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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球激動編

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地球激動編 1-183 異世界の大召喚術師、スーパー銭湯を視察する (最終幕)

異世界の大召喚術師、スーパー銭湯を視察する (最終幕)


異世界の大召喚術師であるエンペラールが、故郷のロムリアで温泉施設を作ることになった。そのため、情報収集を目的に物部かすみが子供の頃に家族で遊びに来ていた大阪市内の入浴施設に神室霊華と共に()()に向かった。そしてつい先ほど、夜の8時を回ったところで、3人の女性は()()先からM&Mの別荘に戻って来た。ただし、別荘には誰もいないため、かすみはスマホを取り出し、最神玲に連絡を入れた。暫くすると、玲も別荘にやって来たので、早速3人は今日の成果を踏まえて玲に報告を行った。そして


  「そっか、大変だったね、その3人組には」


  「まあ、あー言う連中は、ちょっとお灸を据えれば

   それでええねんけどな!」


とかすみは軽い感じでそう答えた。ただし、玲からすると、かすみの軽いお灸がどれ位なのか...正直想像したくないのだが。それよりも、今回の視察と言う名の遊びが果たしてエンペラールの役に立ったのかどうか、その点が大いに気になるので、玲はエンペラールにどうだったのかを尋ねた。すると、


  「はい、カスミさんとレイカさんのお陰で、

   温泉施設のイメージが出来ました。

   お二方には感謝しかありません!!」


とエンペラールはかすみと神室霊華に向かって感謝の言葉を伝えた。かすみとしては久しぶりにあそこで遊べたことに満足であったのだが、こうして改めてお礼を述べられると流石に照れてしまう。だがそれでも、当初の目的を果たせたことで肩の荷が下りたのかホッとした表情も漂わせた。するとエンペラールは一度部屋に戻り、その後直ぐに何かを手にして戻って来たのだが、それはロムリア市民が必ず持っている端末である。かすみはそれを見て直ぐに


  「あっ、うちが去年タチアナさんから

   貰った奴やね!」


と玲に向かってそう口にする。玲も頷くものの、やはりエンペラールの手にする端末は最新の物のようで、より小型化しているようだ。そんな2人の反応にお構いなしに、エンペラールはその場で建物の3次元の立体映像を投影し始めた。どうやら温泉施設のようだが、まだ単なる四角い建物のままである。だが、その光景を目にしたかすみと玲は、


  「おー、やっぱ凄いねんなー、この端末って」


  「そうだね、僕らの世界のテクノロジーって

   まだまだという感じだね」


とお互いに感想を口にするが、そんな2人とは対照的に、この人神室霊華は「ひっ!」と驚きから来る悲鳴を上げて、直ぐに口元を手で覆った。そのうち、そこに写し出される建物がより具体的な形を伴うにつれて、「すすす、凄い」と声を詰まらせながらも何とか言葉を発するのだが、その後は沈黙を続けた。その間、エンペラールは素早い動作で何かを行っているのだが、当然3人はエンペラールが何をしているのかは理解できない。ただエンペラールの流れるような動作に見惚れてしまうのだが、気づけば30分程そうしていたようだ。そしてエンペラールが


  「うーん、こんな感じかな~」


と呟くのだが、3人は何がこんな感じなのかは当然分からない。だが目の前に投影されている建物に対して何かをしていたのだけはわかったところで、玲が


  「エンペラールさん、何か出来たんですか?」


と尋ねた。すると、


  「そうなのよ~。ロムリアの温泉施設なんだけどね、

   こんな感じに仕上げてみたのよ~」


と言いながら、その建物の屋根を手で持ち上げた。手で持ち上げたというと何やら比喩的な感じを受けそうだが、そうではなく、文字通り、いや言葉通り、エンペラールは投影されている建物の屋根を手で持ち上げたのだった。そんな様子を見ていたかすみは、好奇心からか、その建物に指で触れてみた。すると、


  「うわわわわわ、なんなん、なんなん、これ、

   てて、手で、手で、手で触れるねんけど!!」


と余りに衝撃的な体験をしたために、言葉を詰まらせながらも玲と神室霊華に大声でそう訴えた。玲と神室霊華はお互いを見て頷き、2人同時にそれに触れた。すると


  「はぁ?何でこれに触れるの?」

  「わわわわ、私も、ささささ、触ったー!!」


と玲と神室霊華には若干の感情の違いはある物の、やはり驚きを隠せないようだ。そして玲が


  「まるで、召喚門を触った時のような

   強い衝撃を受けましたよ」


と誰にともなくそう呟くが、恐らくかすみは、その言葉がしっくりくるようで、大きく頷きながら


  「せやねんな、あん時もマジで

   びっくりしたけど、これも相当なもんやで!」


と少し冷静になってそう感想を伝えた。いやそれよりも、もっと驚くべきことは、エンペラールが持ち上げた屋根の下にあるその中身であろう。4人は丁度施設の見取り図を目にするように上から施設内を眺めているのだが、各部屋と言うか、この場合は温泉であるが、その細部の様子が見て取れる。しかもご丁寧に湯船にお湯が張られており、湯気まで出ている。


