いろいろと諦めているけれど、 3-2
生徒会室といっても、この学園には二つの生徒会室が存在する。
生徒会室と、補助委員室。
さて結月には生徒会室に向かえと言われたが、果たして俺はどちらの部屋に入ればいいのだろうか。
「何してるんですか、折無君?」
そんな風に生徒会室の前でうろうろしていると、九沙奈がやってきた。
なんだかみっともないところを見られたような気がして、少し気恥ずかしくなってしまう。
「いや、今日って生徒会の集合あるんだよな?」
さすがに「どっちの部屋に入るかわからなかった」なんて答えるのは恥ずかしかったので、別の答えを返す。
すると、九はきょとんとした顔をした。
「はい、生徒会の集まりはあります。ですが、我々補助委員の活動はゴールデンウィーク明けからですよ」
なぬ。
それは聞いていない。というより、さきほど生徒会副会長から生徒会室に行けと言われたところなのに、これはどういうことなのか。
しかし、それならばもう一つ気になることがある。
「あれ? じゃあなんで九はここにいるんだ?」
「結月先輩に呼ばれたからですよ」
「俺と同じか」
九の様子から察するに、彼女も連絡を受けたのは今日だろう。生徒会の連絡方法ってなんかアバウトだなぁ。
いっそメールとかで連絡してくれればいいのに、とか考えて、俺はそこでふと気付く。生徒会に入るということは、つまりこの九沙奈とメールアドレスとか交換することになるんじゃないだろうか。
現在、俺のアイフォンの中に入ってある連絡帳には、家族以外の女性の連絡先など入っていない。つまり、九とメアド交換をするということは、女の子とのメアド交換処女を卒業することになる。
いやまて、俺は混乱している。女の子とのメアド交換処女って何だよ。しかし、それぐらい女の子とのメアド交換というものは、思春期男子にとって希少なものなのだ。全国の童貞くんならわかってくれるはず。ま、ボクは魔法使い志望ですが。
「あ、そうだ折無くん、メアド交換しておきませんか?」
などとくだらないことを考えていると、まさかのどストレート話題が飛んできた。
読心の魔法でも使われただろうかと、冷や汗が背中にどっと流れ出たが、九の使える魔法は『探知』なので、単なる偶然だろう。
「別にいいけど、なんで?」
「これから同じ補助委員で活動するんですから、連絡手段はあった方がいいじゃないですか」
まぁそうだよね、むしろ予想通りすぎて何の感情も湧いてこない。
そうだな、と適当に返してポケットからアイフォンを取り出す。ほぼ同じタイミングで九も胸ポケットからスマートフォンを取り出した。
「ではさっそく。あ、QR読み取りアプリは入ってますか?」
「なんだそれ?」
「結月先輩から教えてもらったのですが、QR読み取りで簡単にメアドを交換することができるアプリがあるんです。ただこのアプリ、交換する相手も持っていないと実行できないんですよね」
なるほど、と納得して、俺は自分のアイフォンにそれらしきアプリが入っていないかを探すが、見つからず。
「ないな」
「じゃあこのアプリをインストールしてもらってもいいですか?」
横に並んで、自分のスマホの画面を俺に見せてくる九。
しかし、距離が近い。それこそ、九の肩が俺の腕に少し触れるレベルだ。無意識の内に男に触れてくるとかお前はギャルゲのヒロインか、とツッコみを入れてやりたくなるが、ひとまず心を落ち着けて彼女のスマホの画面に集中する。
どうやら、『アドレス交換LITTLE』というものをインストールすればいいらしい。
それぐらい口で説明してくれればよかったのでは、などと思いつつ俺は一歩横にずれて体を離し、アプリストアを立ち上げてそれを探す。
投稿遅れてほんとすみませんでしたッ!!




