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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球激動編

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地球激動編 1-180 異世界の大召喚術師、スーパー銭湯を視察する (第1幕)

異世界の大召喚術師、スーパー銭湯を視察する (第1幕)


昨晩、神室霊華の地元で開催された夏祭りと盆踊りを楽しんだ異世界の大召喚術師エンペラールは、M&Mの別荘のダイニングにて朝食の準備をしている最神玲と何やら会話をしている。玲の隣では神室霊華が朝食の準備を手伝っているが、彼女も結局昨晩から別荘に泊まり込んでいた。そしてM&Mの代表である物部かすみはと言うと、まだ起きて来ない。一応彼女も別荘に泊まっているのだが、昨日の疲れが出たのか、7時を過ぎても起き出す気配が見られない。ちなみに今日は平日のため、8時前に玲は美土路神社に向かうことになっている。そんな時にエンペラールが、


  「私もね~、そろそろロムリアに

   戻ろうかな~と思うんだよね~」


  「えっ、もう戻られるのですか、エンペラールさん。

   別にゆっくりしてもらっても構いませんが...」


とエンペラールがそろそろ郷愁の念に駆られて来たのか、ポツリと帰国の意思を伝えるのだが、玲とするとそんなに急ぐことも無いのではないかと言うのだ。だが、


  「セラちゃんにね、

   仕事を任せきりなのも可哀想だしね~」


とどうやら仕事に(かこつ)けてタチアナことセラスティナに会えない寂しさを吐露したようだ。丁度その時、かすみが「みんな、おはよう」と寝ぼけ眼のまま母屋にやって来て朝の挨拶をした。そしてダイニングの椅子にだらしない格好で座るなり、玲からエンペラールがそろそろ帰国したいということをかすみに伝えた。すると、かすみは漸く目を覚まして


  「えっ、エンペラールさん、

   もうロムリアに戻りはるの?」


と尋ねた。エンペラールは


  「はい。でもね、今日明日にでもって

   いうことではないんですよ~」


とかすみに説明するのだが、その表情はどこか寂しげであった。恐らく居心地のいいこの別荘を離れることとセラスティナに会えないことの両方の寂しさを抱えていたのだろう。かすみもそんなエンペラールに寄り添いながら、折角だからと、ある提案をすることにした。それは


  「ほな、エンペラールさん。

   今日か明日にでも温泉に行きませんか?」


  「かすみ、温泉ならここにあるじゃないか?」


  「ちゃうわ、玲。うちが言っているのは、

   スーパー銭湯とか健康ランドとかやねんで!」


とかすみは玲の茶々に少し切れ気味にそう答えた。ところでなぜかすみは、唐突にそのような提案をしたのかと言うと、


  「エンペラールさんがロムリアに戻ってから、

   入浴施設を作るんやろ。

   ほな、どういう施設を作るべきか

   見ておいた方がええんとちゃう?」


と言う意図があった。勿論、少しは自分も楽しみたいが入るのだが、それは大目に見てあげるべきであろう。やはりいざ温泉施設を作るにしても、単に露天風呂だけだとそのうち飽きられるのが目に見えている。そうなると、人を惹きつける何かが必要であり、それを実際に見て肌で感じるのは大事ではないかとかすみは力説した。かすみの言うことは至極当然なことである。そのため、


  「確かに、カスミさんの仰るように、

   温泉を作っただけだと、

   そのうち飽きて誰も来なくなりますね~」


もしそうなると、資金を提供するロメロ5世の面子を潰しかねない。それだけは絶対避けないといけない訳で、エンペラールもかすみに指摘されるまでその点に考えが及ばなかったことに、心底自分に呆れていた。そして


