長になる可能性が少し大きくなる。だが、できるならばそういう人間を部会長に任命したくないというのが生徒会の意見なのだろう。


 「それはともかく話を戻すけど、今年度部会長を決めるにあたって、生徒会はその準備を担当しなければいけません。もう察しはつくと思うけど、補助委員の二人にはこれのお手伝いをしてほしいの」

 「具体的には何やればいいんすか?」

 「書類整理や受付、当日には会場の整備とかだね。これだけだと簡単に聞こえるかもしれないけど、それなりに忙しいのは覚悟してね」


 やる気に満ち溢れた九が目を輝かせる一方、俺は「うへぇ」と顔を顰めた。

 まぁ、補助委員に入って最初の仕事だ。面倒臭くはあるが、やることはきちんとこなすとしよう。

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