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「ナナリーちゃん!どうしてここに?」



「ギルド長に言われてリナさんの手伝いにきました。あ、ギルド長って冒険者ギルドの方ですよ。

 なんでも、ギルド長から人手を貸してほしいとの要請があったみたいで。あ、今のギルド長は商業ギルドの方です」


「待って待って、わからなくなってきた」





 2人のギルド長が登場して混乱するリナに、ナナリーは順を追って説明する。



 ことの発端はもちろん今朝の新聞。マルクスの書いた記事のせいで説明を求める者が押し寄せ、そのうちの一部が暴徒化したらしい。

 商業ギルドは対応に追われ人手不足になっていた。



 そこで商業ギルド長は騎士団と冒険者ギルドに救援を要請。

 冒険者ギルドは緊急依頼を出し、騎士団と共に警備の冒険者を派遣してくれた。



 ナナリーはその伝令として商業ギルドを訪れていたのだが、同時に冒険者ギルド長のアレックスから別の指令をもらっていた。




 それがリナの手伝いである。




 もちろん商業ギルドの許可はもらっている。というか是非手伝ってあげてと言われている。ついでにご飯食べさせてあげてとかこまめに休息とらせてとも言われている。オカンか。




「点火杖の件、冒険者ギルドでも話題になってきまして。なんか爆発するみたいですね」

「ごめんなさい……やっぱりそんな危険なものは使えないよね」





「__まあそれはどうでもいいんですけど」



「いいの!?」



 いやよくはないだろう。だが、ナナリーは気にしている冒険者はほとんどいないと言う。



「冒険者なんて危険を冒してなんぼです。今更魔道具の1個や2個爆発したところで笑い話で終わりますよ」



「うーん……そういうものなの?」

「そういうもんです。前も似たようなことありましたし。

 __あれは点火杖が発売される前でしたかね、簡単に火をつけるライフハックを開発したとか言う冒険者がいまして。それが実演で見事に大爆発……確か今もギルド内に焦げ跡ありますよ。結構な事故でしたけど、あれもその日のうちに酒の肴になって笑われてました」




 「だから大丈夫」というナナリー。冒険者ギルドには火種の前例どころか、事故の前例まであるようだ。

 その二番煎じはさすがにいらない。




「今日なんてどの点火杖爆発するかでロシアンルーレットしてる馬鹿いましたし。どれも爆発しませんでしたけど」

「それはやめてほしいかな!!」



 ……冒険者というのは、思ったよりもたくましいものかもしれない。





「私たちが困るのはこれの回収で数がないことなんですよ。冒険者にとっては必需品なものですから。

 というわけで、さっさと原因見つけて販売を再開しましょう」

「__そうだね。お手数おかけしますが、よろしくお願いします」







**





「つまり、リナさんも今からロシアンルーレットをするのですね」



 リナの説明を聞いたナナリーの開口一番はこれだった。


 確かに、どれが爆発するかわからないものを1つ1つ点火していくのだ。ロシアンルーレットと大して変わらないかもしれない。




「一応ね、実験だから」

「わかってますよ。それともリナさん何か賭けたいです?」

「賭けないよっ!!?」





 ……本当に彼女が手伝いで大丈夫か、不安になってきた。



「冗談はさておき、それでしたらお任せください。私が点火します」

「え!?もし爆発したらナナリーちゃんが怪我しちゃうんだよ」


「何をおっしゃいます。私は光魔法使いですよ」




 ドヤ顔のナナリーの言いたいことはわかる。光魔法は回復が主、爆発に巻き込まれても癒せばいいということだ。




「それでも痛いことに変わりはないんだよ!」


「何をおっしゃいます。私は光魔法使いですよ」

「セリフ使いまわした?」


「いいですかリナさん、光魔法使いには2種類いるのです」



 リナの指摘は無視された。



「1つは後衛で回復に特化するタイプ。もう1つは己を回復しながら前衛に躍り出て殴るタイプ。

 私はもちろん後者、殴りヒーラーです」

「もちろんなんだ……」



 その華奢な身体で?と言いたいリナだったが、自分にブーメランするのでやめた。

 魔法使いも魔道具使いも見かけで判断してはいけないようだ。



「殴りヒーラーをやっているとだんだん痛覚が鈍ってきましてね、多少の怪我じゃ痛いなんて思わなくなります」



 自信満々にナナリーは胸を張る。リナは少しジェラシーを感じた、どことは言わないが。


 それはともかく、ナナリーの言う通りなら、確かに多少の爆発ではビクともしないだろう。怪我をしていることには変わりないので心配なのは変わりないのだが。




「むしろ多少の痛みは気持ちよくて……」

「ヤバい方向に行っている!?」



 うっとりとした顔をするナナリーをリナは慌てて引き戻す。



 ……本当の本当に彼女が手伝いで大丈夫か、本当に不安になってきた。




 だがリナが爆発に巻き込まれたら原因究明が遠のくのも事実。

 背に腹はかえられない。渋々ながら、リナはナナリーに任せることにした。





 実験はまず、リナが取り出した点火杖の魔法陣を確認する。その上でナナリーに10回点火をしてもらい異常が起こらないかを見る。


 リナが見る限りはやはりどの点火杖も魔法陣に問題はない。これで何か起こるなら、別に原因がある可能性が大きくなる。



「ナナリーちゃん、お願いします」

「それではいってみましょう。カチッとな」




ピキ


ボンッ!!




「ナナリーちゃーん!!?」



 ナナリーは1回目でロシアンルーレットに負けた。




「あーびっくりした」

「ナナリーちゃん!!?」



 しかしとってもタフだった。





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