  「じゃあ、カスミさん、

   どこか案内して頂けますか?」


と言うことで、急遽エンペラールを入浴施設に案内することにした。


  「ほな、今日あたり行って見ますか?」


「玲、行ってもええか?」と念のため玲に確認するが、この時点で玲には拒否権はない。仕方なく


  「まあ、駄目だと言っても行く気だろ。

   いいよ、楽しんできて」


と言うことで早速どこに行こうか、スマホを取り出して検討を始めるかすみであった。とその時、神室霊華がかすみに向かって遠慮がちに


  「あの、師匠、私もご一緒して

   宜しいでしょうか?」


と入浴施設へ同行出来ないかを尋ねた。するとかすみは、額に手を当てて、


  「あっちゃー、ごめんな、霊華さん。

   また霊華さんを置いて独りで

   決めてしまうところやったわ」


勿論一緒だと色々な角度から検討できるので大賛成だ、と伝えてかすみは神室霊華と共にどこに行こうか検討を始めた。そんな時、神室霊華が


  「ところで、今話に出ている

   スーパー銭湯と健康ランドですか、

   それって何が違うのでしょうか?」


とかすみに向かって質問をした。かすみは単に呼び方が違うだけで同じではないか、と言うのだが、念のためにその違いをスマホで調べてみた。すると、かすみは


  「あっ、ちゃうらしいな。えーと、

   何やら滞在の目的とか宿泊できるかどうかが

   違うらしいねんて」


と解説を加えた。健康ランドは大抵24時間営業で宿泊可能な施設であり、中にはカラオケなどの娯楽施設を備えたりして、複合的な施設となっている。一方のスーパー銭湯は、街中の銭湯の上位互換とも呼ばれる感じで、ただし様々なタイプの入浴設備、例えばサウナや岩盤浴を始め、電気風呂や薬湯(やくとう)などの変わり種の風呂があったりする。勿論、健康ランドにもサウナや岩盤浴などの入浴施設があるし、逆にスーパー銭湯でも24時間滞在できる施設はあったりするが、肝心の風呂に入るという点ではどちらも共通しており、人気の娯楽施設となっている。ただし値段的には、やはり健康ランドの方が高くなる傾向にあるようだ。


  「そうするとやね、後はエンペラールさんの

   考えている施設がどういう感じかで、

   健康ランドかスーパー銭湯かを

   選ぶことになりそやね」


  「そうですね、エンペラールさんの

   考えられている施設って

   宿泊とかは想定されているのでしょうか?」


話を振られたエンペラールは、そこで暫し沈黙する。実はまだ具体的にどうするかを考えていなかったのだが、そんな時、玲が朝食の配膳をしつつエンペラールに助け舟を出した。


  「あそこに温泉施設を作るとなると、

   僕やエンペラールさんやタチアナさんであれば、

   一度の転移で行けますけど、

   一般の人達が向かうとなるとどうなんでしょうか?」


  「そうですね~。途中で召喚エネルギーの

   補充が必要でしょうね。だとすると――」


日帰りと言うのは選択肢から外れることになる。すると必然的に、


  「話に上がっていました健康ランドでしたっけ、

   宿泊施設を伴う方を重点的に調査した方が

   良さそうですね」


とのエンペラールの一言で、健康ランドに向かうことに決まった。ただそうなると、かすみとしては宿泊できる健康ランドに心当たりがないため、神室霊華に意見を聞くのだが、


  「すいません、師匠、私にも心当たりがありません」


との答えが返るだけである。そうなるとスマホで検索をしてみるのだが、そんな時にふと昔家族で遊びに行ったある施設の事をかすみは思い出した。


  “そや、あそこって健康ランドとは少しちゃうけど、

   宿泊施設やプールがあったな!”


と言うことで早速エンペラールと神室霊華に向かって


  「一つ候補があってな、昔うちが子供の頃に

   よく家族で遊びに行ってんけど」


そこなら建物の屋上にプールがあり、そして24時間営業して宿泊もできることを伝えた。更に


  「そこはな、大阪市内のミナミの

   ど真ん中にある施設やねん。

   せやから、観光もできたりするねんけど」


とその後は観光などをすることも可能である。と言うことでこの案でどうかと言うことを2人に相談するが、特に異論はないため、早速


  「ほな、玲、うちらエンペラールさんを連れて、

   温泉施設の視察に行ってくるな」


と玲に告げた。何やら視察と言う言葉で煙に巻こうとしているようにも感じられるが、本音では遊びに行きたいのである。玲は苦笑いを浮かべつつも、仕方ないかと諦めたようで


  「わかったよ、3人で楽しんできてね」


と言うしかなかった。かすみは


  「いやいや、玲さん。うちらは、

   遊びとちゃうで、()()やで」


その点間違わんといてや、とわざわざ「視察」の所を強調してしつこく指摘するのだが、かすみの指摘もどこか空回りしている感じがしなくもない。そうと決まれば、朝食を済ませてから早速行く準備を始めるのだが、その時神室霊華が


