第三十五話:月下の宴、豊穣なる「天秤」の揺らぎ
ララが正式に仲間に加わり、里に活気が戻った日の夜。ユウマの自宅の食卓には、多種族が共生するこの里ならではの豪華な料理が並んでいた。
妖狐族が腕を振るった川魚の香草蒸し、土竜族が地下貯蔵庫から出してきた最高品質の蒸し芋、妖花族が育てた瑞々しい大粒の果実。そして、リリィが秘蔵していた猫娘族伝統の果実酒。
温かな湯気と楽しげな笑い声が、修繕されたばかりの新しい木の壁に反響し、心地よい夜の帳を彩っていた。
「……ふぅ。やっぱり、みんなで囲む食卓が一番美味しいですわね」
ララはヴェール越しに、ユウマの隣でしっとりと微笑んでいた。彼女は既にこの家の雰囲気に馴染んでおり、食事の間も甲斐甲斐しくユウマの杯に酒を注いだり、ルネの口元を布巾で拭ってあげたりと、まるでお姉さんのような振る舞いを見せている。
「本当に、ララちゃんが来てくれてから食卓がさらに華やかになったよぉ!」
リリィが上機嫌で杯を掲げる。彼女が笑うたびに、薄手の部屋着に包まれた胸元が**ぷるん**と大きく波打った。
その様子を、向かい側に座っていたルネが、ジトッとした眼差しで見つめていた。
「……ねえ、ユウマさま」
「ん? どうした、ルネ。その芋、口に合わなかった?」
ユウマが問いかけると、ルネは箸を置き、小さな顎を手に乗せてジト目のまま固定した。彼女の視線は、ユウマの顔からリリィへ、リリィからララへ、そして隣でパンを頬張るティオへと、ゆっくりと、意図的に移動していく。
「……やっぱり、確信したですぅ。……ユウマさま、本当は『性能』じゃなくて『サイズ』で仲間を選んでるですぅ」
「ぶっ!!」
ユウマは飲んでいた果実酒を危うく吹き出しそうになった。
「な、何を言い出すんだよ、いきなり……!」
「……だって、おかしいですぅ」
ルネは指を一本ずつ立てながら、冷静な、しかしどこか非難めいた口調で続ける。
「……リリィさんは言うまでもなく爆乳ですぅ。……新しく来たララさんも、服がはち切れそうなほどの大爆乳ですぅ。……私だって、自分で言うのもなんですけど、結構ある方ですぅ。……そして、一番真面目そうなティオちゃんだって……」
「えっ!? わ、私ですかっ!?」
不意に名前を呼ばれたティオが、驚いてパンを喉に詰まらせそうになった。
彼女は今日、戦闘用の鎧を脱いで、柔らかい素材のチュニックを着ていたが、その胸元は確かに現代の基準で言えばEカップを優に超える、しなやかで力強いボリュームを誇っている。
「……ほら、ティオちゃんも揺れてるですぅ。……ユウマさま。この里にはもっと小柄な猫娘さんもたくさんいるのに、どうして私たちの周りだけ、こんなに『豊作』なんですぅ? これはもう、村長権限を使った偏った採用活動と言わざるを得ないですぅ」
「ルネ、誤解だよ! 僕はそんな基準でみんなを選んでないって!」
ユウマが必死に弁明する横で、リリィが面白そうに目を輝かせ始めた。
「あはは! ルネちゃん、面白いこと言うねぇ。……でも言われてみれば、確かにみんな立派だよねぇ。ねぇねぇ、実際だれが一番大きいのか、リリィ気になっちゃうかもぉ!」
「ちょ、リリィ!? 煽るなよ!」
ユウマの静止も虚しく、リリィは椅子から立ち上がると、まずは隣に座るララに詰め寄った。
「ララちゃん、ちょっと失礼してぇ……。わわっ、やっぱりすごい! この柔らかさと重み、リリィ負けちゃうかもぉ!」
「あら、リリィさん。そんなに触られては、わたくし、恥ずかしいですわ……。でも、あなた様のその弾力、深海でも見たことがないほどの生命力を感じますわね」
