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双華のディヴィーナ  作者: 賀田 希道
白夜来日編――Nebula ,she is
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タッグ・オブ・バータリング

 一つ、暇であるし話をしよう。

 俺と氷空の話だ。なんで、俺が氷空を嫌いか、という話だ。


 俺と氷空は茨木、という京都嵐山に本拠を置く古い家の出だ。家の歴史は千六百年くらいあり、恐らくは現存している日本の古い血筋の中でも五本の指に入るだろう。

 問題はその家が他の家とは違って、少しだけ特殊な家系、ということだ。


 茨木家は日本に数少ない呪術師の家系の中で最大の規模を誇っている。その力も相まって、嵐山全体を巨大な結界で覆い、巨大な異界を形成している。

 そんな家に俺は長男として生まれ、氷空は長女として生まれた。うん、まぁ、俺よりも年下だから、次女になるのかな?


 まぁ、いいや。

 幼い頃から次期茨木家当主となるために、俺と氷空は結構スパルタな生活を送った。小学生の時分に体のあちこちを弄くられたり、呪術師になるために餓死寸前まで地獄に放り込まれたりされたこともあった。


 で、結果を先に言えば、長男である俺が次期当主として、最も名を馳せるのだが、それは今回は別の話として、どっかにポイ!

 この話の趣旨は、なんで俺が氷空を嫌いか、ということだったっけな。


 俺が十二歳の時だ。

 氷空がとある” ”に襲われて瀕死の重症を負った。具体的な傷の状況は省くが、酷い有様で、これが人間だったのか、と思いたくもなった。


 で、それを治すために、俺は氷空を……した。

 その結果、彼女は蘇った。

 でも、そこにかつての面影──この場合は顔の作りとかを指す──はなく、ただの虚像が移るばかりだった。ただ一点髪の色以外が全て白のあいつは、もうかつてのあいつではなかったのだ。


 で、俺はアレを人として認識できなくなって、自然と阻害していった。

 その後、色々あって俺が茨木家を飛び出すと同時に、あいつも茨木家を出た。

 そん時だったかな。俺と氷空が魔導師、という存在に会って、その力を得たのは。



 「それで、話とは何だ?」

 氷空が騒ぎを起こした夜、俺はエリスを量のテラスに呼び出した。一ヶ月くらい前にエリスが俺に『星夜祭(クリスマス)』の話をした場所だ。

 あの日と同じで、ここだと星がよく見える。


 「話っていうのはさ。エリスの頼みを受けてやってもいいかなってことさ」

 「私の頼み?」


 俺の言葉の意図が汲み取れないエリスは肩眉を上げて、怪訝そうな反応を示す。

 その反応は想定内。

 本題はここからだ。


 「エリスは一ヶ月くらい前に俺に言ったよね。『星夜祭』に自分とタッグを組んで参加してくれ、て」

 「ああ、だがその話はもう終わったはずだ。私は貴様に別に無理に出場する必要はない、と言ったはずだ」


 エリスは、その話しはもういいよ、と言いたげな目を俺に向けていた。彼女はまだ『星夜祭』に出ることは諦めていないだろう。

 でも、この学園で彼女と同じくらい腕の立つ魔導師、となると限られてくる。それに学園外では没落魔導師の家系と手を組もう、などという魔導師もいないはずだ。


 実質エリスは孤立無援のひとりぼっち、というわけだ。あはははははは。

 とまぁ、エリスをバカにするのはこれくらいにしておこう。これ以上心の中で詰っても、何も出てこないしね。


 「あの後、俺なりに色々考えた。で、実は一つだけ叶えたい願いがあってさ。そいつを叶えるために俺は『星夜祭』に参加する」

 「で、未だにパートナーがいない私を指名したわけか。随分とゲスい真似をするな」

 「合理的だ、と言ってくれ。俺は自分に利があるか、でしか行動しない」


 俺の提案にエリスは考え込むように腕組みをする。考えるべきことでもない気がするが、彼女からすれば考えるべきことなのだろう。


 「わかった。貴様の提案を受けよう」

 「お、話が早いな。じゃぁ、ま、握手と」


 エリスが俺の話を了承したのを受け、俺は右手を差し出す。しかし、エリスは俺の手を取るでなく、力いっぱい握った。

 その細い腕からは想像できない握力だ。これって五十前後あるんじゃないの?


 「ああ、貴様の助力を期待しているぞ」

 「わかってるさ。ギブアンドテイクの関係でいこうじゃあないか」


 強く握ってきたので、俺はさらに強く握り返した。握力は大体六十前後だ。エリスほどの筋力があれば、これくらいの力には耐えれるだろう。

 だから、お相子、だ。


 「貴様がギブアンドテイク、など口にすれば疑いたくなるな。正直な話、私はあまり貴様を信用していない」

 「酷いなー。俺としては、これが今日助けてくれたことの借りを返したつもりなんだけどなー」

 「は?そんなわけがないだろう。貴様はまだその借りを返していないぞ?」


 え?

 何を言っていますのん?

 いや、ほんと何を言ってるの。これが借りを返すことじゃなくて、何が借りを返すことなのさ。俺は出たくもない『星夜祭』に率先して出てやっているっていうのに。


 俺が動揺している最中、エリスが言葉を続ける。

 「何せ、今のは貴様の慈善行為であって、別に私は頼んでもいないからな」


 「うわー、そういうこと言っちゃうんだー」

 とエリスの言葉を聞いて、ポツリとこぼした。全く呆れちゃうなー。確かに俺からタッグになってくれとは頼んだけど、そこは好意として受け取って、そういう借りとかいうのは忘れるべきではない?

 自分から言いだしたくせに、他人のせいにしていた。

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