  「師匠、確かプールもあると

   仰っておりましたが、

   プールも入るのでしょうか?」


とかすみに尋ねるが、実はその点どうしようか悩んでいた。と言うのも、かすみは水着を持っていない。神室霊華に確認すると、以前ジムのプールで健康維持のためにウォーキングや軽く泳ぐことはしていたのだが、流石にその水着は競泳用に近い物であり、今となっては古くて着れるかどうか怪しいという。エンペラールは言うに及ばずであろう。念のためかすみはエンペラールにプールに入るかどうかを確認するのだが、


  「カスミさん、そのプールって何なんですか?」


とそもそもプール自体を知らない。これは仕方のないことで、ロムリア市内には市民プールのような施設は一切存在しないからなのだが、そこでかすみはスマホでプールの様子を映した動画を検索した。


  「こうやってね、水着と言う服を着て

   泳いだりするねんけど――」


どうやらエンペラールには泳ぐという行為そのものも分からない。そこで「これは温泉とどう違うのか?」と言うことを質問すると、神室霊華が代わりに


  「そうですね、プールは基本的には飲み水と同じ

   水道水や地下水を使うんですよ。

   あと、冬も入れるように

   水を温かくしていたと思いますよ。

   ただし細菌の繁殖を防ぐために、

   塩素を入れたりしてますね」


そのため飲み水とはかなり違うことも伝えた。そうなるとエンペラールとしては、そのような施設を作ることに意味をなさない気がしてしまう。ロムリア人は、そもそも入浴と言う行為に全く慣れていない。そのため、更に泳ぐという行為は、それこそ宇宙に何があるのかを知るようなこと位に困難を極める。とは言え、好奇心旺盛なエンペラールである。温泉施設どうこう以前に、やはり一度体験したい気持ちが強く出るようで


  「そのプールですか、一度体験したいですね~」


と言うことで、早速3人は水着の準備を始めることになった。とは言え、その水着をどうするかであるが、念のためこれから向かう温泉施設のホームページを確認すると、そこにはレンタル水着ありと記載されていた。


  「何かな、水着レンタルあるみたいやねんけど......」


とかすみは神室霊華とエンペラールにそう伝えるも、何やら最後の方は尻すぼみになってしまった。かすみはレンタル水着の画像を見つけたのだが、グレーの無地の水着という、何の可愛さもない水着を目にしたからである。


  「これは流石に、うちはないわー」


とかすみがぼやくが、神室霊華も右に同じである。エンペラールはまだ水着そのものがわからないため、首を傾げている。勿論、レンタルではなく水着の販売もされているのだが、選んで試着してを繰り返す時間がもったいない。するとかすみは、


  「やっぱ、自分達でデザインした物を

   召喚することにせぇへん?」


と提案するのだが、本来召喚術師は衣類の召喚が禁止されている。だが自分達が着る物であれば、そこは自己責任が発生する訳であり、それを承知した上で召喚した物を着用するのであれば問題はない。そしてバレル型で召喚すれば、召喚エネルギーの浪費は問題にならない。そうと決まれば、早速デザインをどうするかを3人で考えることにした。そして何やら女性陣が水着のデザインを考え始めた所で、玲が「僕はそろそろ仕事に向かうけど、とにかく気を付けて行って来てね」と3人に伝えて、そのまま美土路神社に転移して行った。そして残った3人は、水着のデザインを考えつつ、並行して出掛ける準備を始めるのだが、チケットに関しては事前にスマホで予約できるようなので、早速かすみは手続きを済ませることにした。そして


  「確か、タオル類は全部借りられるし、

   館内は専用の部屋着みたいなんがあるから、

   水着以外は特になーんもいらへんで」


とかすみが2人に説明するように、女性の場合は、あとは化粧道具を持って行けば問題無い。そして各自の水着のデザインが決まったところで、それぞれが召喚して、それを鞄に入れた。本来なら濡れた物を別途保管するビニールバックみたいなものが必要なのだが、3人は使用後にそのまま召喚解除する予定なので、それも不要である。そして開館時間の10時になったところで、かすみが探しておいた転移先に3人は転移して向かった。

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