22/24
21.夏
陽炎の揺らめく夏の暑い陽射しが僅かに刺さる中、王城の庭の木陰で二人は出会った。
父につれて来られた王城の庭で少年は、一人伝う汗にも気づかず、熱心に地面を見ていた。
「何しているの?」
一人の少女が声をかけた。
少年は顔を上げずに答える。
「蟻がいろんなのを運んでるの。」
「こんなにちっちゃいのにこんなに頑張っているんだから、僕ももうちょっと頑張れるんじゃないかなって思って。」
少女は近づいて少年と同じようにしゃがんで蟻を見る。
「あんまり虫とかって好きじゃなかったけど、そう言われると何だか可愛く見えてくるね。」
少女は真剣に地面を見る少年の優しい目が、いっぺんで好きになった。
少年は顔を上げた。
少年は、彼を見つめる少女の太陽のような笑顔がいっぺんで好きになった。
うだるような暑さの中、風だけが二人の汗ばんだ体を、優しくなでていた。
お読みいただきありがとうございました。
これにて二章完結です。




