なんで笑うんだろう?
昼休み。
教室。
前の席。
クラスメイトC。
先生に呼ばれる。
先生
「C」
クラスメイトC
「はい!」
立つ。
勢いよく。
ガン。
机に膝をぶつける。
クラスメイトC
「っ……!」
痛そう。
でも。
C、笑う。
教室。
少し笑いが広がる。
先生
「大丈夫か?」
クラスメイトC
「だ、大丈夫です!」
まだ笑ってる。
そのまま職員室へ。
静か。
早瀬
「……なんで?」
水城
「何が?」
早瀬
「絶対痛かった」
水城
「うん」
早瀬
「なんで笑う」
水城
「分からない」
早瀬
「珍しい」
水城
「考える」
少し間。
水城
「恥ずかしかった、とか」
早瀬
「笑えば恥ずかしくない?」
水城
「少し」
早瀬
「意味分からん」
ーーー
昼休み。
食堂。
早瀬
「試す」
水城
「何を」
早瀬、箸を落とす。
カラン。
早瀬
「あはは!」
静か。
周り。
誰も笑わない。
水城
「……」
早瀬
「……」
水城
「下手」
早瀬
「何が!」
水城
「笑い方」
早瀬
「研究対象みたいに言うな」
ーーー
帰り道。
信号待ち。
静か。
早瀬
「でもさ」
水城
「うん」
早瀬
「俺も笑うかも」
水城
「うん」
早瀬
「転んだ時とか」
水城
「笑うね」
早瀬
「なんでだ」
水城
「……」
少し考える。
水城
「"大丈夫"って伝えたいのかも」
早瀬
「誰に」
水城
「周りに」
早瀬
「……」
水城
「自分にも」
風。
少し吹く。
早瀬
「自分にも?」
水城
「痛くても」
水城
「恥ずかしくても」
水城
「笑っとけば、なんとかなる気がする……ときがある」
静か。
早瀬
「あるな」
水城
「ある」
---
歩き出す。
早瀬
「じゃあ」
水城
「うん」
早瀬
「お前笑わないじゃん」
水城
「笑う」
早瀬
「いや」
早瀬
「ちゃんと笑うの見たことない」
水城
「笑ってる」
早瀬
「口角一ミリ」
水城
「十分」
早瀬
「誤差」
少し笑う。
水城も、少しだけ笑う。
早瀬、止まる。
早瀬
「……」
水城
「何」
早瀬
「今」
水城
「うん」
早瀬
「二ミリ」
水城
「成長した」
早瀬
「誤差増えた」
二人、少し笑う。
信号が青になる。
歩き出す。
早瀬
「今日の"なんで"」
水城
「うん」
早瀬
「結局分かったような、分かんないような」
水城
「それでいい」
早瀬
「いいの?」
水城
「すぐ分かることばっかりだったら」
少し間。
水城
「面白くない」
早瀬。
少し考えて。
笑う。
早瀬
「……それは認める」
二人。
夕焼けの中を歩いて帰る。