  「ちなみにね~、この中に入って

   確認することも出来るんだよ~」


とエンペラールの口から驚くようなことが伝えられた。その時かすみは


  「えっ、うちら小さくなって

   こん中に入るんですか?」


まるでドラちゃんの世界の話やんか!と興奮して叫び出した。だがエンペラールは、かすみの発想の面白さに笑い出すも、


  「そうじゃないですよ、カスミさん。

   これを大きくして確認するんですよ~」


と言いながら、リビングの一角にその場で実物大に拡大した。残念ながらリビングのソファなどか障害物として残るため自由に移動できないものの、少しだけ中を覗き込む3人は、その場の光景に息を呑んだ。特にかすみと神室霊華は、壁や床が見事に先程まで滞在していた入浴施設のような温かみのある質感を持っていることを目にした。そして壁に触れると、そこに壁の堅さを感じる。かと言って、この投影された建物が、別荘にあるソファーや置物などを壊しているかと言うと、決してそんなことは無い。ではこの矛盾はどう説明すれば良いのだろうか?


  「あ、あかん、脳がバグりそうや!」


とかすみは頭を抱えてしまうが、かすみの嘆きも十分に理解できる。するとエンペラールが、かすみの状況を心配しつつ種明かしをするのだが、どうやら指先に触れたという信号を脳に直接伝えるシステムが作動したからだというのだ。


  「そ、そんなシステムって、

   聞いた事ありませんね......」


と神室霊華はそう呟いて、再び沈黙する。ただし神室霊華は知らないようだが、地球でもVR用手袋をつけることで、あたかも何かを触れていると言う感触を脳に伝えることは可能である。ただしそこには、コンピューターに繋がれた手袋と言う媒体が必須であり、しかも脳に直接信号を送ることは無い。それに対しロムリアのテクノロジーでは、むしろそのような媒体は不要であり、直接脳に働きかけるというのだ。


 さてエンペラールの持つ異世界のテクノロジーの凄まじさを目の当たりにした玲とかすみと神室霊華の3人は、その後元のサイズに戻した施設を見ながら、あれをどうするとか、これは不要では、などと意見を出し合っていた。そんな時にかすみが


  「後は動線かな。これでスムーズに

   移動できたりすれば問題ないと

   思うねんけど......」


と指摘するように、実際に人がどのように動くか、その時に何かトラブルなくスムーズに移動できるかが重要になる。とその時、エンペラールが何やら操作を始めた。すると


  「うわわわ、またまた、なんなん、このデバイス!

   ひひひ、人が、人が!!」


とかすみが絶句するのだが、その後に続く言葉は


  「まるで館内を人が自由に移動していますね」


と神室霊華がフォローしたように、大勢の人が館内を行き来する様子が表示されたのである。しかも皆同じパターンで移動するのではなく、まるで1人1人が意思を持つように、ある程度統率されつつも自由に動き回っていたのである。そうやって暫く見ていると、やはり予想通り、ある場所で混乱を来すのを目にしたところで、


  「やっぱなー、あっこんところが

   あかんかったんやなー!」


うんうんと頷きながら、かすみは自分の予想通りであったことに満足した。そしてエンペラールはかすみの意見を取り入れつつ、ようやく思い描いていた通りの温泉施設に仕上げたのだった。


  「皆さんの協力がなければ、

   恐らく私とセラちゃんだけだと、

   何時になったら終わっていたことか......」


と一瞬不安気な表情を見せるも、直ぐに満面の笑みを湛えて「皆さん、有難うございました」と感謝の言葉を伝えた。そして長かった1日の締めくくりは、やはり別荘の露天風呂である。女性陣3人は、温泉をとことん堪能している筈なのだが、ほぼ習慣と化したのか、何の疑問も抱かずにそのまま露天風呂に直行する。そして今日も満天の星空を眺めながら、1日の疲れを癒すのだった。なお余談だが、その後玲はエンペラールの召喚した整体師の餌食になって悶えていたことを付け加えておく。

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