22.復讐
季節は巡り、ミラがエドを失ってから1年以上が過ぎた。
敵地からの壮絶な旅を経て、王国に帰還し、20才になった「慈愛の王女」は
狂った。
それまでとは打って変わり、積極的に戦争へと参加していた。
初めは"絶対吸収障壁"による緊急時の本陣防衛をするという名目で参加していたが、次第にその知才を現し始めた。
王国軍幹部も舌を巻くほどの数々の戦略を打ち立て、恐ろしい速度で皇国の砦を次々に占領していった。記録に残っているここ約100年の王国の歴史で初めて皇国に対する侵略を行ったのである。
気が付けば"復讐の王女"という名まで広まり始めていた。
(嫁の貰い手は大丈夫だろうか?)
噂を聞いた彼女の父は王国の未来よりもひどく父親らしいことに頭を抱えたそうである。
「殿下皇国軍およそ10万という報告があがりました!」
そして、今、王女は12年前の開戦以来最大の規模の戦いに赴いていた。
「こちらの展開はすんでいますか?」
「はい、既に両翼に1万ずつ、中央に1万5000で展開しております!」
10万対3万5000。数だけで見れば絶望的である。
「チャールズ兄様とカーネル様は?」
「はい!すでにご到着され、いつでも大丈夫とのことです。」
「分かりました。それでは【拡声】の魔法をお願いします。」
ミラの体が、施された魔法スキルにより淡く青く光る。
そして、ミラは3万5000の王国兵に対して声をあげる。
「皆さん。私は第三王女、ミランダ・アイネ・オブ・イングリスです。今我々は、強大な敵に立ち向かおうとしています。多くの者が傷つくことになるでしょう。これまでの戦いでも既に多くの仲間を失い、家族を奪われてきました。しかし、今こそ皆さんのお力をお貸しください。この戦いさえ乗り越えれば、皇国の戦力は大きく削ることができます。皇都を落とすことも夢ではありません。さあ!立ち上がるのです!今までの傷に報復を!失った仲間の復讐を!皇国などに脅かされぬ平穏な未来を勝ち取るのです!!!全軍前へ!!!」
「おおおおおおぉぉぉぉ!」
地鳴りのような勝鬨が上がる。
秋も終わりかけ、その地鳴りによって多くの山々の落ち葉が散っていった。
お読みいただきありがとうございました。
ユニーク数も明日の0時には100を超えそうです。たくさんの方にお読みいただけて感謝しかありません!
ついに三章に突入です。
"復讐の王女"となったミラの未来は?
エドの死の真相は?
そして、御伽話に隠された数奇な宿命とは?
激動の一幕になることをお約束します。
引き続きよろしくお願いいたします。