ララは余裕の笑みを浮かべながら、リリィの胸に手を添え返した。
青いヴェール越しでも分かる、妖艶な女同士の品評会。ユウマは目のやり場に困り、とりあえず天井の木目を見つめることにした。
「次はルネちゃん! ……うんうん、小柄なのにこの密度は反則だよぉ! まさに隠れた逸材って感じだねぇ」
「……あぅ。……リリィさん、手が冷たいですぅ……。でも、負けたくないですぅ」
そして、リリィの魔の手は最後にティオへと伸びる。
「最後に、我らが守護騎士ティオちゃん! ……わぁ、やっぱり! 鎧で隠れてたけど、脱ぐとこんなにすごかったんだぁ! 筋肉で支えられてるから、形がとっても綺麗だねぇ」
「ひゃうんっ! り、リリィさん、そこはダメです! ……うう、ユウマさん、助けてください……っ!」
ティオは顔を真っ赤にしながら、助けを求めるようにユウマの腕を掴んだ。
ユウマはその感触に意識を持っていかれそうになりながら、咳払いを一つ。
「……リリィ、いい加減にしなさい。ララも、乗っからない。みんな、大事な仲間なんだから、そんなことで競わなくても……」
「……ほら、ユウマさま。……鼻の下が伸びてるですぅ。……やっぱり、この『ハーレム村』は村長の趣味で作られてるですぅ」
ルネのジト目がさらに鋭くなる。
「違うんだって! ララは海岸で倒れてたから助けただけだし、リリィは最初に案内してくれたからだし、ティオだって……」
「……うふふ。ユウマ様」
ララがしっとりとユウマの肩に寄り添ってきた。彼女の豊かな感触が腕に伝わり、ユウマの思考が止まりかける。
「わたくしたちの体が、あなた様の目を喜ばせているのでしたら、それは最高のご褒美ですわ。……わたくしたちは、あなた様の仲間であり、あなた様に捧げられた『盾』であり『矛』なのですもの。……少しくらい、不純な動機があっても、わたくしは構いませんのよ?」
「ララさんまで何を……!」
「そうだよねぇ! ユウマさまが喜んでくれるなら、リリィ、明日からもっと胸元が開いた服にしちゃおうかなぁ!」
「……私も、負けないですぅ。……もっと、密着するですぅ」
ユウマの周りで、豊満な女性たちがそれぞれの「重み」を競うように距離を詰めてくる。
ティオだけが「も、もう、皆さん……っ!」と恥ずかしさに震えていたが、彼女もまた、ユウマの反対側の腕をしっかりと抱きしめて離そうとしなかった。
結局、その晩の「サイズ判定」はリリィの独断により、
「一位は僅差でララちゃん! 二位がリリィ、三位がルネちゃん、四位がティオちゃん! でも、全員が『超一流』ということで決定なのぉ!」
という謎の宣言で締めくくられた。
「……全く。何の話をしてたんだか」
ユウマは溜息をつきながらも、温かな食卓の熱気と、自分を信頼して(あるいはからかって)寄り添ってくる彼女たちの体温を感じ、不思議と幸せな気分に浸っていた。
外では虫の音が心地よく響き、里の平和を祝福している。
多少の「不純な疑惑」はあっても、この賑やかで、豊穣な美しさに満ちた食卓こそが、ユウマが守り抜きたいと願う「平和」そのものだった。
「……ユウマさま。……明日からも、おっぱいのために頑張るですぅ」
「だから、おっぱいのために村長やってるわけじゃないって言ってるだろ!」
夜更けの里に、ユウマのツッコミと少女たちの楽しげな笑い声が、いつまでも響き渡っていた。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
作者のモチベーションアップに繋がりますm(_ _)m




